| ● アイススレッジホッケーとは? アイススレッジホッケーは、アイスホッケーを身体障害者のために一部ルールの変更をして行われる「Adupted Sports(アダプテッドスポーツ)」のひとつ。アイスホッケーとの違いは、試合時間が15分3ピリオド(健常は20分)で行われるということ以外は、スケート靴の代わりに2本の刃(ブレード)がついたスレッジ(そり)に乗ること、短いスティックを2本使用することなど用具の規格に関するもので、基本的にはIIHF(国際アイスホッケー連盟)の規約に基づいたルールで実施される。足や膝はバンドなどで固定され、氷の上はスティックの先についたピックで氷をかいで移動。そして、胴体の上部やスレッジの側面による体当たりが認められている。チームワーク、華麗な個人技、スピーディーなゲーム展開や迫力、激しいボディチェックなど見どころは盛りだくさんだ。 アイススレッジホッケーは約30年前に北欧で始まり、やがて世界に広がった。レークプラシッド大会で公開競技として行われ、冬期パラリンピックの正式競技に採用されたのは、1994年のリレハンメル大会から。初代王者はスウェーデン、2位ノルウェー、3位カナダ、4位エストニア、5位イギリスだった。この年日本では、初めてのスレッジホッケーチームが結成され、活動を開始した。 |
| ●ルール ◎リンク アイスホッケーと同じリンクを使用。おおよそ、長さ60m、幅30m、フェンスの高さ1m20。通常、リンクとベンチは構造上10cm程度の段差がある場合がほとんどで各チーム手作りのスロープなどで対応しているが、パラリンピックでは段差のないリンクと規定されている。 ◎プレーヤー ゴールキーパーを含む6人で試合を行う。内訳はFW(フォワード)3人、DF(ディフェンス)2人、GK(ゴールキーパー)1人。ベンチ入りは12名で、交代は随時行われる。プレーヤーはいかなる攻防にも耐え得るように肩あて、胸あて、手袋、ヘッドギアーなどの防具をつける。 ◎ゲーム 15分3ピリオド。ゲームは、リンクの真ん中のセンタ−アイススポットでレフェリーの落としたパックを両チームが奪い合う“Face off(フェイスオフ)”から始まる。プレーヤーはスティックを使ってパスをしたりシュートを打ち、パックが相手のゴールラインを越えると得点になる。ゲーム中に反則があったときはレフェリーは笛を吹いて一度ゲームを止め、再びフェイスオフなどによってゲームを始める。決勝トーナメントでは、同点の場合は10分間のサドンデス延長戦が行われ、それでも決まらない時はサッカーのPKのようなシュートの打ち合いで勝敗を決める。 ◎オフサイド&アイシング ★オフサイド ・ブルーラインオフサイド パックを持つ選手より先に、味方の選手が攻撃ゾーンに入ると反則。ブルーラインのそばでフェイスオフとなる。 ・センターライン・パス 防御ゾーンからセンターラインより前にいる味方にパスをすると反則。 ★アイシング Aチームの選手がセンターラインの前から出したパックが、誰も触らずにBチームのゴールラインを越えたときアイシングとなる。Aチームの防御ゾーンのフェイスオフ・スポットでフェイスオフとなる。 ただし、以下の場合はアイシングにならない。 1. ペナルティで選手が退場していて、相手チームより人数が少ない時 2. 相手チームがパックを止める、あるいは触れることが可能なのに、故意に触れなかった時 3. パックがゴールラインを越える前に、相手チームの体もしくは道具のどこかに触れた場合 4. パックがゴール・クリーズを通り抜けた場合 ◎ペナルティ アイススレッジホッケーではボディアタックは認められているが、乱暴したりするような危険なプレーは禁じられている。これらは反則の軽重によって次のどれかのペナルティが科せられる。 ・ マイナー・ペナルティ/2分間退場 ・ メジャー・ペナルティ/5分間退場 ・ ミスコンダクト・ペナルティ/10分間退場、ただし代わりの選手が出場 ・ マッチ・ペナルティ/残り時間すべて退場、ただし5分後に代わりの選手が出場 ・ ペナルティ・ショット/GKと1対1の攻撃が1回できる |
| ●おしえて!スレッジ3大用具 <スレッジ> スレッジは、下肢機能障害の選手が車椅子の代わりに使うもの。お尻の形に合わせたプラスチック製のシート(バケットシート)がついている。脊髄損傷で胸椎レベルの選手は深め、脊髄損傷で腰椎レベルまたは切断の選手は、おおむね浅めのシートを使用。スレッジフレームと氷との高さは、パックが通過できる8.5〜9.5cmと決められている。 <ブレード> 氷の上を移動するために本体の下に2枚のブレードと呼ばれる滑走部がついている。2枚の刃の間隔は約10cmで、選手のプレースタイルによってこの幅がかわる。間隔が広いと転びにくいが起き難く、逆に狭いとターンが早くなり小回りがきくものの安定性に欠ける。 <スティック> アイスホッケーのステックを改造して作る。左右1セットで素材の規定は無く、ブレード部分は25cm以内、シャフトの部分とで75cm以内であればよい。スティックエンドにはピックと呼ばれるギザギザの歯がついていて、これで氷をかいで移動する。 |
