開口一番「ほっとした」と笑顔を見せた大日方の表情は、満足感に満ちていった。これまでの3種目では、メダルこそ含まれていたものの「自分の納得のいく滑り」を出すことができなかった。そこに重点を置く彼女にしてみれば、歯がゆい日々が続いた。

　この日は違った。一本目から果敢に攻める。メダル候補の外国勢が固いバーンに苦しむなか、自分に集中して獲得した銅メダルだった。滑りもこれまでよりイメージに近い。このメダルは大日方にとって、その色以上の価値があった。
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