車いすバスケットボールの街へ。3つの地域が連携し、国際大会迎える

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東京2020パラリンピック競技大会が2年後に迫るなか、パラスポーツへの関心や観戦人口の拡大は重要な課題となっている。東京パラリンピックで車いすバスケットボールの競技会場となる調布市では、競技を地域に浸透させようと様々な取り組みが行われている。

ドイツとの練習試合が行われた調布市総合体育館。市内の小学生や近隣住民などが観戦に訪れた。

ドイツとの練習試合が行われた調布市総合体育館。市内の小学生や近隣住民などが観戦に訪れた。

6月8日~10日に調布市・武蔵野の森総合スポーツプラザにて開催される国際試合「三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2018」を前に、会場の調布市、近隣の府中市、三鷹市ではそれぞれ事前キャンプ地としてドイツ、オーストラリア、カナダの海外チームを受け入れた。武蔵野の森総合スポーツプラザを中心に、近隣3市が連携して車いすバスケットボールを盛り上げようとしている。

大会は昨年、2020年大会に向けた日本代表の強化とパラリンピックムーブメントの拡大を目的に始まり、今年で2回目となる。昨年開催された東京体育館から、東京パラリンピックで車いすバスケットボールの競技会場に決定した「武蔵野の森総合スポーツプラザ」に舞台を移しての開催となる。同会場で開催される初の車いすバスケットボール国際試合となり、世界レベルの審判員や会場管理、競技ボランティアの育成などが行われ、2年後を想定したテストマッチの意味合いを持つ。

大会を前にした5日、調布市総合体育館ではドイツ対日本の練習試合が行われた。体育館には調布第二小学校と北ノ台小学校の児童約440名が応援に駆けつけ、スティックバルーンを両手に選手たちへ熱い声援を送った。

試合は第1ピリオドで33ー33の同点を付けるも、第2ピリオドではドイツの素早いパスに押され、55ー48とリードを許す。その後、点差を縮める場面もあるが逆転ならず、試合は71ー67で終了。児童たちは悔しそうな表情を浮かべたが、それ以上に「どきどきした」と、間近で見る車いすバスケットボールのスピードや迫力に大興奮の様子だった。

日本チームの得点に沸く観客席。スティックバルーンの音が会場中にこだました。

日本チームの得点に沸く観客席。スティックバルーンの音が会場中にこだました。

体育館には近隣住民の姿もあった。リオパラリンピックをきっかけに車いすバスケットボールに興味を持ったという50代の男性は、
「近所なので来ました。海外選手との試合を無料で見られるなんて、すごいなと思います」と語った。

また、同体育館のスポーツプログラムに通う80代女性は「体育館が賑やかだったので見に来てみたら、すごい。(海外選手は)骨格が違いますね。身体が大きくて驚きました」と、初観戦だという車いすバスケットボールに胸躍らせた様子で感想を語った。

調布市、府中市、三鷹市はこれまで3市に跨がるアメリカ軍調布基地の跡地の活用を協議してきた背景がある。
連携は、積極的に行われ、跡地は運動広場として野球場やサッカー場に整備され、近隣には味の素スタジアムやアミノバイタルフィールド、そして昨年11月にオープンした武蔵野の森総合スポーツプラザが立ち並ぶ一帯となっている。
3市は2020の5年前となる2015年度を、オリンピック・パラリンピックムーブメント醸成の初年度と位置付け、これまでスポーツイベントや大会運営など様々な連携事業を行ってきた。

今回の国際試合では、調布市内の障害者施設で、日本代表チームの及川晋平監督と豊島英キャプテンを招いた体験会の開催や、飛田給小学校での日本代表チーム歓迎セレモニー、さらには大会期間中に飛田給小をはじめ、3市の小中学校6校の児童約600名が観戦予定であるなど、車いすバスケットボールへの関心を高める取り組みが行なわれている。

試合終了後、児童とハイタッチする藤本怜央。「大きな手だった!」と子供たちは大喜び。

試合終了後、児童とハイタッチする藤本怜央。「大きな手だった!」と子供たちは大喜び。

調布市の教育現場では、児童が体験したことを家庭で話し、親や家族などを誘って試合観戦に訪れる「リバース・エデュケーション(=パラリンピック教育で活用される考え、子供たちが理解した価値を父母・祖父母に伝える)」の効果も期待されることから、各小中学校での体験会・交流会の開催が気運醸成の重要な一翼を担っている。
調布市生活文化スポーツ部の小柳邦法さんは、
「武蔵野の森での開催をきっかけに、多くの方に車いすバスケットボールに触れてほしい。地域全体で盛り上げていきたい」と、意気込みを語ってくれた。2年後と、その先へ。3市による地域の取り組みもますます加速しそうだ。

パラフォトの取材はニコンイメージングジャパンによる撮影機材協力により行われています。

(校正・佐々木延江/金子修平)