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IX Paralympic Winter Games Torino 2006

2006年03月13日 [車いすカーリング]

パラリンピック初登場 車いすカーリング観戦記

車いすカーリングの舞台となる ピネローロ競技場  撮影)吉村もと(以下同上)
車いすカーリングの舞台となる ピネローロ競技場  撮影)吉村もと(以下同上)

先のオリンピックの日本女子チームの活躍で、カーリングは日本でも話題を集めたことは記憶に新しい。私の周囲でも「今回のトリノ・オリンピックで、何が一番面白かったかって、あのカーリングだった。ルールが分かると、あまりに面白くて毎晩つい夜更かしした」という声も多い。 
車いすカーリングは、今回のパラリンピックで初めて行われる種目だ。 日本の障害者スポーツの世界でも、そのブームが波及するなんてことがあるかもしれない。そんな新しい種目をこの目で見てみようと、トリノ郊外にある、ピネローロ競技場に赴いた。 
 
*     *     * 
 
車いすカーリングのルールは、通常のカーリングとほぼ同じ。4人1組のチームで、交互にストーンと呼ばれる石を、リンクの反対側に描かれた輪(サークル)に向かって滑らせる。1エンド(野球でいえば1回、イニングにあたるか)につき、各チームのメンバーが交互に2回づつ投げるので、4人×2回×2チーム、合計16回投げられる。1エンドが終わった時点で、サークル内にあるストーンの数が多いチーム――正確にいうと、サークルのより中央に近い場所にストーンを入れたチーム――が、サークル内のストーンの数だけ、そのエンドの得点を獲得する。少ない方は0点。0点のチームが、次のエンドで後攻を取る。 
ただし、後攻の方が有利に試合を運べるので、早いエンドでわざと負けて後攻を取るという戦略もあるのだ。勝負の運び方は一筋縄ではいかない。 
1試合は6エンド、その6回の合計得点が多いチームの勝ちとなる。 
 
異なる点もいくつかある。スウィーピング(投げられたストーン直前のリンク表面を、ブルームと呼ばれるブラシで磨くこと。飛距離をコントロールさせることが出来る)を行わないこと、男女混成チームでなければならないこと、ストーンを投げるときには、手で直接投げる代わりに所定の棒を使うことが認められていること、などなど。 
 
正確なショットのみならず、相手の裏の裏を読む戦術を要求されるためか、代表者の平均年齢も高い。30代など若い方だ。そのためか出場者を見ていると、カーリング娘どころか、どことなく老獪そうなおじさんが多い。以前は他のスポーツをやっていた人が、引退して車いすカーリングを始めるというケースも多いそうだ。 
 
今回は日本からの出場はない。8カ国の代表が、7日間にわたって氷上の頭脳戦を繰り広げる。 
 
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試合前の練習時間、選手の動きを観察してみた。ストーンを投げる時、ほとんどの選手は直接手を使わず、バーを使って投げている。バーの先に、ストーンのハンドルに合わせた窪みがあり、そこにハンドルをはめて投げるのだ。その力加減、投げるタイミングが勝負を左右する。 
 
スタッフがリンクの正面にストーンを置くと、選手はショットする位置に移動する。どの位置に選手が立つかはさまざまだ。ストーンの脇に車いすを固定して投げる選手もいれば、すぐ後ろに立って投げる選手もいる。選手の個性というか、癖が表れているようで面白い。 
 
ショットの際には、投げる選手の背後にもう一人の選手が控え、投げる選手の車いすを押さえている。投げた勢いで、車いすが動いてショットが逸れたり、車いすの車輪がストーンに触れるのを防ぐためだ。ただし、スウェーデンチームだけは、小さなマットを持ち込んでいて、ショットのたびにリンクに敷いて投げている。これも車いすを固定する方法として、認められているのだそうだ。 
 
サークル付近には各チームの選手が一人づつ控えていて、投げ手に指示を送る。スキップと呼ばれるポジションで、チームの参報役だ。手にしたスティックの先で投げる場所を指し示し、ここを狙って投げろ、ここでストーンを止めろ、とサインを送るのだ。リンクの反対側にいる投げ手と目と目を合わせ、ストーンが手を離れると、まるで自分が投げたかのように、口をぎゅっと結ぶ。個人の投げる技術、先を読む戦略、そして4人の呼吸の合わせ方とのバランスが、勝負の決め手となるのだろう。 
 
そしてどの選手も、ショットの際は真剣そのものだ。テレビのモニターに映る彼らの目は、ただ一点、狙うべき場所を見つめている。1回1回のショットを確実に決めようとする厳しい表情に、見ている方も緊張してくる。 
 
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練習が終わり、選手たちは控え室に戻っていった。リンクの上には誰もいなくなり、競技場は一瞬静かになる。 
いよいよ試合の始まりだ。 

アメリカの老選手
アメリカの老選手

(真下弥生)