アウェーでどこまで楽しめるか。追い込まれた時こそ、楽しみたい。

長野の後、様々な国際試合に出場して経験を積み、いよいよ2度目の冬がやってきましたね。キャプテンから見て今の日本は状態は、どうでしょう?
――ずいぶん成長はしましたね。当然、外国の選手たちも成長していますが。現実的な経験の差は縮まらないんですが、ただ、スポーツっていうのは伸び悩みがあって、外国チームがそういう時期に我々はググーッと右肩上がりに伸びてきている。逆に吸収するものがたくさんあるので伸び盛りなんですよね。実力が上を行くことは難しいけれども、近づきつつあります。

今大会の位置付けは?
――このソルトレークはあくまでも通過点。長野でホップ、ソルトレークでステップときて、ジャンプする4年後のトリノあたりを見てほしいなと思います。でも、4年経てばわたしも年をとりますし、もっと若い連中をホッケーに引き込まなきゃいけないというのがある。そのためには今回のソルトレークでは結果を出して、日本にいる障害者の人たちにアピールしたい。“スレッジホッケーのジャパン、強いじゃないか”というふうに思ってもらえるようなプレーをしなければいけないな、と思います。そうすれば次のイタリアが目標になると思います。

若い選手は育ってきていますか?
――ちらほらと始める人はいますが、ホッケーはどこでもすぐできるという競技ではないじゃないですか。リンクがないとできないわけですから、そういう意味でいうと新しくチームが増えるのは難しい。都市には障害者の数も多いからチームができてもいいんですけど、なかなか思惑通りにはいかない。兵庫に住んでいたある選手は、関西にチームが無いから毎週末長野まで通ってました。彼みたいに情熱を持ってやる選手がいれば、どんどん輪が広がっていって、ってなるんでしょうけど、なにせ日本というのがホッケーにあんまり興味ない国なんで・・・。やればおもしろいんですけどねぇ。バスケやってるメンバーを誘っても、やれ寒いだの、冷えるからヤダだの、そういういい訳をされるんで(笑)。そりに一度乗ってみたら絶対楽しいはずなのにって。

新しく始めた人にとって、続けやすい環境なんでしょうか?
――逆にホッケーが好きで入ってくる連中っていうのは一生懸命ですよね。一生懸命ホッケー覚えようとして、一生懸命全日本のメンバーに入ろうとしている。絶対数が少ないから、全日本メンバーに入れるチャンスはものすごく大きいんですよ。今回の代表15名の中にも、まだ始めて2年というヤツがいる。

それはスゴイ・・・。
――でも、たとえば車椅子バスケで全日本に選ばれたヤツと、スレッジで選ばれたヤツは違うんです。「アスリート」って言葉がよく出てきますけど、競い合ってライバル蹴落として頂点にのぼりつめたアスリートという意味では、バスケの選手のほうが上じゃないかな、と。スレッジでいうとカナダがそう。とてつもない数のヤツらと競って、自ら勝ち取った椅子なんですよ、オールカナダっていうのは。まさに選ばれたアスリート。だから憧れられるんです、障害者でもオリンピックでホッケーに出るのと同じくらいに。

確かに通過点ではあるけど、今回のソルトレークで勝つことは大きな意味がありますよね。
――そうですね、やはり4年前よりホッケーというものを知って大きくなってますから。今度はメダルは不可能じゃないなってみんな思ってるんです。実際、スウェーデンは何とか勝てるかなという感じではあるんですよ。スウェーデンに勝てばメダルは本当に夢じゃない。試合は初戦アメリカの次にエストニアと続いて、一日あいてスウェーデンですから、前半いいカタチで勝って、一日いい気分で過ごして、スウェーデン戦を迎えたいですね。

初戦のアメリカ戦については?
――たまたま、長野で唯一勝ったのがアメリカじゃないですか。長野は日本にとってホームだったけど、今回はアウェー。アメリカはテロの影響もあって、今回はすごい応援になると思います。でも、そんな中でどれだけ戦えるかが楽しみですし、うれしいですね。

それで緊張したりプレッシャーになることはありませんか?
――正直な話ありますけど、私たちは長野で経験してますので、それを味わうしかないですね。たださっきも言ったように、アメリカ戦は異様な雰囲気になると思いますから、初出場の選手がそれにのまれて真っ白にならなきゃいいけどな、と思います。

(初出場の)遠藤選手はアメリカ戦が楽しみと言ってましたが?
――それが怖いんですよ、本当にすごい雰囲気ですから。現地に入って「アメリカ」っていうだけで変なプレッシャーを受けて、硬くならなければいいんですが。私たちはアメリカ戦でもスウェーデン戦でも所詮やることは同じですから、やることやれば勝てるんです。

加藤さんのモットーは「一試合一試合楽しめれば、よい結果がついてくる」でしたね?
――まさに、その通りです。楽しんでやらないと。追い込まれた時こそ、楽しむ。試合そのものを楽しめないと、プレーがどんどん変になってしますから。Webでも、その楽しさが伝わればいいのですが。

最後に読者の方にメッセージをお願いします!
――健常のホッケーがオリンピックに行けなかったところに、わたしたちスレッジが出場できるのはとても光栄なことだし、アジア代表でもあるので、一試合一試合全力で戦ってひとつでも多く勝ってメダルを持って帰りたいと思います。是非、応援のほうよろしくお願いします。

●加藤選手個人としては3度目の冬のパラリンピック出場。スレッジに対する想い、大舞台の楽しみ方や怖さなど、経験に基づいたお話はたいへん参考になりました。加藤選手にとって、素晴らしい大会になることを願っています。
加藤選手、ありがとうございました!



荒木美晴

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