ノルディック・荒井監督インタビューその4
〜XCスキーはチームワークが大事〜
― XCスキーに限らず、パラリンピックの選手にとって一番大切なことって何でしょうか?
何よりも忘れてはいけないのは、自分1人の力だけじゃなくて、いろんな方がサポートしてくれて初めてレースに出られるってことだね。
それさえわかっていれば、あとはメダルを獲るのは選手ですから。僕らはそこまでの道筋をちゃんと示してあげられればいいと思っています。
― XCスキーは、一見すると個人競技に思えますが。
確かに、一斉に「ヨーイドン」じゃなくて、30秒毎のスタートですから、自分が何位なのか、調子がいいのか悪いのか、他の選手と比べる事が難しいんです。そういう意味では、自分1人との戦いでもあります。
でもね、彼らが使う板にしても、ストラクチャー(裏側にある細かい溝)の選定やワックスのテストのために、何人もの人が関わっているんです。それに僕たちコーチたちは、レース中数キロごとにコースに立って、選手の順位や前後との差を教えてあげるんですよ。15kmとか20kmのレースでも決着は数秒差で決まりますから、そういう細かい指示がとても重要なんです。選手も途中で気を抜く事ができません。そういう意味でXCスキーはチームプレーだし、スタッフと選手はF1のメカニックとドライバーのような関係ですね。
― ブラインドの方のガイドも大切ですよね。
彼らはスキーヤーの前を走りながら、声も出さなきゃいけないわけですから、相当の技術が要るんですよ。たとえば、下り坂のホールディングゾーン(ルール参照)では、選手の体をつかんでしまったらスピードが落ちますから、、選手にガイドのストックを持たせたり、ガイドが選手のストックを持ったりして、一気に下っていくんです。僕らでさえ少しミスをしてしまう坂やカーブでも、トップクラスになるとミスをしませんから。だから、特にB1クラス(ルール参照)のガイドは、世界でもステータスが高いんですよ。
― 日本には、B1クラスのガイドができる人は何人くらいいるんですか?
僕は、日本では(荒井幸治・大平紀男・小泉洋美の)3人しかいないと思っています。
彼らのほかにも、ガイドにはインターハイやインカレで活躍したスキーヤーが多いんですよ。
― なるほど…。ところで、長野大会が盛り上がったおかげで、パラリンピックに対する理解者は増えたと思うんですが、現在はどうですか?
長野のおかげで多くの人、特に子供たちが「パラリンピック」という名前を知ってくれた事が大きいと思います。僕らが小さい頃って、「パラリンピック」という名前は知っていても、それがどういうものかはわからなかったじゃないですか。でも今は、子供たちがパラリンピックに対して大変興味を持ってくれています。シドニー大会の時は、この深川スポーツセンターが近くの中学生たちといっしょに「君が伝えるパラリンピック展」を開きました。
また、最近は高橋(正充)選手へのカンパを集めるために、北海道深川市の子供たちが駅前に立ってくれたりもしたんです。こういう活動は、長野以降すごく盛り上がってきていて、大変うれしく思っています。
― 今日は長い間ありがとうございました。大変な事もあるかと思いますが、ソルトレークではぜひいいレースを見せてください。
確かに、今は経済的に厳しいですけど、みんなで知恵を出し合えば、いくらでも活動できると思うんです。
たとえば、大企業からお金を出してもらうことはできなくても、いろんな所から道具や板を提供してもらうことはできるでしょう。実際に、プリントの失敗した板とか、オリンピック選手が一
度使ったストックなどを、提供してもらっているんですよ。
手作りのスピーカー |
ガイドが使うスピーカー(写真)にしても、ここに勤めている職員の手作りなんです。そうやって、ひとつひとつは小さくても、いろんなところに理解者を増やしていくほうが、将来的にはいいと思います。そういう方たちのためにも、ソルトレークではいいレースをしますよ。
・・・インタビューを終えて・・・
お忙しい中を、2時間以上も話してくださった荒井監督に感謝です! 長くなりましたが、どれも有意義な内容なので、ほとんどすべてを掲載しました。
旭川では、日本代表選手が顔をそろえます。監督のお話からも、チームの雰囲気の良さが伝わってきます。乞うご期待です。
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