横浜から世界へ。未来のパラスイム担える若手求めジャパンパラ水泳競技大会が開幕

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ロンドン2019パラ世界選手権の興奮覚めやらぬ9月21日(土)、日本最高峰のジャパンパラ水泳競技大会が3日間の日程で横浜国際プールで開幕した。6カ国から19名(うち招待選手5名)の海外選手を含む約480名のスイマーが横浜の地に集った。

1日目の予選のあとジャパンパラ水泳競技大会の開始式が行われ、ロンドン2012パラ水泳世界選手権のメダリスト、東京2020内定者が披露された 写真・秋冨哲生

ロンドン2019終え日本は金3・銀7・銅4・内定3枠を獲得

去る9月15日、ロンドン・アクアティクスセンター(イギリス)で、7日間の日程を終え「London 2019 World Para Swimming Allianz Championships(パラ水泳世界選手権)」が閉幕した。来年にパラリンピック地元開催を控えた峰村史世監督率いる日本代表選手団(14名)は、世界記録更新を含む金メダル3個、銀メダル7個、銅メダル4個・合計14のメダルを獲得(金メダルランキングで13位)し、東京2020パラリンピック水泳の出場のための5枠を獲得、金メダリスト3名が代表に内定した。

London2019 パラ水泳世界選手権・最終日(9月15日)、日本選手全員の試合が終わった。 写真・安藤理智

ベテラン選手らによる成果の一方で、世界は若い選手たちを中心にパラリンピック・ムーブメントが花開いたような印象がある。イギリスなど従来の強豪国に加え、今回メダルランク1位のイタリアや、ドーピング違反問題から復帰したロシア(3位)など日本より上位の国々で若い選手を中心に結果を出している状況がわかった。

9月20日、ジャパンパラ水泳競技大会に先立って世界選手権メダリストの記者会見で報告する峰村史世日本代表監督 写真・山下元気


2013年から始まった峰村ジャパンによる東京2020への取り組みの大半は、多くの若い選手に世界での経験を積ませる機会を作ってきたが、世界選手権に向け今年3月の選考会(静岡)で一挙に現実を見据えた考えを示し東京への最終段階へと舵を切った峰村監督。リオパラリンピック(2016)に出場したメンバーも、アジアパラ(2018ジャカルタ)で芽がててきた若手も厳しいふるいにかけられた。
落選した選手たちはロンドンへは行かない代わりに、自分自身を見つめる練習の時間と、来年3月の東京2020代表選考に向けチャンスを与えられている。

真のレガシーとは?若手の成長がカギ。東京2020へ向け舵をきる峰村監督の想い

「イタリアの状況(メダルランク1位)がここまで来るのに10年かかったと聞いています。イギリス(メダルランク2位)もロンドン2012を生かして7年間取り組んでいる。私たちも自国開催となるパラリンピックを生かしたい。多くの選手を出場させるための枠を増やすには、代表になれず悔しい思いをした選手が、ジャパンパラでいいレース観せてくれたら、それが代表枠獲得につながっていく。頑張ってほしい。ロンドンに来れなかったものをジャパンパラにぶつけ、MQSを切る、ランクを上げてくれることを信じています。ジャパンパラを含めて、今後の日本選手の状況を冷静に判断したいと思います」
と昨夜(9月20日)のジャパンパラに向けた報告会見で峰村監。監督の言葉の中にはつねに若い選手たちへの期待が込められていた。

日本は、世界に通じる若手スイマーを見いだせるのか?

ジャパンパラ水泳競技大会1日目が終了。予選・決勝合わせて日本新記録17、大会新記録11が更新された。
日本記録を更新した選手のうち5人(男子400m自由形S12/宮口陽邑、男子400m自由形S12/川原渓青、男子50mバタフライS5/日向楓、女子100m背泳ぎS8/鎌田美希、男子100m背泳ぎS8/窪田幸太)が予選・決勝ともに日本新記録2回更新してタイムを伸ばした。

女子50mバタフライS7 西田 杏(三菱商事)

メインの50mバタフライ S7予選のスタート前の西田杏 写真・秋冨哲生

「私のメイン種目で東京で目指しているので緊張した。予選でベスト1秒縮められて良かったが、決勝では2週間前の世界選手権の記録を意識してしまい、体が力んでしまいました。クラスが半年前に変わり(2019年2月)、ルール変更もあって私の場合得意な50mに専念できるようになった。練習環境は今まで学生だった頃より増え、コーチと50mだけのことを考えて練習している。その成果が出たと思います」と予選で日本記録を更新した西田は話していた。

男子100m背泳ぎS8 窪田幸太(日体大)

3月の選考会では世界選手権行きを逃した窪田幸太(日体大)は男子100m背泳ぎS8予選を1分11秒97で、決勝を1分11秒58で泳ぎ2回の日本記録更新となった。記録は世界ランクを2つ上げる7位で、ロンドン2019世界選手権の順位に照らし合わせると5位に当たる。

男子100m背泳ぎS8予選 での窪田幸太(日体大)1分11秒97 NR。決勝でも1分11秒58と2回の日本記録を更新した 写真・秋冨哲生

「予選からタイム狙っていこうと思っていて、ベストタイム出ました。バックに関しては後半失速することが多かったので、後半と、キックの改善をしてのぞみました。大学での練習も順調で一つ一つ身になっています。3月の大会で世界選手権の選考取れず、今回のベストが派遣タイムだったので、それが3月出せていたらなと思いました。自分の今のタイムだと(ロンドンの)世界選手権の決勝に残れるタイムだったので、それを意識して泳ぎました」

女子100m背泳ぎS8 鎌田美希(立教大)

女子100m背泳ぎS8で日本新を2回更新した鎌田美希(立教大)は、予選1分31秒91、決勝1分31秒80で日本記録をダブル更新した若手の一人である。この記録は世界ランキング20位と道のりがあるが、先日のロンドン2019パラ水泳世界選手権の順位に照らし合わせると5位に入る記録だった。

女子100m背泳ぎS8予選のスタート前、鎌田美希(立教大)1分31秒91 NR。決勝でも1分31秒80と2回の日本記録を更新した 写真・秋冨哲生

「背泳ぎにずっと力入れていて、日本記録更新をイメージしてトレーニングしてきた。自信を持って試合に挑めました。後半は伸びるが前半がスピードない課題があったので、前半からの練習を意識しました。まだ先のことは考えられないが、3月も同じ種目に出場する。今回はその通過点として自己ベストが目標だった。自信を持っていけます」と鎌田は話していた。

大会2日目(9月22日)は、先週行われたロンドン2019パラ水泳世界選手権で日本代表がメダルを獲得した種目が目白押し。200m個人メドレー、100m自由形、100m平泳ぎが行われる。知的障害の世界王者たちのレースは必見である。