競技4日目・男女リレー
日本男子は9位、目標に一歩及ばず

今日の天気は雪。今までのレースの中で一番天気が悪い。風も多少あり吹雪いている。この天気はレースにどのように影響するんだろうか。ワックス陣もこの雪には苦労したようだ。横山コーチは「こういう雨から雪に変わる天気はワックスが一番難しい。」と話してくれた。
今日の種目はリレーだ。長野ではスタンディング4人×5km・シット3人×2.5km、の2種類があった。ソルトレークでは第1走が2.5kmのシットスキー・第2走が5kmのクラシカル・第3走が5kmのフリーだ。3選手のパーセンテージの合計は288%以下であればよい。一斉にスタートして、ゴールした順番がそのまま順位になる。30秒おきにスタートする個人種目に比べて、見る方は分かりやすい。

日本の出場選手は、1走 長田弘幸、2走 新田佳浩、3走 伝田寛。3人の合計パーセンテージは274%。スイスと同じく11カ国中最も低い。つまり障害が他のチームよりも重い。各国一斉スタートでタイムにパーセンテージは関係ないから、日本にとっては不利な条件だ。

レース前に新田に話を聞くことができた。「メダルは狙えるかどうかわからないけど、おもしろいんじゃない。雪は有利に働いてくれると思うよ。」このコメントからメダルを期待した。

11時スタート。合図とともに選手たちは思い思いのコースをとる。端の方選手はコースの真ん中に入るため、斜めに滑らなければならない。雪の量が多いため、スキーが滑らず苦戦している。先頭はロシア。続いてアメリカ、フランス。11人の選手が縦一列になって進んでゆく。日本の長田は10位だ。クラスが違うから、単純には比較できないものの、スタートは少し出遅れたか。荒井監督が「長田行けー!長田がんばれ!」と声をかける。


第2走は新田。後ろを振り返りながら、長田が帰って来るのを待つ。1位で飛び込んできたのは意外にもアメリカ。2位はウクライナ。その差は16.4秒。その20秒後にはフランスが続く。あまり差はない。メダル争いは混戦となりそうだ。やはり障害の軽い選手を集めたチームが強い。トップから遅れること2分50秒あまり、9位で長田が最後のカーブを回って来た。最後の直線を必死にこぐ。長田がゴールすると同時に新田がスタート。クラシカルが得意な新田だけに、期待がかかる。レース前「おれのできしだいだよ。」と話していたが、ここでなんとか差を詰めてほしい。またしても荒井監督のゲキが飛ぶ。


第3走は伝田。新田が来ると、「新田来ーい!」と大声で叫ぶ。順位は8位。フィンランドとイタリアの選手を抜いてきたのだ。2走の中では6位の成績。ただ残念ながら、トップとは3分40秒差と、約1分差が広がってしまった。ゴール後新田はしばらく起き上がれなかった。よほどきついレースだったことを物語っている。1位はノルウェー、13秒差でロシアが続く。3位はアメリカ。やはりノルウェー、ロシアは強い。今までになくアメリカの調子がいい。ドイツは5位だ。メダルはどのチームとなるか。


いよいよフィニッシュだ。歓声も一段と大きくなる。初めに帰ってきたのはロシア。そのすぐ後ろにはアメリカ。会場は俄然盛り上がる。わずか1.6秒の差でロシアの勝利。惜しくも2位となったアメリカだが大躍進といえるだろう。選手も抱き合って喜んでいる。1分後3位でノルウェーがゴール。トーマスの出場停止がひびいたのか、メダルが期待されていたドイツは4位に終わった。

トップがゴールしてから6分後、伝田の姿が見えた。すぐ後ろにフィンランドの選手がいる。このままゴールすれば8位。荒井監督の目標順位だ。直線に入ったあたりで一瞬のすきに抜かされてしまう。2人ともに大きな声援が送られる。伝田は最後まで必死に漕ぐが一歩及ばず、9位。トップからは6分43秒差。伝田を日本チームが暖かく迎える。個人戦とは違ったチームとしての一体感が感じられる。

レース後の3選手

レース後のインタビューで伝田は他の2選手に頭をさげた。「どうもすみません。おれのせいです。」ゴール直前の下りで転倒したこともあって、責任を感じたのであろう。長田、新田両選手も満足した滑りができていない表情に見えた。今日の雪は確かに重たかった。ただそれはどの選手も同じ条件なわけで、それを理由にしたら言い訳になってしまう。またパーセンテージの問題も影響した。同じパーセンテージのスイスには勝ったという意味で、同じ条件では勝利を収めたわけだが、選手層を厚くすることが今後の課題であるように感じた。

レース後荒井監督は「選手みんなこの条件の中で頑張ったと思います。今日つながったこのリレーはきっとトリノへつながっていくと思うから、今のトップの国と互角に戦えるだけの力をつけていきたいと思います。期待していてください。」と笑顔で話してくれた。日本はまだまだ発展途上にある。今日はメダルも期待できるかもと思っていただけに悔しさが残ったが、今の日本の実力ではこれが精一杯なのかもしれない。

クロカンのリレーはたすきこそないものの、そこには目に見えないたすきがある。ゴールした選手はすぐには立ち上がれない選手が多く、他の選手の努力をむだにしたくないという強い気持ちが見られた。普段のレースでは「見えない影を追って走る」のだが、リレーの場合は前を行く選手を追って走る。タイムよりも順位にこだわるその単純さにリレーのよさがある。順位こそ振るわなかったが、確かに日本のたすきはつながった。今日のこのレースだけでなく、次の、そして今後の日本チームへとつながっていってほしい。


リレー男子(シットスキー2.5km+クラシカル5km+フリー5km)

1位  ロシア 45:49.1

SHILOV Sergey(LW10)
MANNANOV Irek(B3) G:IVANOV Roman
ILIOUTCHENKO Nikolai(B2)G:GLADYSHEV Andrey

2位  アメリカ   45:50.7

BALK Robert(LW12)
STEWART Willie(LW6/8)
COOK Steve(LW4)

3位  ノルウェー  46:49.7

HENRIKSEN Karl-Einar(LW11)
HAUGEN Kjartan(LW4)
HUSTVEIT Andreas(LW6/8)

9位  日本   52:33.0

長田弘幸(LW10)
新田佳浩(LW6/8)
伝田寛(LW6/8)


リレー女子(2.5km×3)

1位  ノルウェー  32:03.9

MYUKLEBUST Ragnhild(LW12)
VESTENGEN Siw(LW9)
GRAVVOLD Tone(B2)G:SOERENSEN Kristian

2位  ロシア 33:07.7

POLIAKOVA Irina(LW12)
IBRAGUIMOVA Elvira(B3)G:GUMEROV Salavat
ILIOUTCHENKO Tatiana(B3)G:GLADYSHEV Andrey

3位  フィンランド    35:28.4

ARGILLANDER Jaana(B3)G:KAUKONEN Arto
HANSKI Merja Hannele(B1)G:VAISANEN Kirsi
KARI Tanja(LW6/8)

※日本チーム女子は人数が足りず出場しなかった