2002.03.07 アメリカ戦勝利がメダルへのカギ。
同じ4年間の成長ぶりがみどころ。
メダル獲得のための最大の山場となるカードが早くも初日に。 〜日本 対 アメリカ〜
開会式を目前にひかえた7日午後、アイススレッジホッケーの日本チームは、最後の公式練習を行った。45分という短い時間ではあったが、選手らは氷の感触を確かめながら、丁寧な滑りを見せていた。予選は総当りで、翌日の初戦・アメリカ戦で勝利することが、日本がメダルを狙う最低条件だ。
アメリカ戦に対しての不安な要素がふたつある。ひとつは、ここ2年間、アメリカと試合をしていないこと。昨年秋に予定していた国際試合は、状況を確認する絶好の機会ではあったが、テロの影響で中止になってしまっている。ソルトレークに入ってからの公式練習でも、アメリカはその日本の不安をあおるかのように、背番号をかくし、あえてその実力をベールに包んでいるような状態だ。ふたつめは、アメリカがなんといっても開催国であること。地元での優勝に向け、観客の声援がかなりの後押しとなるだろう。
今回6チームが出場するうち、日本は第4シード、アメリカは第6シードというポジションだが、必ずしもそれが勝利への要素になるとは限らない。4年前は日本と同様、「ルーキー」の集団だった。しかし、いまのアメリカはそれとは全く違うチームだと考えていい。試合の構成から精神的成長、技術ひとつをとっても、格段のレベルアップをはかっている。いったいこの急激な成長を遂げている理由は何なのか。それは、「新しい風」をチーム内に入れたことである。
長野大会が終わった後、元NHLプレーヤーのリック・ミドルトンを新しいコーチとして招いた。リックは現役時代に名門ニューヨークレンジャースなどに在籍し、3度のオールスターにも選ばれたことのあるNHLのスター選手だった。そして彼が全くの新しい環境をつくりだし、ホッケーとは何なのかという基礎をたたきこんだとされている。ガチンコで勝負してきたスタイルを一掃し、今までとは違うNHL流の練習内容によって新しいプレースタイルを確立させたのだ。これによりチームのホッケーに対する姿勢は大きく変化したと考えられる。
ソルトレークに各国が集まってから、アメリカは2日間のエキシビションゲームを組み、驚くべき結果を残した。ディフェンディングチャンピオンのノルウェーを2-1、長野パラリンピック銅メダルのスウェーデンを4-0で破ったのだ。もしアメリカが、2年間の沈黙を破ってセンセーショナルなリベンジをし、精神的なダメージを与えることが作戦のひとつだったとしたならば、それは大成功といえるだろう。
日本チームのボス、大村監督も驚きはかくせないようだった。インタビューに対して、「久しぶりに見たアメリカは、やはり前とは違っていた。間違った動きをした時に1回1回動きをストップさせて、そのたびに何が悪かったのかを考えるという練習が、プレーヤーの意識を変えさせたのだろう。スピード、コントロール、キープ力のバランスが非常にとれた選手も出てきたようだ。昨年の中止になった大会でそれを見ていたら、これほどの不安はなかっただろう」と、日本選手のなかにとまどいがあることを口にした。しかし、だからといって自分たちのプレーを温存する必要は全く無いわけで、「たしかに、彼らは強いチームに成長したが我々も努力してきた。日本は群を抜いて上手いプレーヤーはいないが、チームワークと鉄壁の守り、そして総合力では絶対に負けないと思っています。」と、最後は心強い言葉で締めくくってくれた。
日本のプレースタイルからいって、はやく自分たちのペースを作ってとにかく先制点をあげて勢いを作ることが、この試合のポイントになりそうだ。アメリカから歴史的初勝利をあげた長野パラリンピックから4年。この同じ4年間で、お互いにどれだけ成長したかが見どころのひとつになるだろう。
荒木 美晴
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