2002.03.14 経験〜日本代表の課題3〜
 

現地時間13日午前9:30、男子GS(大回転)が行なわれた。
前日までの温暖な気候とは打って変わり、スノーベイスン(アルペン会場)には朝から雪が降った。2本目を滑る午後にはより大粒の雪が会場に落ちてきた。

日本代表選手たちは起伏に富んだ斜面に、この日も苦戦を強いられる。1本目でリタイアした田中哲也(LW2)は、「雪が湿ってぺたぺたしていて、スキーヤーにとっては一番すべりにくい」と話した。だが条件はどの選手も同じだ。その裏には、十分な練習がこれまでにできなかった悔しさが見え隠れする。山川監督も「海外の選手を見れば練習量の違いは一目瞭然です。その不安が気持ちの面にも影響を与えてしまう」と指摘した。

パラリンピックのスタート台に今日はじめて立った森井大輝(LW11)は、4年に一度の大舞台の雰囲気に飲み込まれた。
「1本目が始まる前から、今までに味わったことのない緊張感が押し寄せてきて、わけがわからないままに終わりました。2本目は少し落ち着きましたが、滑りに意識がいっているうちにコースを間違えた。どうもこうもないっす」と肩を落とす。

丸山直也(LW4)は、約1ヶ月前に負傷した膝の怪我に苦しんでいた。診断は前十字靭帯断裂。ガチガチにテーピングで固めて臨んだが、「攻めの気持ちがまだ足りなかった」と悔やんだ。
「肝っ玉が小さい」と自己評価を下す。それを克服するには、経験を重ねて慣れることが必要だという。彼にとっては、練習量以上に重要なことだった。

「経験」は、あらゆる斜面に対応する技術と、いかなる大舞台でも物怖じしない精神力を培う。“世界の壁”とよく言われるが、まず対峙しなければならないのは、日本のなかに巣食うシステムの問題なのだ。それを克服しなければ、メダルも「納得のいく滑り」も、覚束ないのではないだろうか。


☆13日、男子GS(大回転)・日本代表の結果

・四戸龍英(LW11)  5位
・志鷹昌浩(LW11)  7位
・森井大輝(LW11)  8位
・丸山直也(LW4)   8位
・井上真司(LW6/8)  9位
・高村俊彦(LW12/1) DNF *1st RUN
・田中哲也(LW2)   DNF *1st RUN
・森紀行(LW12/2)  DNF *2st RUN
・轟康憲(LW6/8)   DNF *2st RUN


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