ノルディック・荒井監督インタビューその1
〜XCスキーを楽しもう!〜

1月17日
パラリンピック・ノルディックスキーチーム監督の荒井秀樹さんにお会いした。荒井さんは、江東区深川スポーツセンターの所長であり、国際知的障害者スポーツ連盟(INAS-FID)の技術委員もなさっている。
この日は、予定の30分をオーバーして、XCスキーの魅力や代表選手の紹介、そして今回参加が取りやめとなった知的障害(ID)クラスのことまで話してくださった。

 ― あさって(1月19日)旭川(障害者クロスカントリーフェスタ)まで取材に行かせていただきます。

代表選手が全員そろうのは、旭川が最後だと思いますよ。ジャパラ(2月15日〜新潟)にも、結団式(2月18日東京)にも、来ない選手が何人かいるので。

 ― 僕たちは先日、福島でSFL-Jを見てきたんですが、そういうレクリエーションと競技スポーツって、やっぱり違うんですか?

いや、基本的には同じですから。XCスキーっていうのは、北欧の生活の中で交通手段として始まったものだから、基本は冬の生活の一部なんですよね。だから僕らは障害を持っている方にも、XCスキーを冬の楽しみの1つとして取り入れてもらえればと思っています。

車椅子の方たちは、雪が降ると自由に外に出られないわけです。それって、考えただけでも滅入っちゃうじゃないですか。外に出て遊んだり買い物したりしたいんだけど、雪が降ると一歩も外に出られない。長田(弘幸)くんなどはね、そんなわけで「冬になるのがいやだ」って言っていたんだけど、長野パラリンピックの前にシットスキーと出会ってからは「早く雪が降らないかな」って言うようになったんですよ。


それって、XCスキーのとってもいいところでね。たとえば、ブナの森とか、白樺の森とかは、夏には車椅子では行けないんですよ。でも冬になって雪さえ降れば、シットスキーに履き替えて入っていくことができる。それで、森の音だとか雪の降る音だとかが聞けたり、運がよければウサギとか小動物の足跡も見れたりね。障害を持っている方も、普段僕らが接することのできない冬の自然を堪能できるんです。

僕らには、パラリンピックでメダルを獲るっていう大目標があるけれども、障害を持っている方にもXCスキーのすばらしさを広めていきたいというのが、もう1つの大きな目標なんですよ。
だから、旭川でもただ競技をやるのではなくて、初日には障害をもっている子供たちをいっぱい集めて、ウィンターゲームの楽しさを知ってもらおうという活動をするんです。こういう取り組みをパラリンピックまで50日を切った今でも行っているのは、XCスキーチームだけだと思いますよ。

 ― 未来のパラリンピック選手が生まれるかもしれませんね。

長野パラリンピックで、多くの方にXCスキーを知ってもらったおかげで、盲学校とか養護学校のスキー教室では、アルペンよりも「歩くスキー」が多くなったんですよ。

「歩くスキー」は自分のペースでできるし、転んでも痛くないですから。そして何よりもいいのはね、先生とかスタッフも一緒に遊べることなんです。アルペンだと、重い靴を履かせたり、リフトに乗せたりで大変なんです。よくギックリ腰になったという話を聞くけれども(笑)。でも歩くスキーはシューズも軽いし、板とストックさえあれば服はジャージでもいいわけだから、非常に簡単に取り組めるんです。そういった点をキャッチフレーズにして、もっともっと広めていきたいですね。