パラフォトニュース
記事掲載日:2004/02/02

「世界」の厳しさに挑戦した1日。

 今日(31日)は、世界選手権の最初の種目であるダウンヒル競技が行なわれました。結果的に日本チームが獲得したのは、青木辰子選手(LW10)の銀メダルひとつ。大会直前まで参戦していたワールドカップでの成績を考えると、少々物足りないように思えます。なにしろ、ワールドカップは3クラス制。つまり、表彰台に上れるのは、男女で6人しかいないわけです。そこであれだけ(※報告済みのワールドカップ成績を参照してください)大暴れしたからには、各クラスが単独で成立する世界選手権では、それこそスロットマシンの大当たりのようにザクザクとメダルを稼げるのではないかと期待してしまうのも無理はないでしょう。
 しかし、現実はそう甘いものではありませんでした。もともとアルペンスキーは、不確定要素の強いスポーツ。どんなに速く滑っても、一瞬のミスが転倒を招き、優勝をねらえる選手の記録を「途中棄権」にしてしまいます。オフィシャルレポートでも触れましたが、今日のコースは、昨日までのトレーニング時にできた細かい凹凸が残っていて、難易度が確実に増していました。もしも日本で開催したなら、徹底した整備でフラットにしていたでしょう。しかし、ソルトレイク・パラリンピックでもそうだったように、あえてそうしないのが「世界」の厳しさです。さらにいえば、コースそのもののプロフィールも、日本で経験するのがむずかしいほど起伏に富んでいます。縦・横・斜め、あらゆる方向に斜面が変化し、選手を一瞬たりとも休ませません。日本のコースを高速道路とするならば、ここヴィルシュナウのコースはまるでジェットコースター。そのくらいの違いがあります。そんな全身を激しく揺さぶられるようなコースに対応するためには、経験を積むしかありません。
 そう考えると、日本チームにとっての海外遠征は、練習の成果を発揮する舞台であると同時に、「世界」を経験する練習の場でもあることがわかります。とりわけダウンヒルは、日本にいてはほとんど練習できない種目。いわば「ぶっつけ本番」に近かったわけですから、そんな中での銀メダル獲得は、まずまずの成果と考えてよいのではないでしょうか。
 それよりも気になるのは、選手の体調です。日本を離れて、すでに10日。風邪ぎみの選手、ケガをした選手、疲れがたまっている選手が、パッと見てかなりの数に達しています。明日のスーパーGを乗り越えれば、レースのない予備日があり、またその後のレースも男女で日程が分かれます。休養をうまく取り入れて、コンディションを整えていってほしいものです。


 そうそう、ここは「パラフォト」ですから、写真もなければいけませんね。今日のレースの激しさが伝わりそうなカットを、いくつかお届けします。
 →写真


★パラフォト用特別レポート 第1回/この特別レポートでは、オフィシャルレポートでは伝えきれない内容をお届けしたいと考えています。よろしくお付き合いください。


【堀切】


※写真は、ニコン提供の最新デジタルカメラD2Hにより撮影されています。


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