競技三日目ミドルディスタンス
〜女王ミュクレブストが通算15個目の金〜

3月12日、クロスカントリー・ミドルディスタンス(立位男女・シット男子10キロ、シット女子5キロ)の競技がソルジャーホローで行われた。短距離を得意とする選手が多い日本チームは持久力で及ばず苦戦。途中まで3位につけていた長田幸弘(LW10)も後半追い抜かれ5位に終わった。
ゴール前の直線、必死の表情の長田
「期待に答えられず情けない」と語った

「長田3位!長田3位!ドイツにも勝ってる!頑張れ!」2周目を回った地点で荒井監督が声をかけ、10メートルほど併走する。残るは3.3キロのコースを1周。ゴール付近の日本取材陣にもピリピリした雰囲気が流れる。しかし「最後は力を使い果たし、体が動かなかった。」という長田は3周目で失速し、5位に終わった。ゴール後「いつ潰れてもいいという気持ちで走った。自分のために色々協力してくれたみんなの期待に答えられず情けない。」と目に涙を浮かべていた。

シットスキー女子。長距離を得意とするLW11の久保田とし子は善戦するも7位に終わる。1位はノルウェーのミュクレブスト。バイアスロン、ショートディスタンスに続き今大会3連続になる金メダルを獲得した。ミュクレブストは現在58歳。1988年から毎年パラリンピックに出場し、今までに12個の金メダル、1個の銅メダルに輝いている。さらに驚くべきことには、彼女は今回種目に入っていないアイススレッジの選手でもあり、94年に金メダル1つ、銀メダル2つ、銅メダル1つを獲得しているのだ。まさに「シットスキーの女王」である。今日のレースも2位に25・7秒差と危なげなく勝利。彼女の快進撃はこの先どこまで続くのだろうか。
「自分の走りが出来た」という久保田
今大会3個目の金メダルを獲得したノルウェーのミュクレブスト

男子スタンディングのLW5、6/8、9ではバイアスロンとショートディスタンスで金メダルを獲得していたドイツのトーマスが欠場。後にドーピングの疑いでメダルを剥奪されることが分かる(詳細は1つ前のニュースを参照。)日本チームは伝田寛(LW6/8)が8位、新田佳浩(LW6/8)は14位。クラシカルを得意とする新田はフリーではフォームが整わず、力を発揮できなかった。最終日16日のロングディスタンス(フリー走法)ではクラシカルとのミックスで走ることも考えているようだ。通常は速度に劣るクラシカル走法だが、「このままフリーで走るよりはリズムに乗って走れるので勝てる可能性がある。」と話す。果たしてこの奇想天外な作戦は実行されるのだろうか。

B1,2の小林深雪(B2)は昨年11月末の合宿でねんざした左足首がレース中に痛み出し、本来の力を発揮できず最下位の9位に終わった。今までのレースでも完全に直っておらずマッサージで和らげていたが、長距離になるほど痛み出すという。「ロングディスタンスの出場はコーチと相談して決める。」ということで、経過が心配だ。
左足首の痛みで思うように走れなかった小林深雪

また、男子B2の小林稔は7位。ガイドの大平は「1〜2キロを過ぎたら綺麗なフォームを維持できない。」と持久力のなさを指摘していた。「世界は速かったです。」という小林は今回がパラリンピック初出場。普段はリラックスした様子で取材に答えているが、宿舎で一番緊張しているのは彼だという。まだ競技をはじめて4年。今後の成長が楽しみだ。

明日のリレーではシットスキー・長田→クラシカル・新田→フリー・伝田が出場する。3人とも今まで上位に入っているエース級の存在だ。距離もシット2.5キロ、スタンディング5キロと短距離。新田も「明日のレースは楽しみにしていてくれ」と語っていたように、この三人なら何かをやってくれそうな気がする。

男子B1
1位・KOUPTCHINSKI Valen(B1)G:KOUBOV Viatcheslav・23.06.1・ロシア
2位・MUNTS Oleh(B1)G:STOROZHOK Volodymyr・・23.47.2・ウクライナ
3位・BREM Wilhelm(B1)G:GRUHN Olaf・・・・24:09.9・ドイツ
7位・小林稔(B1)G:大平紀夫・・・・・・・・・・・25:46.6・日本
9位・高橋正充(B1)G:小泉洋美・・・・・・・・・30:35.6・日本

男子LW5/7、6/8、9
1位・HECKER Axel(LW5/7)・・・・・・25:08.5・ドイツ
2位・HUSTVEIT Andreas(LW6/8)・・・25:23/6・ノルウェー
3位・GEISEN Josef(LW5/7)・・・・・・25:30.2・ドイツ
8位・伝田寛(LW6/8)・・・・・・・・・26:40.0・日本
14位・新田佳浩(LW6/8)・・・・・・・27:43.1日本

女子B1,2
1位・BENTELE Verena(B1)G:SCHUMIDT Ralph・・・・29:14.7・ドイツ
2位・TABOURET Emile(B1)G:BAYON Lionel・・・・・31:38.9・フランス
3位・KACI Fabienne(B1)G:BLANC Gerard・・・・・31:52.8・フランス
9位・小林深雪(B2)G:小林卓司・・・・・・・・・・37:09.8・日本

女子シットスキー
1位・MYUKLEBUST Ragnhild(LW12)・・・・・・・20:19.0・ノルウェー
2位・TRYFONOVA Svitlana(LW11)・・・・・・・・20:44.7・ウクライナ
3位・YURKOVSKA Olena(LW12)・・・・・・・・・・21:18.3・ウクライナ
7位・久保田とし子(LW11)・・・・・・・・・・・22:32.8・日本

男子LW11
1位・RUEPP Roland(LW11)・・・・・・・・・・・35:07.5・イタリア
2位・MARGUERETTAZ Alain(LW11)・・・・・・・・・35:16.2・フランス
3位・WEBER Rudolf(LW11)・・・・・・・・・・・35:23.6・スウェーデン
11位・深沢春二(LW11)・・・・・・・・・・・・・・48:55.3・日本

男子LW10
1位・TEREBTIEV Michail(LW10)・・・・・・・・・・・35:42.4・ロシア
2位・SHILOV Sergey(LW10)・・・・・・・・・・・・・35:52.4・ロシア
3位・WEBER Hanspeter(LW10)・・・・・・・・・・・・35:57.9・スウェーデン
5位・長田弘幸(LW10)・・・・・・・・・・・・・・・・40:41.7・日本