馬術 — 2018年9月26日 at 1:45 PM

トライオン馬術世界選手権・オランダが王者イギリスを破りパラ馬術団体戦初優勝!

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FEI World Equestrian Games™ Tryon USA Team Championship Netherlands (Photo FEI/Liz Gregg)

FEI World Equestrian Games™ Tryon USA Team Championship Netherlands
(Photo FEI/Liz Gregg)

2018年9月21日(現地時間)、トライオン国際馬術センター(アメリカ・ノースカロライナ州)で、2018年馬術世界選手権のパラ馬術団体戦2日目が行われ、団体メダルが決定した。メダルを獲得した国は、2020東京パラリンピックの出場権も与えられる。
今回14の国と地域、すなわち、フランス、オランダ、日本、フィンランド、イギリス、デンマーク、ブラジル、ドイツ、アメリカ、イタリア、カナダ、香港、ポルトガル、ベルギーが団体戦に参加している。

FEI World Equestrian Games™ Tryon USA Natasha Baker on Mount St John Diva Dannebrog (Photo FEI/Liz Gregg)

FEI World Equestrian Games™ Tryon USA Natasha Baker on Mount St John Diva Dannebrog
(Photo FEI/Liz Gregg)

金メダル争いはグレードIII

前日の時点でオランダは3人馬の演技が終了。4人馬中3人馬の演技が終わり、トップ2つのスコア合計で150.038を記録。一方、イギリスは2人馬の演技が終了、トップのスコアのみをカウントして77.233。この日演技する2人馬に期待がかかる。
イギリス、オランダともに残る人馬はグレードIII。オランダの最終人馬で個人金メダリスト、Rixt van der Horst&Findsley(8歳/ 牝 / KWPN )が1番手で登場。入場こそ6.5がついたものの、ほかの演技と総合点の項目は順当に7点台から8点がつき、安定した演技でチーム成績に貢献する73.559%を記録した。この時点でオランダの団体成績は223.597点に確定。
イギリスチームは追い越すためには残る人馬で146.364点が必要。最低73.182%の高得点演技が求められる状況になった。

6番手に個人・銀メダルコンビNatasha Baker&Mount St John Diva Dannebrog (9歳/牝)が登場。成績は74.118%と順当な結果を記録。
競技後、Natashaはこのように語っている。
「自分のできる最高の演技をめざし、精いっぱい演技するしかなかったです。Rixtのスコアを知っての演技だったので、それを越えなければならないとわかっていました。なんといっていいかわかりません。まだ震えています。この馬は本当に素晴らしかった、素晴らしいとしか言えません。本当に、本当に、誇りに思います。(コーチの)リサが隅角をきっちり通らないとだめ、それができたら中間速歩がきちんとできる、そう言っていて、今日はずっと良くなった気がします。入ったときから馬に自信があるように思えました。
今朝はいい感じでした。今日のほうが自信がありました。少しは緊張しましたが、調子が良かったのであまり関係ありませんでした。今日はずっと個人戦より準備ができて入場できた気がします。7か月でこれだけできたのなら、1年後はきっともっと馬に自信がつくでしょう。Divaは本当にいい馬で、私はこの馬が大好きです」
金メダルがかかる、次のイギリス選手の演技に向けてのコメントは、
「このあと演技するErinはすべてを忘れて演技をする、それだけすればいいんです。入場して、今年ずっとしてきた素晴らしい演技を見せてくれれば、それでいいんです」

プレッシャーがかかったのはイギリスの最終演者、Erin Frances Orford&Dior (15歳/牝)。記録しなければならないスコアは72%以上。個人戦で68.853%を記録しているこのコンビにとっては、いつも以上に素晴らしい演技を要求される状況。
大きなプレッシャーの中、精いっぱいの演技を見せ、個人戦以上の69.029%を収めたものの、わずかにオランダに及ばず。この時点で、団体戦新チャンピオンがオランダに決定した。
Erin Francis Orfordの競技後コメント
「今日は違った馬のようでした。何とか届かないかと思ったのですが、スコアは私たちに味方してくれませんでした。水曜日は少し雰囲気に緊張していたようで、今日は自信もって出て行って、できることを精いっぱいできたことがよかったと思います。
チームのために(金が取れず)残念です、もっと強い演技で貢献したかったです、もっとできるはず、今日は入場し、すべてを振り絞った演技をしました」

FEI World Equestrian Games™ Tryon USA Dr.Angelika Trabert on Diamond's Shine GER (Photo FEI/Liz Gregg)

FEI World Equestrian Games™ Tryon USA Dr.Angelika Trabert on Diamond’s Shine GER
(Photo FEI/Liz Gregg)

Dr.Angelika Trabert/GER (Bronze) with  Ina Oliver Franken and Diamond's Shine (Photo credit: Angelika Trabert)

Dr.Angelika Trabert/GER (Bronze) with Ina Oliver Franken and Diamond’s Shine
(Photo credit: Angelika Trabert)

2020東京パラリンピック出場権もかかる銅メダルは僅差でドイツ

さて、銅メダルの行方。前回2010年ケンタッキー世界選手権銅メダルのドイツは、グレードIII 2人馬、そしてグレードIに1人馬。個人及び前日のグレードIIチーム演技で高得点を記録した個人金メダリストが所属するデンマークは、グレードIIIに1人馬、グレードIに1人馬が残っていた。ここに一歩下がってアメリカがグレードIIIとIに各1人馬を残し、追い上げられるかという展開。
グレードIII、この3か国のうち最初に登場したのは個人銅メダリスト、Rebecca Hart&El Corona Texel(9歳/セン/KWPN)。72.676%を記録し、次のようにコメントしている。
「いまいち満足の演技ではありませんでした。いくつか不意を突かれる場面もありましたが、パニックにならずに対応できました。抑えて待ち、そして進みました。
全体的には(馬が)私についてきてくれて、大きな場面でよく落ち着き演技しました。昨日よりもよい演技ができ、選手権レベルのチームテストの個人記録でした。これは本当に嬉しいことで、この馬とは初めての選手権だったので安定した演技ができたことを嬉しく思います。これからどんどん上を目指して、伸びていける感じがしています」

続いて登場したのは7番手、ドイツ・Dr. Angelika Trabert&Diamond’s Shine(8歳/ セン / WESTF)。後肢旋回などの経路中間でやや評価の低い項目があったものの挽回し、最終的に70.235 %を記録。残るドイツの2人馬に繋げた。
8番手はデンマーク・Caroline Cecilie Nielsen&Davidoff(8歳 / セン / OLDBG)。わずかにDr.Angelicaのスコアを上回る70.824%を記録した。
このクラス、ドイツのもう一組の人馬は14番手に登場。Steffen Zeibig&Feel Good(14歳 / 牝 / HANN)。個人6位のこの人馬は、Dr.Angelicaのスコアを上回り、71.853%を記録。
この時点でドイツ、デンマーク、アメリカともに33人馬が終了。デンマーク216.197、ドイツ214.879、アメリカ209.551の合計得点を獲得。すべては3チーム、グレードIに残す人馬の成績次第の状況になった。

なお、今回の選手権はドロップスコア形式で、4人馬中最低スコアの1人馬の成績を切り捨て、3人馬のスコアを合わせて成績が決定する。
グレードI。デンマークLine Munk Madsen&Hoennerups Beebob(16歳 / セン / DWB)は3番手に登場。個人7位のこの人馬は、個人戦を上回る73.179%を記録。デンマークはこれですべての人馬の演技を終え、ドイツとアメリカの選手の成績を待つ形に。合計は218.851。ドイツは74%以上のスコアが必要な状況、アメリカはさらに高い得点が必要で苦しい状況になった。

ドイツの最終演者Elke Philipp&Fuerst Sinclair(8歳 / 牡 / OLDBG)は7番手に登場。個人銅メダル時の演技は73.143%。チームテストは経路が違うため単純に比較はできないが、必要得点を取る可能性は十分にある人馬。活発に流れるような常歩(なみあし)演技で、74.357%を記録。ここでドイツの銅メダルが確定した。
Dr.Angelica Trabertの競技後コメント
「緊張の続く1日がようやく終わりました。獅子のように戦い、最後は団体銅メダルという成果を果たしました。チームメンバーを誇りに思います。これで2020年東京パラリンピック団体出場権も獲得。応援ありがとうございました」

Sho Inaba&Femme Fatale (Photo Credit: Betty Cooper)

Sho Inaba&Femme Fatale (Photo Credit: Betty Cooper)

日本選手も善戦、最終成績は14か国中12位

日本チームは、前日に中村、吉越、高嶋が演技を終了。2日目はグレードIIIの稲葉将&Femme Fatale(8歳/牝/KWPN)がチームの戦いを締めくくった。13番手に登場したこの人馬は65.500%で、15人馬中10位の成績を収めた。この結果、団体成績は最終団体成績は189.324、12位だった。
「まだまだスコアを伸ばせたなぁというのが実感ですが、何はどうあれこの舞台に日本代表チームの1人として立てたこと、この舞台でファムとのコンビでの最高点を出せたことは嬉しく、とても良い経験になりました。サポートや応援をしてくださった方々、本当にありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします」(稲葉選手競技後コメント)

団体戦の結果、トップ3か国オランダ、イギリス、ドイツは2020東京パラリンピック出場権を獲得した。なお、日本はホスト国につき、出場選手の諸条件を満たすことを条件に、4人馬の出場権が与えられる。
出場権獲得方法について、詳しくはこちら。

https://inside.fei.org/system/files/2020_Paralympic%20Qualification%20system_final%20version_update%2004.04.18.pdf

団体戦グレードIII結果 https://tryon2018.com/eventResults/2018/1587/resultlist_PT-III
団体戦グレードI結果 https://tryon2018.com/eventResults/2018/1587/resultlist_PT-II
団体戦総合結果 https://tryon2018.com/eventResults/2018/1587/resultlist_PT-T

取材協力
Meghan Benge/Photographer  http://www.meghanbenge.com/
Betty Cooper/Photographer  
FEI (Federation Equestrian Internationale) Media Team  https://www.fei.org/
Hope Hand/USPEA  www.uspea.org
Tryon 2018 World Equestrian Games Media Center Team

(編集・校正 望月芳子)