2002.03.10 アメリカは、生まれ変わった。
 

5-1、大差でカナダを破る。
満員の観客が見守るなか、熱いプレーを展開する。

アメリカが、やってくれた。
競技2日目の最終試合で、第6シードのアメリカが王者カナダを5-1で一蹴した。カナダは世界選手権のチャンピオンで今大会の第1シード。誰もが度肝を抜かれる怒涛の展開だった。



試合開始から1分8秒、シルベスター・フリス(DF 4)がゴールネット前からいったん外に出したパックを、ジョー・ハワード(FW 23)が拾い真ん中から稲妻のようなシュート。世界最強の堅守ピシェット・ピエール(GK 1)が守るゴールに突き刺さった。

アメリカは続けて第1ピリオドで2点を追加。カナダも1点を返すが、最終ピリオドでアメリカがさらに2点をとり、突き放した。実にこの5点全得点には、フリスとハワードが絡んでいる。5点のうち3点はフリスが決め、ハワードは最初のゴールと2つのアシストを決めている。

会場は大興奮の渦。レフェリーが吹く笛の音が聞こえず、プレス席の机がビリビリ振動するほどの大声援だった。やりにくい雰囲気ではあったが、王者の得点は第1ピリオドの1点どまり、その後はただ相手のペースで試合を進めるしかなかった。

もちろん勝負の世界は何が起こるかわからないのだが、こんな試合を見るとすでに勝負は決まっていたのかもしれないと考えてしまう。このフリスとハワードの華麗なるコンビ。NHLからやって来て、じきに「名コーチ」と呼ばれること間違いなしの、リック・ミドルトンコーチがつくりあげた最高の産物だといえよう。


「アメリカは強いらしい」という話は噂ではなく、2002年のこのパラリンピックの場で、世界に証明された。そして同時に、日本にとって4年前「ルーキー」として共に戦ったライバルが、自分たちよりはるか先を走っていることを認めざるを得ない瞬間でもあった。


荒木 美晴


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