関連カテゴリ: Tokyo 2020, ユニークメディア, 取材者の視点, 周辺事情, 地域, 東京パラムーブメント, 競技の前後左右 — 公開: 2017年10月30日 at 4:12 PM — 更新: 2017年11月12日 at 12:46 PM

2020東京で会いましょう! 〜パラアスリート・ドキュメンタリー「WHO I AM」シーズン2発表!試写会を訪ねて〜

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スクリーンに映し出されたヒロイン、ベアトリーチェ・ヴィオ
スクリーンに映し出されたヒロイン、ベアトリーチェ・ヴィオ

IPC(国際パラリンピック委員会)とWOWOWの共同制作によるパラアスリートのドキュメンタリー・シリーズ「WHO I AM(=これが自分だ!という輝き)」のシーズン2を披露する試写会が10月27日に都内で行われた。
東京オリンピック・パラリンピック開会ほぼ1000日前という時期と重なり、都内では様々なイベントが行われるなか、この試写会の会場に、今年IPC理事に再任した山脇康氏、シリーズのナレーターを務める俳優の西島秀俊氏も招かれていた。

トップ・パラリンピアンのトークショー

山脇氏は「IPCとWOWOWが一緒にプロジェクトできて嬉しい。東京を盛り上げるというより、世界に向けてパラリンピックを発信するプロジェクトになってきている。WHO I AMという、すざまじいエネルギー。このシーズン2を大いに楽しみ、アスリートのファンになってもらいたい。それがパラリンピックの成功につながります」と、スピーチ。その後、会場はトップ・パラリンピアンらゴージャスなゲストを迎えた。

シーズン1のヒーロー・車椅子テニスの国枝慎吾とヒロイン、マールー・ファン・ライン(オランダ・陸上)を囲んだトークショーが行われた
シーズン1のヒーロー・車椅子テニスの国枝慎吾とヒロイン、マールー・ファン・ライン(オランダ・陸上)を囲んだトークショーが行われた

試写会に先立って、シーズン1にとりあげられた2人の金メダリスト、車いすテニスの国枝慎吾と、陸上のマールー・ファン・ライン(オランダ)が登場。
元テニスプレーヤーの松岡修造氏が司会を務め、北京オリンピック陸上の銀メダリスト・朝原宣治氏を交えて、テニス・陸上の共通点をもつ選手同士が自分たちを語る談義が華やかに行われた。
トークの中で国枝は「東京でも最強の自分を目指す」と宣言し、会場を湧かせた。

「不死鳥ベアトリーチェ・ヴィオ」パラリンピアンの魅力が凝縮されたドキュメンタリー

試写会で紹介されたのはイタリアの車いすフェンシング選手・ベアトリーチェ・ヴィオ(べべ)。急性髄膜炎により11歳で両手足を切断、車いすフェンシングでは義手をはめた世界唯一の選手で、リオパラリンピックでイタリアに金メダルをもたらした19歳の女性。映像は、彼女の主張を通じて障害のある人の世界の美しさとしなやかさを、まっすぐに、描いて見せてくれる。

べべがフェンシングやアート、生きざまを通じて伝えることは「自分の可能性を証明することで、障害のある人は素晴らしい存在となる可能性がある」こと。
彼女にとって障害は大切なアイデンティティである。障害のある人が受けてきた社会的不利益への想いを、当事者として共有できることは幸運ですらある、と考えているのではないだろうか。
あらゆる刺激が、べべの奥のほうに輝くエネルギーを加速増大させているようだ。それは絶え間なく活動するハチドリの羽ばたきのように始まり、イタリア全土を巻き込む大きな波動となっている。

試写を観て印象に残ったのは、(若い職人を育成するベネトンのアートスクール)ファブリカで、べべたちが製作したグラスを叩き割るアートシーン。スポーツとは直接結びつかないその場面だが、パラスポーツが「スポーツ」と「障害」の仮面をかぶりながら、社会にある様々な課題と向き合い、自分たちが作り上げてきた文化の一つ一つを検証し、あらためて自分たち人類への問いかけを試みているかのようだ。パラリンピックムーブメントが秘める一面をかいま見た思いがした。

「WHO I AM」シリーズを通じて、障害のある人もない人も、これまでスポーツや障害のある人の活動に興味がなかったという人も、一人ひとりのパラリンピック・アスリートの魅力的な人柄に引きこまれるに違いない。
誰もがパラリンピックに出場できたり、金メダリストになれるわけではないが、障害をもつことによる強さや弱さ、怒りも、抱きしめるように経験し、自分自身の生活そのものを豊かにすることはできる。パラスポーツは、障害のあるなしだけでなくあらゆるジャンルを超えられる手段の一つになるのではないだろうか。

第1話は無料放送。WOWOWで29日から

WOWOWのドキュメンタリー・シリーズ「WHO I AM」第1話は10月29日・夜9時より無料放送で視聴できる。WOWOWの田中晃社長は、
「すざまじいまでの魅力を伝えたい。WOWOWにとってこのプロジェクトは放送が目的ではない。東京での1033日後の大成功、パラリンピックムーブメントに貢献したい。(映像は)その手段のひとつとしたい」と、この映像プロジェクトにかける想いを語っていた。

このドキュメンタリーには、年間8人のパラリンピック・アスリートが選ばれ、密着取材・撮影が行われ、必要な部分でパラリンピック本番の公式映像が組み合わされて作られている。
チーフプロデューサーの太田慎也氏が「フィロソフィ」を掲げて8組の取材チームが「自分」を見つめながらアスリートを取材している。
そうして撮られた映像のなかには、2020東京を開催国として迎える私たちへ、アスリートからの言葉の贈り物がたくさん散りばめられている。

<参考>
IPC&WOWOWのパラリンピック・ドキュメンタリー・シリーズ
http://www.wowow.co.jp/sports/whoiam/

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