Paraphoto 特定非営利活動法人 国際障害者スポーツ写真連絡協議会

8月29日 (17:52)

Paraphoto Article

プレーするふたり

パラフォト企画担当・佐々木のぶえ

8月25日(水)選手団の出発まであと2週間となった。早稲田高校のプールへ河合選手と寺西コーチ、酒井選手らの様子を見にいった。早稲田に到着したのは、18時30分、すでに選手たちは18時から練習を始めているはず。地下鉄をおりると、外はもう暗くなっていた。彼らの夏はこれからなのに、もう陽が短くなっているのがちょっと寂しい。テレビで見る、アテネの陽差しも、何となく秋らしい色に感じる。
 いつも彼らが練習で使っている25メートルの室内プールには、河合選手を昔から取材している地元静岡の静岡朝日テレビ・スポーツ担当のクルー、河合さんのガールフレンド(?)オリンピック選手らが来ていた。
 ジャパラから1週間が経過した。寺西さんの目の下には隈ができていた。大会でのタッピングの失敗から、寺西さんは思い切った計画にでた。叩く位置を25センチ長くしたのだ。無駄に泳がせないためだという。その試みを、昨日くらいから実行し始めていたのは、ひとつの賭けだった。外野のわたしは、もう少し近いところで確実に壁を蹴り返していったほうが、選手は確実に頑張れるのではないか?などと考えてみたりする。しかし、彼らにはそんなことはわかっているはず。勝つための覚悟の賭けなのだ。

 さて、「タッパー」の役割というのは、本来、マラソンやアルペンスキーの伴奏者に等しい。伴奏者といえば、パラリンピックでは選手のパートナーであり、同じ競技者という印象がある。パラリンピックの不思議波力のひとつに、伴奏者の存在がある。いい伴奏者とは、どのように出会うのか、など、話題は多くのメディアもとりあげてきた。伴奏者について言えば、その重要性は誰もが想像がつく。しかし、ブラインド水泳の「タッパー」は、これまで、そうした自覚があっただろうか? 世界中のブラインド水泳を見渡せば、タッパーと選手のすばらしい出会いもあると思うが、日本でパラリンピックの実際の練習を見る限りは、一人の選手と対等に競技しているというより、コーチが何人かの選手のタッピングを担当しているようだ。(もちろん、これはわたしの勉強不足かもしれない。一人ひとりのタッパーは真剣に競技に参加している思う)

 寺西さんは、アテネがはじめてのパラリンピックになるが、じつは河合選手とは13年も一緒に競技の世界で練習してきたパートナーだ。けして言葉にはださないけれど、寺西さんは、役割の重みをいま感じとっているのだろうと思う。
 河合さんも、寺西コさんの勝負をきっとわかっている。彼らは対等であり、一緒にプレーする選手なのだ。

 海外のブラインド・スイマーはどんな練習をしているだろう。タッパーと選手の関係はどうだろう? そして、世界の選手たちの中で、河合さんが勝ってきた理由は? ふたりの練習の様子を見てふとそんなことを思った。


【佐々木】

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2004
アテネ取材プロジェクト

競技 / 日程 / メダル情報

Photo

・水泳ブラインド合宿おわる

7月30日(金)〜8月1日(日)の3日間、東京都北区にある国立スポーツ科学センターのプールで、水泳・日本代表選手6名(ブラインドクラスのみ)とコーチ10名による合宿が行われた。この合宿では、主に「タッピング」の練習を選手とコーチが行った。

選手プロフィール

・河合純一

映画「夢おいかけて」のホームページより

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