アメリカの優勝で閉幕!東京2020テストイベントを兼ねたジャパンパラ 女子ゴールボール

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東京2020のテストイベントを兼ねた「天皇陛下御即位記念 2019ジャパンパラ ゴールボール競技大会」は、幕張メッセ・イベントホールで世界ランク4位の日本が、世界ランク3位のブラジル、5位のアメリカを迎えて行われた。当初中国が加わる予定だったが手続きの遅れにより参加できず、日本から2チームが出場する形で行われた。

格上の日本を破り笑顔なアメリカ代表チーム 写真・吉田直人

9月28日、2日目(最終日)全ての予選リーグを終え、日本Bーブラジルによる3位決定戦と日本Aーアメリカによる決勝戦が開催され、2019ジャパンパラゴールボール競技大会は、優勝アメリカ、2位日本A、3位ブラジル、4位日本Bで全試合を終了した。

決勝戦 日本 A vs. アメリカ


アメリカのサウスポーAmanda Dennis(5番)が大活躍 写真・吉田直人

ランキングは格下ながら今大会無敗のアメリカと日本A(日本代表)による決勝戦は、昨日までに一人で5得点したアメリカのサウスポーAmanda Dennis(5番)がまたしても大活躍。対する日本は21歳の高橋利惠子をセンターに、レフト、金メダルのロンドンパラリンピックで初出場したエース・欠端瑛子と、ライト、ベテラン小宮正江で守る。前半は両者タイムアウト1回ずつ取りながら0-0で終了。

センターをつとめ必死に日本のゴールを守った高橋利惠子 写真・吉田直人

後半はレフトを欠端とともに成長した若杉遥にチェンジ。アメリカはそのままのメンバーでスタートした。アメリカに先制点を奪われるが、相手のミスをチャンスに変えた若杉が1点を返し、同点。その後アメリカLisa Czechowski(3番)に2得点目を加点され、レフト若杉に変えて欠端を投入して粘るが試合終了。1−2でアメリカの優勝が決まった。

試合後、アメリカのJacob William Czechowskiヘッドコーチは「日本はいつも守備の素晴らしいチームだ。攻撃もユニークな方法をとっているので、大変だった。私たちは選手それぞれがユニークな攻撃スタイルを持っているので、レフトとライトを頻繁に変え出場の機会を作った。アメリカの選手たちは頑張ったと思います。とても誇りに思っています」と話していた。

一方、日本チームの小宮は「多くの方々に応援していただいて感謝しています。ゴールボールを知ってもらうためには結果が大事。決勝戦で悔しい思いをしたので、来年の舞台でしっかりと決勝で戦えるよう課題に取り組みたい。本番の会場でお客さんに入っていただいている中での音の響きを体験することができ感謝している。会場の周りにも多くのボランティアの方がいて支えていただきいい環境に思います」と話した。
欠端は「本番の体育館は、グラウンダーも速いスピードで迫ってくる。バウンドも弾む。相手も同じ状況になるので、ディフェンスでしっかり対応できるよう固めていきたい」と話した。

3位決定戦 日本 B vs. ブラジル

3位は0-3でブラジルに決まった。日本Bチームはパラリンンピックの会場を経験できた 写真・吉田直人

昨日(初日)の試合後「日本でこのような機会をもらえて嬉しい」とNascimento Freitas Dailtonヘッドコーチが話していたブラジルと日本Bによる3位決定戦。日本ゴールボール男子チームからの声援が会場に響く。ブラジルボールからのスタートで、日本は今大会4得点のベテラン高田朋枝と18歳の萩原紀佳との連携で攻めた。ともにタイムアウトを1回ずつ取りながら0-0で前半を終了。後半、ブラジルが3連続で得点を追加、終盤のペナルティーノイズを萩原が防いだが、0-3でブラジルの勝利で終了した。
試合後のインタビューで萩原は、「2020パラリンピックと同じ会場でできた。来年出場できるようにしていきたい」と話していた。

大会を振り返って、市川ヘッドコーチの談話

今回の大会を振り返って市川喬一日本代表ヘッドコーチは「今回はブラジルに勝つことがテーマで取り組んできた。アメリカを破れなかった。今回ウィングは無失点だったが、センターに課題がある。この状況を持ち帰って判断したい。もともとディフェンシブなチームで試合をロースコアに試合を進めることができている。昨年のアジア大会でも中国を倒しアジアチャンピオンにもなったところで、東京に向けてしっかりと成長していきたい」と話した。

市川喬一日本代表ヘッドコーチ 写真・吉田直人

会場については、「素晴らしい会場でゴールボールができる、世界に恥じない会場、ボランティアに思う。床材のタラフレックスはナショナルトレセンでも使用しており同じ素材を使っているので有利。新しいトレセンでこの素材をJSCが使ってくれたのは幸いだった」と話していた。

様々な観戦スタイルの可能性〜見ないパラリンピックも楽みたい〜

2日間での観客数は4636人で、昨年3日間で開催された同大会より800人以上多かった。視覚障害の競技であるゴールボールは、選手は目隠し(アイシェード)をした状態で鈴の入ったボールを敵側のゴールへ投げ合う。音や声、床の振動など視覚以外の情報を極める「音のスポーツ」だ。ならば観戦も見ない場合を想定するのはどうか。日本ゴールボール協会では実況中継を聴きながら観戦できるラジオ端末を用意したり、試合の「リスナー」を募集するなど、視覚障害者も観戦を楽しめるよう取り組んできた。

テストイベントでは、見えない選手が聞く音の広がりを視覚的な波形にしてモニターに映し出したり、バイノーラルマイクで収音した音をヘッドフォンで聴き迫力ある観戦ができる実験も行われていた。(写真協力・丸山裕理)

加えて、今回のテストイベントでは、見えない選手が聞く音の広がりを視覚的な波形にしてモニターに映し出したり、バイノーラルマイクで収音した音をヘッドフォンで聴き迫力ある観戦ができるという実験も行われていた。
パラリンピックで視覚障害の種目は、ゴールボールのほか、ブラインドサッカー、柔道、水泳、陸上、自転車、トライアスロン、ボートなどがある。東京2020を機会に、様々な人が共に観戦を楽しめる「ユニバーサルな観戦スタイル」への工夫はどこまで進むだろうか。ぜひ東京パラリンピックのレガシーになるレベルを目指していけたらと願う。

<参考>
・パラリンピックは見るだけじゃない?開発進むさまざまな観戦スタイル
http://www.paraphoto.org/?p=23538
・ジャパンパラゴールボール、日本が開幕戦を白星発進!合宿の成果に手応え
http://www.paraphoto.org/?p=23516

(写真協力・吉田直人、現地取材・久下真以子、新部遥希、編集・佐々木延江)