アルペン・ジャパンが初陣飾る――村岡、森井が滑降で銀メダル獲得

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村岡桃佳・ダウンヒル、銀メダル メダルセレモニー (写真・中村 "Manto" 真人

村岡桃佳・ダウンヒル、銀メダル メダルセレモニー (写真・中村 “Manto” 真人

3月9日に開幕した平昌パラリンピックは、10日、Jeongseon Alpine Centre(旌善アルペンセンター)にてアルペン競技滑降種目が行われた。前回のソチパラリンピックでは、男子座位で金メダル3つ(滑降、スーパー大回転、回転)、銀メダル(スーパー大回転)、銅メダル(滑降)をそれぞれ1つずつと大活躍を見せたパラアルペンスキー日本代表。初陣となった滑降は、様々な“表情”が入り交じる結果となった。

最初の表情は“喜”だった。前回のソチに続いての出場となった村岡桃佳(早稲田大/LW10-2)が座位で銀メダルを獲得したのである。開会式で旗手を務め、「競技に向けた良いリフレッシュとなった」という村岡。「(メダルは)率直に言うとホッとしています」と話した。

先にスタートした2選手が連続して転倒し途中棄権。村岡自身もインスペクション(コース下見)で危険なポイントの入出イメージは持っていたが、「(転倒の)恐怖の中でのレースだった」と振り返った。

それでも、「攻めるしかない。自分のベストな滑りを」と気持ちを奮い立たせて競技に臨んだ末の好結果。前走者転倒の報を受け「無難に滑れば表彰台も……」という思いもあったと言うが、「やはり勝ちにいきたい」。攻めの姿勢を崩さなかった事が、銀メダルを手繰り寄せる原動力となった。

4年前のソチではメダルセレモニーで掲げることの出来なかった日の丸。同日夕刻にメダルを授与されると、「4年前を思い出して感慨深かった。気負っていたものが今日で降りたので、明日以降はパラリンピック、そしてスキーをただただ楽しみたい」と笑みを浮かべた。

村岡の行進とメダル獲得で幕を開けた今大会。さらに、最終日の大回転にも出場するため「私に始まり私に終わる」と笑う。残り4種目、肩の荷が降り、リラックスした滑りで複数メダルを狙う。

この日はもうひとつメダルが誕生した。日本のエース・森井大輝(トヨタ自動車/LW11)の銀メダルである。これで4大会連続の銀メダル獲得となった。

村岡桃佳・ダウンヒル、銀メダル メダルセレモニー (写真・中村 "Manto" 真人

村岡桃佳・ダウンヒル、銀メダル メダルセレモニー (写真・中村 “Manto” 真人

しかし森井自身、反省の残るレースだったという。コース上部の緩斜面でミスがあったのだ。進入したコースのサーフェスが思いのほか固まっており、滑走のラインに乱れが生じた。その乱れを修正しようとした際に、板にブレーキがかかってしまったという。

「スピードに乗ることができず、トロトロとした滑りになってしまった。前半の一番スピードに乗らないといけない箇所でスピードダウンしてしまって、青くなりながらレースをしていた」と振り返った。それでも、所属するトヨタ自動車と共同開発したチェアスキーを信じ「自分は誰よりも速いチェアスキーに乗っている」と暗示を掛けながら滑った。

金メダルを獲得したAndrew KURKA(アメリカ)からは遅れること1.64秒差。「ミスが無くてもコンマ数秒の差で負けていたと思う」と悔しがった。インスペクション時と比べて、座位の競技時は日がさし、暖かさすら感じるコンディション。当然、雪面の状態は悪くなるが「彼(=Andrew KURKA)の場合は恐れずに滑ってくる」と評した。

悔しさを見せたものの、「(メダルという)形に残るものがひとつできてホッとしている」と話し、「明日(のスーパー大回転)からはギアをもう2段、3段上げて臨みたい」と意気込んだ。

二人の銀メダリスト誕生の一方で、悔しい結果もあった。前回の同種目覇者である狩野亮は、滑走中にバランスを崩し途中棄権となった。事前のトレーニングラン(公式練習)でコースを滑りきることができず、レースイメージを作りきれないままのスタートとなってしまった。

「悔しい。このレースだけを見据えてやってきたが、正直(滑りきれなかった)トレーニングランの時点で結構へこんでいた」と悔やんだ。

得意とする高速系種目。11日に実施されるスーパー大回転でも連覇がかかる。

「気持ちをフラットに戻して、明日のインスペクションから調子を戻していきたい」と気を新たに次の種目に臨む。

男子の立位では、小池岳太(JTBコミュニケーションデザイン/LW6/8-2)は途中棄権となってしまったが、怪我から復調し、日本代表に滑り込んだ三澤拓(SMBC日興証券/LW2)は、第15位で競技を終えた。順位は中位ではあるが、「元々明日(のスーパー大回転)に向けての段取りだったので、そこまで悪くはないです。スタートからゴールまで一本滑りきれた。緊張も特にせず、落ち着いてラインも見て滑ることができたし、明日にむけてよいイメージ」と落ち着いた表情で話した。

相次いだ選手の転倒に表われているように、滑降実施時はグラウンドコンディションが良い状態とはいえず、選手の口からも荒れたバーン状況に関するコメントが多く聞かれた。

メダリストの“喜び”、前回王者の“悔しさ”、そして後半戦に得意種目を残す選手たちの“思惑”。銀メダル2つと幸先の良いスタートを切ったアルペンチームの戦いは、最終日の18日まで続く。

【主な結果】

<男子>
■立位
①GMUR Theo(スイス)
②BAUCHET Arthur(フランス)
③SALCHER Markus(オーストリア)
⑮三澤拓
途中棄権:小池岳太

■座位
①KURKA Andrew(アメリカ)
②森井大輝
③PETERS Corey(ニュージーランド)
⑨鈴木猛史(KYB/LW12-2)
途中棄権:狩野亮、夏目堅司(RDS/LW11)

<女子>
■視覚障害
①FARKASOVA Henrieta/Guide:SUBRTOVA Natalia(スロヴァキア)
②KNIGHT Millie/Guide:WILD Brett(イギリス)
③SANA Eleonor/Guide:SANA Chloe(ベルギー)

■立位
①BOCHET Marie(フランス)
②ROTHFUSS Andrea(ドイツ)
③JEPSEN Molie(カナダ)

■座位
①SCHAFFELHUBER Anna(ドイツ)
②村岡桃佳
③STEPHENS Laurie(アメリカ)

(校正・佐々木延江)