2002.03.15 男子最終戦にみた希望の光
 

「終わった。終わりました」
一瞬言葉を選んだあと、四戸龍英(LW11)は穏やかに語った。

パラリンピックソルトレーク大会も残すところあと一日と迫った14日、アルペン男子最後の種目であるスラロームが行なわれた。会場となるスノーベイスンは前日とはうって変わり、抜けるような青空が広がった。

当初から「この大会を最後に引退する」と公言していた四戸はここまで、DH、SG、GSと結果が出せていなかった。この日もスタートから中間、ゴールまで激しく変化するスピードへの対応に苦戦した。終わってみれば7位と、有終の美とは言いがたい結果におさまった。
「自分の滑りができなかったのは悔しい」と淡々と話した。

だが一方で、パラリンピック長野大会では自分しかいなかったLW11クラスに、新たな希望を見出した喜びもある。森井大輝の成長だ。彼は同クラスの四戸にこれまで一度も勝っていない。この日も1本目の時点では四戸が6位、森井が7位だった。ところが2本目の滑りで順位が入れ替わる。初めて森井が四戸の上に立った。
「嬉しいですよ。これで安心してやめられる」と頬が緩んだ。それを受けて森井も
「最高の誉め言葉ですね。でもそう簡単に隠居はさせませんよ。持ってる技術と知識を教えてもらわなきゃ。コーチがだめなら自宅まで押し掛けますよ」と、彼らしい表現で感謝を表した。

障害者スポーツ後進国である日本において、パラリンピックソルトレーク大会では、あらゆる面での世界との差をまざまざと見せつけられてきた。メダルの色や数ではない。4年に一度の大会だからこそ得られる経験や反省がある。急務なのは、それを次に生かせる体制を作り上げることである。問題点はすでに見えていることだろう。なかには分かりきっていたこともあるだろう。いずれにせよ、つぎの4年間を棒に振らない改革を望む。


☆15日、男子スラローム(回転)日本代表の成績

・田中哲也(LW2)   18位
・丸山直也(LW4)   7位
・井上真司(LW6/8)  10位
・轟康憲(LW6/8)   15位
・森井大輝(LW11)   6位
・四戸龍英(LW11)   7位
・志鷹昌浩(LW11)   DNF
・高村俊彦(LW12/1) 8位
・森紀行(LW12/2)   DNF


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