2002.03.12 スピード系斜面の克服〜日本代表の課題2〜
女子SG(スーパー大回転)を終え、切久保豊・日本代表コーチが歩み寄ると、「駄目」と聞き取れないくらいの声でつぶやき、つぎの瞬間涙が溢れた。悔しい。
伊藤裕美(LW2)は、完走を第一の目標にここまで仕上げてきた。事実、日本人選手の転倒が目立つなか、彼女は堅実な滑りを見せてきた。だが同時に、本人のイメージ通りにできていないことも確かだった。
「固い雪と緩い雪、方斜面とうねる部分が出てきて、所どころでうまくエッジに乗れなかった」と表情を強ばらせて話した。
大回転に照準を合わせていた。まずはダウンヒル(滑降)からSGへ調子を上げていくはずだった。「攻めの気持ちで」スタートにも立った。だがダウンヒルでトップと17秒強あった差を縮められない。18秒と逆に開いてしまった。しかも、前の順位の選手とのタイム差は、いずれも10秒前後の隔たりがある。伊藤いわく「スムーズにターンを切り返していく」世界との差を、あらためて痛感した。
切久保は、
「慣れないスピード系の斜面に恐怖心が出て、選手たちは “気負け”してしまっている。喝を入れないと」と話した。
外国勢との練習環境の差は歴然としている。たとえばダウンヒルにおいて、日本にはそれに必要とされる距離をもったコースがほとんど存在しない。練習のためには必然的に海外でキャンプを張らなければならなくなるが、日々抱える仕事や金銭面を考えると、充実させることは難しい。逆にいえば、長野パラリンピックを経て今大会に出場している外国人選手がのきなみ日本人を超える成長を遂げているのは、この練習環境の差にあるといってもよいのだ。
大会に入ったいま、練習量を取り戻すことはできない。技術的な面での巻き返しも不可能に近い。
「今日(11日)の女子の滑りがいい刺激になるでしょう。技術系の種目に入っていくし、これまでよりは期待できると思いますよ」と、切久保は締めくくった。
現地時間の明日13日、男子大回転。代表の闘志あふれる滑りに、まずは期待したい。
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