ウィニング・カルチャーをつなぐ。ジャパンパラウィルチェアーラグビー決勝戦で日本3年ぶり優勝!

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日本ーイギリスでの決勝戦、試合終了。ウィニング・カルチャーを積み重ねた、とケビン・オア日本代表ヘッドコーチは語る。 (写真・秋冨哲生)

日本ーイギリスでの決勝戦、試合終了。ウィニング・カルチャーを積み重ねた、とケビン・オア日本代表ヘッドコーチは語る。 (写真・秋冨哲生)

4日間に渡り熱戦が繰り広げられたジャパンパラウィルチェアーラグビー競技大会。5月27日、千葉ポートアリーナで日本対イギリスの決勝戦が行われ、53ー46で日本が勝利し総合優勝を飾った。6月に行われるカナダカップ、そして8月の世界選手権に向け「ウィニング・カルチャー」をつなぐ重要な一戦を制した。

日本-イギリス戦。日本の(3.0、Freedom/21番)とイギリスJim Roberts(3.0/9番)の睨み合い (写真・水口之孝)

日本-イギリス戦。日本の(3.0、Freedom/21番)とイギリスJim Roberts(3.0/9番)の睨み合い (写真・水口之孝)

今大会は欧州トップ3のイギリス、フランス、スウェーデンを迎えての国際試合。特に、イギリスはオーストラリア、アメリカ、カナダ、日本と並び世界5強豪国の一つだ。現在、イギリスのランクは5位と日本より格下であるものの、大会2日目の対戦では、50ー51と日本が負けを喫した。今大会での日本は、新たな選手の組み合わせ(=ライン)や、若手選手の出場など、挑戦の一方で、勝たなければいけない試合であり、パスミスなどの不安材料がないわけではなかった。

紅一点の倉橋香衣。女子1人につき合計0.5ポイントをチーム合計ポイントに加算できる (写真・久下真以子)

紅一点の倉橋香衣。女子1人につき合計0.5ポイントをチーム合計ポイントに加算できる (写真・久下真以子)

そうしたなか迎えた決勝戦では、第1ピリオドから日本が3点を先制。イギリスの素早いパスに押される場面があるも、第2・第3ピリオドでは点差を6点にまで広げ、最終ピリオドでは7点差を付けての勝利を獲得した。新ラインの采配や課題の修正が実を結んだ。
この結果についてケビン・オアー監督は「今日は勝つために最高の布陣で臨んだ。強豪のひとつであるイギリスに勝てたのは大きい。こうやってウィニング・カルチャー(勝つための精神・文化)を作っていくことは非常に大事」と振り返る。強豪相手に点差を付けての勝利は、チームの自信につながったようだ。

26日に行われた日本-イギリス戦での日本代表ヘッド・コーチ、ケビン・オア氏 (写真・水口之孝)

26日に行われた日本-イギリス戦での日本代表ヘッド・コーチ、ケビン・オア氏 (写真・水口之孝)

ライン・ローテーション

日本チームは、今大会で戦術強化を目的に、様々なチャレンジングな試みを行ってきた。その一つが、ラインナップ(選手の組み合わせ)だ。ウィルチェアーラグビーは選手の交代に回数制限がなく、試合の流れや選手のコンディションにより様々な組み合わせでチーム編成される。
選手それぞれには障害の程度に応じて持ち点が与えられ、コートに立つ4選手の合計は8ポイント以内でなければならないルールがある。
これまでは、持ち点が高く攻撃の要となる池透暢(3.0、Freedom/21番)、池崎大輔(3.0、北海道BigDippers/7番)、島川慎一(3.0、BLITZ/13番)の3人を2人ずつのローテーションで回し、その他の2人をどう組み合わせるかが戦術のポイントとなっていた。

26日、第6試合。島川慎一(左)と池崎大輔(右)。この試合のトライのほとんどが、彼ら2人によるものだった (写真・内田和稔)

26日、第6試合。島川慎一(左)と池崎大輔(右)。この試合のトライのほとんどが、彼ら2人によるものだった (写真・内田和稔)

スタートライン、いわゆるスターティングメンバーには池、池崎、若山英史(1.0、横濱義塾/1番)、今井友明(1.0、RIZE CHIBA/9番)の3ー3ー1ー1が採用され、その後は乗松聖矢(1.5、Fukuoka Dandelion/22番)、羽賀理之(2.0、AXE/4番)、紅一点の倉橋香衣(0.5、BLITZ/3番)などが出場し、決勝戦でも様々なラインが編成された。
ケビン監督は「今回の大会の目的は色々なことにチャレンジすること。我々の戦略を深めることが大きな目的だったので、様々な選手を出場させ、様々なラインを試した」と語る。キャプテンの池も「選手の中にもこれから更にスタメンを狙っていこうという思いが生まれたのでは。チームとしても信頼できるラインが増えるのは良い効果」と期待を寄せる。

ローポインターも積極的にトライ

また、プレースタイルの変化も見られた。第2ピリオドでは、素早いパスからローポインターの乗松がトライ。守備だけでなく、スピード感ある流れから得点源としての幅の広さも感じさせた。
こうした場面について池崎は「ハイポインターが走るだけでなく、チャンスがあればみんなで走ってトライする、という意識に変わってきている。今度はスピードに伴ってパスの精度が落ちてしまわないよう、同時にパス精度も磨いていきたい」と今後の目標を語った。

26日、対フランス戦でのローポインター・岸光太郎(0.5、AXE/15番)は捉えた相手を放さない強力さがある (写真・水口之孝)

26日、対フランス戦でのローポインター・岸光太郎(0.5、AXE/15番)は捉えた相手を放さない強力さがある (写真・水口之孝)

日本代表は今後、6月14日からカナダで行われる国際大会「カナダカップ2018」に臨む。2年ごとに行われる同大会では、開催国のカナダをはじめ、オーストラリアやアメリカなど世界上位のナショナルチームが出場し、ハイレベルな戦いが繰り広げられる。8月の世界選手権に向け、前哨戦となる大会だ。
ケビン監督はどのチームも競争力の高いチームだとした上で、前回負けを喫したアメリカ、オーストラリアについて触れ、「さらに難しい戦いになると思う。まずは、初戦のオーストラリアに勝つことが重要」と意気込んだ。今大会で手にした自信と戦術がカナダでどう花開くか。日本チームの挑戦はつづく。

表彰式での集合写真。1位・日本、2位・イギリス、3位・フランス (写真・水口之孝)

表彰式での集合写真。1位・日本、2位・イギリス、3位・フランス (写真・水口之孝)

【決勝リーグの結果】

・3位決定戦 フランス54-32スウェーデン
・決勝戦 日本53-46イギリス

<順位>
1位 日本
2位 イギリス
3位 フランス
4位 スウェーデン

<大会MVP>
池崎 大輔(3.0、北海道BigDeppers/背番号7番)

<大会ベストプレーヤー>
Jonathan Coggan(0.5 イギリス/背番号2)
Ryan Cowling(1.0 イギリス/背番号24)
Nankin Cedric(1.5 フランス/背番号3)
Gavin Walker(2.0 イギリス/背番号4)
Jamie Stead(2.5 イギリス/背番号12)
Jim Roberts(3.0 イギリス/背番号9
Tobias Sandberg(3.5 スウェーデン)背番号6

<入場者数>
4日間合計 8565人

(校正・佐々木延江)

この取材はニコンイメージングジャパンによる撮影機材協力により行われています。

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