| 時にはMAX100km/hを超えるスピードで斜面を駆け下りるアルペンスキー。ターンのたび、雪上に小気味いいリズムを刻む。アスリートたちはこうした“ギリギリの”状況のなか、雪や道具と対話しながら、自らの躰がキャッチする一瞬のサインに常に耳を澄ます。ゴーグルの奥から見据えるのは思い描く理想のラインか、その先にあるゴールなのか、それとも――。 原稿を書きながら、ふと思い出した。あるミュージシャンの言葉だ。 「アーティストって、最終的にはその人の存在がどうか、だと思う」 僕が日ごろ取材しているのはプロレス・格闘技とサッカーだ。両者とも幼い頃から見てきたジャンルではない。ことプロレスに関していえば、仕事のなかで初めて選手と会って魅力を感じ、そこから興味をもって試合を観るようになったのである。 障害者スポーツも同じだった。もともと競技を観ていたわけではない。選手と知り合うことのほうが先だった。だが、そこにもまた自分を突き動かすなにかがあった。「もっと知りたい」と。 その「なにか」はまだ漠然としている。この先に何が見えるのか、それを楽しみに今は追いかけている。そう思わせてくれたのは紛れもなく、出会った選手やその周りにいる人々の存在だった。 つぎは僕の番だ。このサイトが、だれかに何らかの意味をもたらす存在になれたらいい。もちろんそれが目標ではない。高速でリズムをとりながら疾るアルペンスキーとはどんな世界なのか。選手たちがその視線の先になにを捕えるのか。知りたい、とひたすら思うのだ。 Text/Daigo Kumamoto |