Paraphoto 特定非営利活動法人 国際障害者スポーツ写真連絡協議会

8月08日 (12:11)

Paraphoto Article

柔の道を行こう! 04年5月徳島合宿その3

ジャーナリスト・河原由香里

【アテネパラリンピック選手強化合宿 in 徳島県鳴門市〜その3】

●外国人選手レベルアップ進む

鳴門市で開催された視覚障害者柔道の強化合宿には、中国、イタリア、ハンガリー、オーストラリアの4か国から計20人近くの外国人選手が参加した。パラリンピックを控えた日本での合宿に、これほど多くの外国人選手が参加したのは初めてだそうだ。

合宿では、日本の視覚障害者柔道関係者の中から、「外国人選手は、格段にレベルアップしている」と指摘する声があった。日本人選手もパラリンピックを重ねるたびにレベルアップしているが、外国人選手は、日本人選手を上回る勢いでレベルアップしているという。

 私が練習を観ていた中でも、日本人講師の指導に通訳を通じて質問したり、体で覚えようと熱心に練習している外国人選手の姿があった。体重別の試合形式で行った練習では、闘志をむき出しにして対戦している外国人選手もいた。

日本の代表選手は、国際大会でメダルを獲得するレベルの選手でさえ、仕事や学校と柔道の両立に苦労している。これまでにインタビューした選手からは、「日常生活の中で、なかなか柔道の練習ができない」という声を数多く聞いた。

視覚障害者柔道に限らず、障害者スポーツ全般に共通することかもしれないが、企業などのサポートがあるオリンピック選手に比べ、パラリンピック選手は、スポーツをすることでは“生活の保障”を得られていない。選手たちは、生活の糧を別に持ち、練習する場所や練習相手の確保などに苦労しながら、個人の努力で練習に取り組んでいる。

 今回の合宿に海外勢では最多の選手10人が参加した中国は、パラリンピック選手に対し、国が生活保障も含めてサポートしていると聞いた。

 日本人選手が個人的な努力で懸命に練習に取り組んだとしても、選手を取り巻く環境が選手のレベル向上に与える影響は小さくないだろう。日本伝統のスポーツである柔道だが、パラリンピックの表彰台を海外勢に独占される日は、そう遠くないところに来ているのかもしれない。

【河原由香里】

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