トップアスリートであり社会人でもあるアスリートたちは、かぎられた時間のなかでレベルアップを図るため、自分なりのトレーニングに取り組む。
たとえばプロ野球のキャンプを見ると、毎年のように「チーム独自のトレーニングを導入」といったニュースを目にすることが多い。
日本代表としての合同練習が少ないアルペン選手のなかにも、自分なりの練習方法で調整する選手がいる。
田中哲也は初めてインラインスケートを練習メニューに取り入れた。昨年4月から11月の、ウインタースポーツが“冬眠”に入った時期だった。発想は「人と同じことをやってもしょうがないので」。
一本の足でスキーより短いインラインスケートの、前後左右のバランスをとるのは非常に難しい。だが、これをこなすことにより、シーズンの初滑りがスムーズにでき、その後の仕上がりも早くなった。また、シビアなバランス感覚を要求されるカービングスキーのトレーニングにも最適だったという。
これだけではない。自転車、バドミントン、スレッジホッケー、マリンジェット、ゴルフ…と、彼が取り組むスポーツは幅が広い。とくにゴルフは「4〜5時間の競技のなかで、集中して途切れて集中して、の繰り返しで、力を抜かないといいショットが打てない。いいメンタルトレーニングにもなるんです」と話す。
「スキーのためにしかトレーニングをやっていない」という轟康憲は、瞬発系の筋力を高めるためにテニスを取り入れた。持久力アップには自転車も利用している。また地元長野のエムウェーブで筋力トレーニングに励む。「トレーニングが気持ちを落ち着けてくれる」と話すだけに、ソルトレークに向けてはオーバートレーニングをしないよう心掛けている。
富山県のコンピューター会社に勤める高村俊彦は「忙しくてトレーニングする時間がない」と嘆く。かぎられた時間のなかで集中して練習できるのは週末しかない。家のまわりを車椅子でランニングして汗を流す。くわえて、自宅でできるかぎりの筋力トレーニングを行なう。
シーズンオフとなる夏場を中心に、“本気で”サッカーをプレーするのは、僧侶という一面も持つ井上真司である。長野県の社会人リーグに所属する彼は、「夏はスキーのためではなく、サッカーのためにトレーニングしています」と話す。2週に1回ほどのペースで行なわれる試合では、左サイドバックをこなす。サッカーとスキー両方とも大事にしている井上の、トレーニングの基本は走り込みである。技術はそれぞれのシーズンに、そして基本となる体力強化はこうして行なわれている。
アマチュア・アスリートたちは日常、自分たちの仕事をこなさなければならない。かぎられた時間で効率よく、人と違ったことにトライする。彼らがもっと練習に打ち込める環境を整備するためには、周りの理解を初めとする障害者スポーツにまつわる全体的な変化が必要なのである。 |
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