パラリンピック バイアスロン前日最終練習
〜ソルトレーク初取材!!〜
3月7日、クロスカントリーの競技場であるSoldier Hollow(ソルジャーホロー)へ向かった。メディアセンターから出ている専用バスに乗り、1時間程進む。市街地にはほとんど雪は積もっていないが、山間部に入ると急に積雪量が増えてくる。木造の家が並ぶ小さな村を進んでいくと、突然ブルーの囲いが目に入ってきた。バスはその前で止まる。どうやらここが会場らしい。囲いの中に入ると、メディアやスタッフのためのテントが並んでいるが、この日は試合がないせいか人が少なく閑散としている。メディアテントの中にはパソコンや資料が置いてあり、パソコンではコースの情報や天候が印刷できた。テントを出てさらに奥へ進んでいくと、山野のふもとの斜面に一周最長10Hに及ぶ巨大なクロスカントリーコースが現れた。ついに念願のソルトレークにまで来たのだ!!
射撃場の様子 |
コースでは明日のバイアスロンに備えて最後の練習が行われていた。この日は気温こそ高いものの風が強く、雪も降ったり止んだりの悪天候で、選手達は射撃を中心に1時間程で練習を切り上げるという。トラックの中央、3階建てのビル程もある観客席からよく見える場所に射撃場はある。私達が着くとシットスキーの選手達が練習を行っていた。練習では命中すると緑のランプがつく本番と同じ的の他に、紙に書かれた的を打って後で着弾点が確かめられるものがある。昨日までクラス分けの判定でもめていた深沢春二選手(詳細は昨日の記事を参照)だが、スタッフの話では「練習の結果運動能力が向上した部分が不利に判定されてしまったが、本人はもう完全に気持ちの切り替えができている。」ということだ。
これが試合用の銃だ |
シットスキーの選手の後は、ブラインドの選手が練習に入った。2月15、16日のジャパンパラリンピックを風邪のために欠場した小林深雪選手は、元気な様子で練習に臨んでいた。「バイアスロンのコースにはもう慣れた。射撃は好調だが、息を上げたらどうなるか分からない。」という。この日の夜行われる開会式で日本代表の旗手をつとめる彼女。長野パラリンピックのバイアスロン金メダルに続いて、今回も大活躍を期待したい。
最後にスタンディングの選手の練習が行われた。日本チームで唯一銃の所持免許を持っており、バイアスロンに照準を絞っている伝田寛選手は、いつにも増して真剣な表情で練習に臨み、他の選手が上がった後も建った1人残って時間ギリギリまで練習を続けていた。「今日は強風で弾が曲って当たらなかった」という事だが、私が見ている中でも満射を連発しており、かなり期待が持てそうだ。なにより1人黙々と練習を続ける彼の姿が、どんな言葉よりも強い勝利への意志を感じさせた。
時間ぎりぎりまで練習した伝田寛 |
一方クラシカルXCを得意とする新田佳浩選手だが、持病のヘルニアのため腰痛があり、射撃姿勢が取りづらい状況だという。しかし「天候が荒れて波瀾の展開になればチャンスはある」と勝負は捨てていなかった。
荒井監督にお話を伺うと、「ソルトレークのコースは起伏が激しく、難易度が高い。練習は2日からこのコースで行っているが、まだ完全には慣れていない」と厳しい味方を示していた。
荒井監督とバッタリ! |
そんなに激しいコースなのかとコースへ出てみる。あちこちにパラリンピックの旗や取材用の陸橋が建っている。ホールディングゾーンの斜面はアルペンコースのような角度があり、ジャパラの時とは比べ物にならない。山からの風が常に向い風になるため、スタミナの消耗も激しい。確かに厳しいコースのようだ。
とぼとぼとコースを歩いていると、ワックスコーチの方がスキー板のテストを行っていた。急な斜面で、四本のスキーを次々と履き替えて滑り具合を試している。明日の試合のための大事なスキーだ。選手には1人2種類の板を用意し、その日の天候によって使い分けるそうだ。明日からの天候を予想し、「ストラクチャー」と呼ばれる細かい溝を板の底面に作る。「ストラクチャー」は斜線や半角など色々な形があり、その間隔の広さによっても滑りに大きく影響する。また、気温によってワックスも違うそうだ。選手達の他にもたくさんのスタッフ全員によってチームは支えられているのだ。
明日のバイアスロンを皮切りに、ついに彼等の力がためされる時がきた。期待と不安が入り交じった不思議な高揚感を私も感じ始めていた。
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