＜ブラジル対アルゼンチン　４：１＞
　信じられないことが起きた。ブラジルの３選手、アルゼンチンの１選手、両チーム合わせて４名もの退場者が出る大荒れの試合となる。まさに暴動と呼ぶにふさわしい出来事がフィールド内で勃発してしまったのだ。因縁の南米対決だけに何かが試合中に起きても不思議ではない雰囲気は確かにあったが、ここまでヒートアップするとは誰一人として想像すらできなかったはずだ。

　　
　試合内容は、アルゼンチンが研ぎ澄まされた集中力と結束力で、チーム一丸となって必死に守り、前半は０対０で折り返した。個人技だけしかなかったチームに、はじめてチームワークを感じることができた。今大会最高の出来だっただけに、格上のブラジル相手でもそれなりの期待感あった。ただ１つ気になった点は、アルゼンチンの５番が前半イエローカードをもらうなど、ラフプレーがお互いに目立ったことだ。

　
　後半に入ってゲームが動き出した。再三のピンチを迎えながらも、何とか持ちこたえていたアルゼンチンのディフェンスをついにブラジルが打ち砕いた。コーナーキックからの得点だった。ここぞというチャンスを逃さないあたり、さすが決定力のあるブラジルの攻撃陣だ。畳み掛けるようにその数分後、ゴールラインぎりぎりから折り返されたボールを、９番が流し込みこの日２点目。

　ブラジルは個人の技術が高いうえに、良く統率された組織力も備わっているのが強みだ。９番と10番の個人技頼りのアルゼンチンとは歴然とした差があるように思える。アルゼンチンも何度か決定機を迎えるが、ボールが枠を捉えることはなかった。勝負を決定付ける３点目をブラジルがもぎ取る。アルゼンチンの司令塔10番Mario選手が、同じくブラジルのファンタジスタ７番Fabiano選手にボールを奪われ、そのままゴール前まで持ち込まれ失点。この日を象徴するような流れだった。更にとどめの4点目のゴールをブラジルの９番がハットトリックで決める。この一方的な展開が思わぬ事態を招くことに。

　試合終了間際、アルゼンチンの10番Marioがブラジルのチャージを受け、かなり大げさに倒れる。Mario選手が猛烈な勢いでブラジルの選手を挑発すると、これにブラジルの３番の選手がキレてしまった。殴りかかりにいったのだ。ここから両チーム入り乱れての、乱闘劇がはじまった。監督、コーチでさえ選手を抑えることができず、収拾がつかない状態になる。結局、事の発端を作ったアルゼンチンの10番、ブラジルからはエース９番と主力２人の計３人が退場になる。ブラジルは決勝に３人のメインプレイヤーが出場できなくなることを意味する。ほぼ優勝が遠のいたと言っていいだろう。絶望的だ。楽勝だっただけに、全く無意味な喧嘩を買ったものだ。あまりにも高い買い物となってしまった。何とも愚かなことをしてくれたことか。感情をコントロールできない未熟者集団にメダルを与える必要すらないのかもしれない。前の試合で神の後押しがあったからこそ勝利を掴めたと言っていたブラジルの選手。これも神がさせたことなのであろうか

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