Paraphoto 特定非営利活動法人 国際障害者スポーツ写真連絡協議会

9月20日 (20:40)

Paraphoto Article

IMPOSSIBLEな世界・車いすバスケットボールのシュート

ライター&編集者・角田麻子

 学校の授業や遊びで、誰もが一度はバスケットボールでゴールに向かってにシュートをしたことがあると思う。
 ボールを手に持ったら次にやる動作は…。
 まず膝を曲げる。
 考えずに無意識にしていたけれども、どうしてだろうと考えると、腕の力だけじゃなく立ちあがる膝の伸びる勢いでボールを遠くに飛ばすためだとわかる。

 車いすバスケットボールの場合、当たり前だがこの「膝を曲げる」という動作がない。
 にもかかわらず、選手たちのシュートは、時にはスリーポイントシュートという離れたところからでもシュートを決めてしまう。

 座った状態なので、ボールが手から離れる位置は通常よりもかなり低い。ボールのリリースポイントがゴールよりもはるかに下になるので、通常よりもボールを飛ばす距離が長くなるから、ボールを飛ばすための勢いは通常よりも必要になるはず。
 それでも彼らは座ったままで、さらに車いすで動きながら、全速力で車いすを走らせながらシュートを決める。決めてしまうのだ。


 スポーツを見ていると、時に目の前で起きている場面がスローモーションのように目に焼き付くことがある。 

 19日のアメリカ戦でのこと。日本代表キャプテン・大島選手のミドルシュートがまさに、私の目にはすべての動作がゆっくり目の前で起きているような錯覚になった瞬間があった。

 大島選手にボールが渡った瞬間から、ゴールを向いてボールを持ち上げ手首を返すまで、その動きには少しもブレがなく、迷いもない。
 私の目には、ただ静けさの中にゆっくり動く大島選手の腕の動きはそれ自体が意志を持って、ゴールにむけてボールを持ち上げる腕がスローモーションのように映っていた。

 それから手首のスナップの動きでボールが離れる瞬間、一次停止のように止まって見え、「これは絶対入る!」となぜか見ている私に確信を持たせた直後、「ガシャン」と見事ボールはゴールのフープを通りぬけていく様子が、現実の映像となって私の目に飛び込んできた。

 思い過ごしかもしれない。
 でも、その見事に曲線を描いていくシュートを、美しいと思った。
 

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