競技初日 7.5kmバイアスロン
〜世界の壁はやはり厚かった〜
朝起きると、一面に雪が広がっていた。今日はソルジャーホローの天気はどうなっているんだろう。ソルトレイクの雪はサラサラしている。パウダースノーだ。
昨日と同じように、メディアバスに乗り込む。昨日とは周りの景色だいぶ違う。雪のせいだろう。途中で違うバスに乗り込んだのではないかと疑ってしまった程だ。ソルジャーホローに到着すると、昨日とは全く違う雰囲気だった。メディアが入るところは限られていて、なによりも会場が盛り上がっていた。国旗や垂れ幕を持って大勢の人々が応援している。大漁旗、「高橋正充」「それいけ松盲」という文字が目立つ。日本からも大勢の応援団が来ているようだ。選手にとっては、応援がなによりの力となることだろう。
今日の注目選手は、長野パラで金メダルを取った、小林深雪。バイアスロンに照準を合わせていると言う、伝田寛だ。
予定通り9時スタート。気温はー6℃。雪がちらほら降っている。スタートする度に、選手の名前がDJ風に紹介され、観客が国を関係なく選手を応援している。声を張り上げて応援する人。鐘をならす人。様々だ。
まず、シットスキーからスタート。日本選手は深沢、長田、久保田の順にスタートする。コース上では監督、コーチの声が響く。クラスがLW10〜12でコンバインドされているから、タイム計測が大変だ。コンピューターの前ではコーチがタイム計測をしている。結果は長田27位。深沢30位。久保田7位。3選手ともに射撃がいまいちだったようだ。日本では練習できないから仕方ないのかもしれない。上位の選手はほぼ満射である。やっぱり世界は強い。
続いてブラインドクラスだ。B1〜3までがコンバインドされる。レース開始まで少し時間があり選手がウォームアップを始めた。日本応援団の「がんばれー!!」と言う声援が一層大きくなる。選手はそれに手を振って答える。射撃の練習で小林ガイドは「深雪は調子いいよ。全部満射だから。」とのこと。期待が高まる。
スタートは、高橋、小林稔、小林深雪の順番だ。高橋、小林稔両選手ともに下りで転倒していた。まだコースに慣れていないのであろうか。高橋、小林稔ほぼ同時にゴール。大平ガイドは「次につながる走りをするぞ」と小林稔に声をかけていたが、きっとその通りになったに違いない。
小林深雪は射撃場に入ってきた。得意の17番の台に入る。呼吸が荒くてなかなか体制を整えられないようだ。しかし確実に的に当てみごと満射。「みゆきこげ!!」と小林ガイドのげきが飛ぶ。2回目の射撃では2発目を外す。これがどういう影響をおよぼすのであろうか。ゴール直前までスタッフ陣の「がんばれ」の声が響く。そしていよいよゴール。倒れてすぐには起きあがれなかった。結果は6位。レース後には「射撃では息があがってしまってうまくできなかった。1発外してしまった。」と言いながらも、自分の中ではいい滑りができて満足していた。
小林深雪は一回目満射、二回目は惜しくも二発目をはずす | ゴール後、力を出し切って倒れた |
最後は立位クラス。LW2〜9までがコンバインドされる。日本人選手は、新田、伝田の順番だ。まず新田がスタート。腰の具合が気になる。続いて伝田寛。はたしてどのような結果を残してくれるのだろうか。新田はクラシカルを得意としているのでバイアスロンは振るわなかったが、新田らしくレースを「おもしろい」と表現して「早くクラシカルだやりたい。」と意欲を燃やしていた。クラシカルに期待したい。伝田は射撃で2回
とも満射。残り1周だ。がんばれ!ゴール付近で待っていると、赤いユニフォームが見えた。伝田だ。そしてゴール。結果は5位。メダルには届かなかったが、「今日自分では最高のレースができたと思います。」と満足そうだった。一方で外国人選手との差も実感したと言う。たしかに金メダルを取ったドイツのトーマスは滑りも速いし、射撃がめちゃくちゃ速い。一呼吸で撃つそうだ。世界のトップ3に入るにはまだまだ練習の積み重ねが必要のようだ。フリーでも今日のように満足できる滑りを期待したい。
この日に賭けていた伝田 | 見事二回とも満射!課題は射撃のスピードだ | 「精一杯やったので悔いはない」 |
バイアスロンはドイツがメダル5個と、圧倒的な強さを見せた。滑りも速いが、なんといっても射撃の能力がすごい。自分の銃を持っていて練習を積み重ねているのだろう。世界と対等に戦うには射撃の練習ができる環境を整えることが必要なのかもしれない。
日本人選手のメダルは無かったわけだが、「自分の滑りができた。」というのはとてもすばらしいことだと思う。4年に1回のこの一瞬に今までの練習の成果をすべてだすほど難しいことはない。だから、長野パラで金メダルを取った小林深雪もこの4年間のメダリストとしての責任を十分に果たせたし、伝田寛も次へつながるレースができたと思う。そしてこの結果が出たのも周りの協力者がいてこそだろう。ワックス陣は朝5時まで作業をしていたそうだ。選手達はみな今日のスキーはよく滑ると満足そうだった。そして家族の協力が必要だ。伝田は、長野ライフル協会の関川さんに特に感謝したいと言っていた。伝田は日本チームの中で唯一銃の許可証を持っている。今まで練習できたのは、関川さんが平日でも練習に付き合ってくれたことが大きい。また監督がゴール後に選手に一人一人声をかけているのが印象的だった。
スタート、ゴールともにとても大きな声援が飛んでいた。そこで世界が一つになる。私はこの瞬間がたまらない。これだからオリンピック、パラリンピックに魅力を感じるのだ。明日からもこの瞬間を感じながら、レースを観戦したいと思う。
バイアスロン7.5・
男子シット
1, WEBER Rudolf・・・・SUI (LW11) 25:54.2
2, ANTHOFER Oliver・・・AUT (LW11) 26:08.2
3, RUEPP Roland・・・・ITA (LW11) 26:46.4
27,長田弘幸・・・・・・JAP (LW10) 35:05.8
30,深沢春二・・・・・・JAP (LW10) 41:45.4
女子シット
1, MYKLEBUST Ragnhild・・・NOR (LW12) 28:26.8
2, YURKOVSKA Olene・・・・・UKR (LW12) 30:41.8
3, TRYFONOVA Svitlana・・・UKR (LW11) 30:43.0
7,久保田とし子・・・・・・・JAP (LW11) 40:32.8
男子ブラインド
1, BREN Wilhelm・・・GER (B1) 19:22.9
G:GRUHN Olaf
2,BALAZ Marian・・・ SVK (B2) 19:45.5
G:JURCO Michal
3, HOEFLE Frank・・・GER (B2) 20:50.5
G:ZIPFEL Ulrich
13,小林稔 ・・・・・・JAP (B1) 24:14.9
G:大平紀夫
25,高橋正充・・・・・ JAP (B1) 33:34.4
G:小泉洋美
女子ブラインド
1, BENTELE Verene・・・GER (B1) 22:39.3
G:SCHMIDT Ralph
2, GRAVVOLD Tone・・・ NOR (B2) 24:48.6
G:SOERENSEN Kristian
3, TABOURET Emilie・・・FRA (B1) 24:57.1
G:BAYON Lionel
6,小林深雪・・・・・・・JAP (B2) 27:56.6
G:小林卓司
男子立位
1, OELSNER Thomas・・・GER (LW6/8) 17:29.4
2, GIESEN Josef・・・・GER (LW5/7) 18:13.4
3, DAROVSKIKH Valeri・・RUS (LW6/8) 19:01.0
5,伝田寛 ・・・・・・・JAP (LW6/8) 19:52.9
21,新田佳浩・・・・・・JAP (LW6/8) 24:20.5
女子立位
1, VAN DE BUNT Marjorie ・・・NED (LW6/8) 22:01.4
2, FLORIET Anne ・・・・・・・FRA (LW9) 23:31.4
3, KAPLONIAK Bogumila・・・・・POL (LW6/8) 27:49.7
※タイムは%計算後です。
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