馬術 — 2018年9月26日 at 2:12 AM

トライオン馬術世界選手権・パラ馬術団体戦初日オランダが好発進

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Stinna Tange Kaastrup on Horsebo Smarties DEN (Photo FEI/Liz Gregg)

Stinna Tange Kaastrup on Horsebo Smarties DEN
(Photo FEI/Liz Gregg)

団体戦がスタート、注目はイギリスとオランダの金メダル争い

2018年9月20日(現地時間)、トライオン国際馬術センター(アメリカ・ノースカロライナ州)で、2018年馬術世界選手権のパラ馬術団体戦初日が行われた。

今回の世界選手権から個人競技が先に行われる形式。本会場での競技をすでに経験、メダリストも決定している。成績が良かった人馬、不幸な出来事に見舞われた人馬ともリセット、今度は国のメダルのための戦い。経路も個人戦とは別のチームテストを踏む。
団体戦は各国4人馬までが参加可能(3人馬の国もあり)。今回はそのうち上位3人馬の成績の合計でメダルを競う。なお、2020年東京パラリンピックでは、団体は3人馬のみ登録可能、すべてのスコアがカウントする形式が取られる。
注目は、2大会連覇している大会王者イギリスと、本大会個人演技でメダルを複数獲得して勢いに乗っている前回銀メダル・オランダの金メダル争い。2014年銅、2010年銀のドイツがどこまでついてくるか?
また、この世界選手権は2020年東京パラリンピックの出場権もかかっており、8位までのチームがどの国になるかも見逃せない。

グレードV、イギリスが高得点スタート

FEI World Equestrian Games™ Tryon Sophie WELLS riding C Fatal Attraction-GBR (Photo FEI Christophe Tanière)

FEI World Equestrian Games™ Tryon Sophie WELLS Sophie ride C Fatal Attraction-GBR
(Photo FEI Christophe Tanière)

Tomoko Nakamura &D Jazz F / Team (Photo: Betty Cooper)

Tomoko Nakamura &D Jazz F / Team (Photo: Betty Cooper)

団体競技第1グループはグレードV。8か国(イギリス、オランダ、ドイツ、日本、ベルギー、フランス)から8人馬が参加した。
このグループ、一番手に登場した個人・金メダリストコンビ、Sophie Wells&C Fatal Attraction( 11歳 / セン / KWPN)が77.233%の高得点を記録。世界選手権史上最高得点に届くかという勢いで、王者イギリスらしいスタートを切った。
2番手はドイツ・Regine Mispelkamp&Look At Me Now(13歳 / セン / RHEIN)。前半は6.5点がつく演技が目立ったが、後半になるにつれ勢いと丁寧さが増し、得点も上昇。銅メダル・個人演技の成績(71.452%)を上回る72.791%を収めた。

日本のトップバッターは3番手に登場した中村公子&Djazz F(10歳 / セン / KWPN)。落ち着いた様子でスタートし、入場から7.5点から8点の高得点。その後、得点の係数が2倍になるシンプルチェンジ(駈歩の手前を変える動き)で8点台を含む高得点が付くなど、移行等の細かい箇所の丁寧さや、それぞれの運動の力強さが増した演技で、個人競技で記録した68.738 %を上回る、71.279%を記録した。

続く4番手はオランダ・個人銀メダリストのFrank Hosmar&Alphaville N.O.P.(13歳 / セン / KWPN)。Sophie選手の高得点を見てからの演技でプレッシャーがかかる中、前半はやや採点にばらつきのある演技だったが、後半にいくにつれ上昇。駈歩運動が続くあたりでは8点台も記録し、先日の73.167%をわずかに上回る73.488%。次のグループ以降に出場する同国チームメンバーにつなぐ成績を残した。
5番手フランス・Estelle Guillet&Magic Des Meuyrattes( 9歳 / セン / CH )は65.698%、最後の6番手ベルギー・Ciska Vermeulen &Rohmeo(16歳/ セン)は70.884%に終わっている。

全人馬の成績はこちら(各選手ジャッジペーパー詳細は画面一番右のTOTAL欄、DETAILSをクリック)
https://tryon2018.com/eventResults/2018/1587/resultlist_PT-V
経路表 https://jrad.jp/wp-content/uploads/2018/03/Team5_20170620.pdf

グレードII、個人メダリストが順当なパフォーマンス

団体戦第2グループ、グレードIIは8か国(オランダ、イタリア、日本、フランス、イギリス、フィンランド、デンマーク、ブラジル)・8人馬が参加。
トップライダーは個人金メダリスト・Stinna Tange Kaastrup&Horsebo Smarties(17歳 / セン / DWB)。笑顔で登場した後、チャンピオンらしく活気ある、安定した演技を披露。前半から8点台が多くつくスコアで、74.848%を記録した。

Soshi Yoshigoe & Brown Sugar (Photo: Betty Cooper)

Soshi Yoshigoe & Brown Sugar
(Photo: Betty Cooper)

続く2番手に登場したのは、日本の吉越奏詞&Brown Sugar(12歳/牝/OLDBG)。安定したスタートを切った後、惜しくも2倍係数のレッグイールド(前に進みながら斜めに移動する動き)で少々勢いを失い5点台のスコア。FEITV解説者は、少々驚いて何かに反応しているBrown Sugarを見て、入り口側の窓に太陽の光があたって反射したのが馬の目に入ったかもしれないと語っていた。その後巻き返し、順当に6点台から7点が付く演技で、61.545%を記録した。

そしてこの日、5番手には先日不運にも馬が何かに驚くしぐさを2度見せて棄権した、Lee Pearson&Styletta(9歳/牝) が登場。世界中のファンが期待する中、演技を開始。途中途中で「よくできたね、落ち着いていこう」とでも語りかけるように、Leeが手を伸ばし、Stylettaの首を愛撫する場面が見られた。StylettaはそんなLeeを信用しているかの様子で順当に演技をこなし、無事最後まで終了。数多くの金メダルの演技を見せた時とは一味違った、経験浅い若馬を思いやるLeeの演技だった。結果は71.606 %に終わり、イギリスチームに無事貢献することができた。4人馬いるチーム戦、ここでLeeが低いスコアを出していたらオランダに離されてしまうところだったが、団体金の望みは残った。
個人・銅メダルコンビ・オランダのNicole den Dulk&Wallace N.O.P.(15歳 / セン / KWPN)は好成績に期待がかかる中、発進。初めから8点台を出す順調な演技を続け、72.909%を獲得。団体金に向け、イギリスのLeeを上回るスコアを貢献した。

全人馬の結果はこちら 各選手ジャッジペーパー詳細は画面一番右のTOTAL欄、DETAILSをクリック)
https://tryon2018.com/eventResults/2018/1587/resultlist_PT-II
経路表(日本語版)https://jrad.jp/wp-content/uploads/2018/03/Team2_20170617.pdf

グレードIV、オランダSanne Voetsが高得点を貢献

団体戦のチームは、5つあるグレードに所属選手から4人馬の組み合わせ。場合によっては1つのグレードから2人馬選ばれることもある。このため、グレードIVはイギリスの人馬の登場はなかった。
しかし、このグレードにはオランダにとって重要なコンビ、個人金メダリストのSanne Vontz&Demantur N.O.P.(10歳/ セン / KWPN )。入場から8.5点と高得点が付く演技を見せる。途中、右後肢背旋回でづまづき4点がつくも、すぐに復活して8点、9点のつくハイレベルな運動を見せる。最後は期待通り76.550%の高い成績を団体成績に貢献した。

日本からこのグレードには高嶋 活士&Emora C. VD Wijdewormer(9歳 / 牝 / KWPN )が参戦。途中図形の形成や駆歩演技部分などで4点がつくところがあったものの、残りは7点台が付く演技も見られ、初めての世界選手権では上々の63.659%を記録した。

全人馬の成績はこちら https://tryon2018.com/eventResults/2018/1587/resultlist_PT-IV
経路表(日本語版)https://jrad.jp/wp-content/uploads/2018/03/Team4_20170615.pdf

以上で初日の団体戦競技は終了。初日合計オランダは3人馬終了のうちトップ2人馬のスコア合計で150.038。イギリスは2人馬終了で上位のスコアのみをカウントして77.233。オランダの3人馬が順当にスコアを重ねる中、2日目に登場する残りのイギリスの人馬、Natasha Baker&Mount St John Diva DannebrogとErin Francis Orford&Diorにプレッシャーがかかった。
なお、馬術で通常音楽にあわせて演技するのはフリースタイルだが、本大会では選手自らが演技中に流れるBGMを選択できるというオプションが採用された。FEIの公式中継の解説者は、人馬によっては演技に集中しやすい環境になったかもしれないと解説していた。

取材協力:
Hope Hand, United States Para-Equestrian Association http://uspea.org/
Betty Cooper, Photographer https://www.betty-cooper.com/
Tryon 2018 World Equestrian Games Media Center Team

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(編集・校正 望月芳子)

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