内なる闘い―メンタルトレーニング― 〜佐々木如美選手(LW6/8)、伊藤裕美選手(LW2)、丸山直也選手(LW4)〜
国際舞台初出場のプレッシャーや経験からくる自信。本番に立つアスリートに必要とされるのは技術のみならず、強い精神力である。

「国際大会は初めてなんですが、緊張するタイプじゃないから大丈夫です」
パラリンピック・ソルトレイク大会を間近に控えた1月下旬、アルペン日本代表合宿の会見で、佐々木如美選手は笑顔で話した。
国内での実績はある。国際舞台でメダルを争うのは初めてだが、日本ではトップクラスの成績を収めてきた。99年に行なわれた全国身体障害者スキー大会・大回転1位を皮切りに、00年のジャパンパラリンピックでは大回転・回転ともに1位、01年も大回転3位・回転2位と、確実に表彰台に上っている。
ただ「緊張しない」とはいえ、自分なりのメンタルトレーニングにも取り組んでいる。常に「本当にできているのか」と自分に問うという。  「わざとマイナス志向になるんです。情けなくなって涙が出ちゃうこともありました。そうやって1日スキーが滑れない状態まで自分を追い込むと、次の日から気持ちを切り替えられる」
こうして達した境地の先には、「男子にも勝ちたい」という意欲をも持っている。

長野パラリンピックではじめて国際大会を経験した伊藤裕美は当時、緊張の連続で思うように滑れなかった。それから4年間、世界選手権などの大会に出場することで、自分のペースを掴んだという。
「長野大会ではゴールすること自体が目標でしたが、結果を見ると世界のトップとのレベル差は大きかった。それで満足できなかったから、競技者としての気持ちも変わりました」
技術を磨いた。スムーズなターンの切り返しをマスターし、スキー操作の力強さが身に付いた。さらにレース中のペース配分も考えるようになった。すべては経験を重ねたことから生まれたものだ。そして今回は、自分が納得できるレースをすることが彼女の目標でもある。

代表最年少の丸山直也は昨年末、米国ウィンターパークでトレーニングを積んだ。そこで海外の選手の技術やアスリートとしての意識の高さを得ることができた。 長野大会ではまだ15歳だった。当時から「世界のレベルを知りたい」と心に決め、今大会に照準を合わせていた。そんな彼に、「最年少」という意識はない。「代表にいる時間が長いし、アメリカで意識の高い選手と一緒にやってきたのだから」と、言い切る。そして、これまでに培ってきた自信をそのままソルトレークにも持ち込む。
「僕には世界でやっていける自信があります。ムリと思っていたらダメ。常に上を目指す。アメリカ合宿など、これまでやってきたことをまたアメリカに持って帰りたい。メダルは獲ると、もう決めているんです」
ハンス・ブルン(スイス)をはじめ、ライバルはひしめく。激戦は必至だ。勝負はコンマ何秒の世界で争われるかもしれない。だが、丸山の目にはパワーが漲っていた。

どんな競技でも、自分の持てる力を発揮しないまま競技を終える選手は多い。技術もさることながら、100%以上の実力を出し切れる精神力が、ソルトレークパラリンピックにおいても必要とされる。





















Text/Daigo Kumamoto

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