Paraphoto 特定非営利活動法人 国際障害者スポーツ写真連絡協議会

9月21日 (15:42)

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粘って掴んだ銅メダル  +100s級天川敬史選手

ジャーナリスト・河原由香里

粘って掴んだ銅メダル

+100s級 天川敬史選手

 敗者復活戦で勝ち抜き、もぎ取った銅メダルだった。

「他の選手の負けは考えないようにしていたんですけど、柔道日本の意地を見せたいと思ってやりました」

 メダル獲得にほっとした表情を浮かべ、天川選手はインタビューに答えた。

 アテネパラリンピック視覚障害者柔道の最終日。

90s級の宮内選手、−100s級の松本選手、そして天川選手が試合に臨んだ。しかし、宮内選手、松本選手は、先に敗退していた。

 天川選手は、初戦のブラジル代表SILVA Alexandre選手に「効果」と「有効」のポイントを重ね、残り53秒で「後ろけさ固め」を決めて勝利。しかし、2回戦のロシア代表AKAV Osman選手とは、「効果」1つ、「指導」1つ、とポイントが並び、緊迫した試合となった。そして、試合終了間際、相手選手に「谷おとし」を決められた。

「重量級のメダルは、1つも取れないかもしれない」。

日本選手を応援していた人の多くが、そんな気持ちを抱いたに違いなかった。そして、銅メダルをかけた天川選手の最終戦の勝利を祈った。

最終戦。

初戦、2回戦で試合時間いっぱいまで戦った天川選手は、すでに、かなりの体力を消耗していた。対戦相手のスペイン代表CAMPOS ARIZA Fermin選手も、メダルへの執念を燃やしていた。試合は、同点のままもつれ込み、時間がじりじりと過ぎていく。天川選手は、懸命に粘っていた。

「天川さん!ファイトォ!!!」、今大会初日に金メダルを獲得した66kg級代表の藤本選手が、声をからして声援を送っている。「天川、攻めていけ!」「天川!天川!」、観客席の声援が、一段と大きな波を打つように聞こえた。

そのときだった。

天川選手が相手選手を押さえ込んだ。

「やったぁー!」

叫びに近い歓喜の声が客席から沸きあがった。

最後の最後まで粘って、懸命に伸ばした天川選手の手が、ついに銅メダルに届いた。

「何とかメダルを取りたかったです。今、実家に帰っている嫁さんと子供に、いいお土産ができました。達成感でいっぱいです。よかったです」

全身から汗を滴らせながら、天川選手は、勝利に微笑んだ。

【文・河原由香里】

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