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9月24日 (3:23)

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シッティングバレー男子日本、フィンランドに惨敗(22日)

ライター・角田麻子

男くさい集団だった。
 監督・コーチを筆頭に、選手の多くが坊主頭のいかつい姿。
 得点が決まるとどすの利いた声で気合声をかけあい、点を取られても低く気合声を掛け合いフォローする。
 下肢の切断や機能障害の人がコートに座って行う「シッティングバレー」は、ネットの高さこそ低いものの、基本は普通のバレーとかわらない。
 フィンランドの選手は、基本が縦横サイズが日本人より大きいため、座った状態でも高さは日本の上。
 通常のバレーのように、身長の低さをジャンプでカバーするわけにはいかないので、もともとの身体能力の差というのはかなり大きく影響するものの、それだけじゃなく、パワーや技術的な部分でも日本はたちうちできないまま、セットカウント3−0のストレート負けを喫してしまった。

 負けの続く状態でも仲間のミスに笑顔で声をかけあう姿は、高校野球っぽい感じがして、最初はどこか「甘いんじゃないの?」と思っていた。
 しかし、試合が終わった彼らの顔には、コートの姿とは一変、無言で険しい表情で足早にさっていく選手たち。
 その顔は、やる以上、負けるのが嬉しいわけがない。何が足りなかったのか、どれほど惨めな思いをしているかは、彼らが一番わかっている。そんな顔だった。
 せめて気持ちだけは負けまいと、コートの中で必死に雰囲気を盛り上げていた。でも、そんなことだけじゃ勝てないこともわかってる。でも今はそれしかできない自分たちがいる…。
 無言で通りすぎる苦痛に満ちた選手の顔。
 そして、巨漢で坊主頭の、一見「怖いおにいさん」というような風貌の監督が、目をうるませながら、頭をさげて通りすぎていく。

 「敗因は?」「今の気持ちは?」
 そんな質問は無意味だった。
 スポーツって、勝った喜びも負けた悔しさも、結局すべてがそのプレーヤーのものだ。分かち合おう、わかりたいと思っても、見る側がそれを「言葉」で聞いて、なんになるのか…。

 あの男くさい集団は、きっとこの負けから逃げることはない。
 いつか試合で、プレーで、この時の悔しい思いを語ってくれるに違いない。

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