2002.03.12 カナダ優勝争いから脱落。
世界王者に何があったか。
現地時間の12日、3つの試合を終了して、予選は残すところあと1試合となった。この日、カナダは日本に逆転で負けて、順位は4位。豊富な知識と経験による冷静な試合運び、そして個人能力の高さから「王者」と称され、今回も優勝候補の筆頭だったカナダが、いま苦しんでいる。
初戦のノルウェー戦は、長野パラリンピックの優勝決定戦と同じカード。息もつかせぬ展開を制したのは、カナダだった。そして、カナダの描く優勝へのシナリオが崩れたのは、2日目のアメリカ戦。格下の相手であったアメリカに5-1でまさかの敗退、主導権を握れず自分たちのプレーが全くできないまま終わってしまった。得失点が大きな意味をもつ今大会においては、この「5点」がカナダに重くのしかかり、精神的ダメージがチーム内の不和を誘った。これを引き金に、カナダは転落への道を歩み始める。不安定な状況が払拭されないまま迎えたエストニア戦では、予想もしていなかった引き分けという結果。そして、今日の日本戦での逆転負け。競技4日目を終えて、選手たちの落胆の色はかくせない。
試合後、インタビュールームに入ってきた選手の目には涙が浮かんでいた。カナダのディフェンスの要でもあり、この日唯一の得点をあげたラボンテ・ジェーン(DF 17)は、各国の力が上達していることを認め、「我々がメダルを獲れなくなるとしたら、今のゲームを落としたことが致命的だ」と悔やんだ。また現在カナダにある同じスレッジチームで練習をしている日本のゴールキーパー永瀬 充(GK 39)が今日ファインセーブしたことについて聞かれると「彼は非常にいいヤツなんだ。すばらしいよ・・・」。そう言ってうつむいた。長野大会でベストゴールキーパーにも選ばれた名手ピシェット・ピエール(GK 1)は、今季限りでの引退が噂されている。「そう、今後は組織に残って後輩ゴールキーパーを育成していくつもりさ」と噂を認めたあと、彼は口ひげをたくわえた大きな体をすくめて、目頭を押さえた。
あさっての最終予選でカナダが対戦するのは、現在3位のスウェーデン。メダルを獲得するためには、絶対に倒さなければならない相手だ。試合、そして彼らの戦いはまだ終わっていない。明日の休養日で心を休め、早く王者の誇りを取り戻して欲しい。
荒木 美晴
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