ジャパンパラ, 夏季競技, 陸上 — 2014年9月10日 at 7:37 AM

アジア記録、日本記録続出! IPC公認ジャパンパラ陸上終わる

by
女子走幅跳で中西麻耶(T44・下腿切断/大分県身障陸協)が5m27を跳び、アジア新記録を更新した

女子走幅跳で中西麻耶(T44・下腿切断/大分県身障陸協)が5m27を跳び、アジア新記録を更新した

9月6〜7日の2日間で行なわれたIPC公認ジャパンパラ陸上競技大会(山口県維新記念公園陸上競技場)は、多くの記録が更新された。
初日、男子800Mで和田伸也とガイドの中田崇志(T11・視覚障害/JBMA)が2:08:27でアジア新記録樹立。世界記録(2:07:62)へ大きくタイムを近づけた。
大会2日目、昨年、走り幅跳びで6m11を記録したナンバーワン・ロングジャンパー山本篤(T42・大腿切断/スズキ浜松AC)は、100M・12秒61で自身のアジア記録を0.12秒更新した。200Mもアジア記録保持者であり、アジアパラでは3つの金メダル獲得を目指す。

山本篤(T42/スズキ浜松AC)の走り幅跳び

山本篤(T42/スズキ浜松AC)の走り幅跳び

また女子走り幅跳びで、中西麻耶(T44・下腿切断/大分県身障陸協)が5m27を跳び、アジア記録を樹立した。中西は、1回目の跳躍から5メートル以上を飛び好調。アジアパラには出場しないが、リオ、東京への目標に向け「ようやく道のりが見えてきた」と語った。

両日の競技で合計3のアジア記録、24の日本記録、43の大会記録が更新された。(アジア記録についてはIPCホームページの掲載より)

今大会は、アジアパラへ出場する選手の実力が試される大会でもあった一方で、選考に漏れた選手の中にも、実力をつけてきた若手選手が多くいることが現地での取材でわかった。あらためて2年後のリオ、6年後の東京へ向けて好スタートを切る大会となった。

難関クラスT54で世界への挑戦  

1500Mで世界ランク2位の樋口政幸(バリストライド)

1500Mで世界ランク2位の樋口政幸(バリストライド)

トラック競技は世界的に激戦区のT54(車いす・切断などで上肢機能正常)に注目すべきうごきが見られた。このクラスは日本人選手のレベルも世界に十分通じるものがあり、迫力あるレースでオリンピックの公開種目としてもその走りが披露されてきた。
1500Mで世界ランク2位の樋口政幸(バリストライド)は、今大会アジアパラ出場種目と同じ6種目で出場、5種目でメダル獲得。得意としない200Mでもレジェンド永尾嘉章(ANAORI A.C)を破る好調ぶりを見せてくれた。
「長い距離を走るにはスプリントの走り方を生かす必要がある。200Mで永尾さんに勝てたことは嬉しい」樋口は、走り方のポイントなど海外の大会で学んでは試しているようだ。海外にはめぐまれた練習環境があると感じているが、同じ効果を自分の練習環境でも実現させることがどのようにかできているのだろうか。世界への真剣勝負が始まろうとしていると同時に、自分に続くあらたな選手の存在が、樋口のトラックレースへの挑戦をより楽しくしているように見えた。

400M・T54の表彰。1位・永尾嘉章(ANAORI A.C)、2位・樋口政幸(バリストライド)、3位・渡辺勝(TOPPAN)

400M・T54の表彰。1位・永尾嘉章(ANAORI A.C)、2位・樋口政幸(バリストライド)、3位・渡辺勝(TOPPAN)

短距離で変わらない強さをみせてくれるのは永尾嘉章・51歳(ANAORI A.C)である。後を追うのは、2009年アジアユースからトップの実力もつ西勇輝(国士舘大学)だが、今回も王座をゆずることはなかった。
「追い抜いて欲しい、追い抜くに価する選手でありつづけたい」と、競技後のインタビューに永尾は、いち選手として、選手を育て見守る立場として心境を話してくれた。

ユース組の活躍

男子100M・T54ゴール後。1位・永尾嘉章(左)、2位・西勇輝(中央)、4位・樋口政幸(右)

男子100M・T54ゴール後。1位・永尾嘉章(左)、2位・西勇輝(中央)、4位・樋口政幸(右)

得意の100Mで永尾に敗れた西勇輝は、2009年東京、2013年クアラルンプールで行なわれたアジアユースパラゲームズでつねにトップの成績だった。アジアパラ代表選考に漏れ、IPCの大人の大会での戦歴がない。今シーズン初めてスイスのオープン大会に出場。世界のトップが勢揃いする国で大いに刺激をうけてきた。
「目標にしていたアジアパラに出場が叶わず悔しいが、来年はオーストラリアのサマーダウンアンダー、世界選手権へも出場するつもりです」と話し、リオ、東京への変わらない闘志を示してくれた。永尾につづく2着でのゴールは、西のスプリンターとしての存在を示した。

また、鈴木朋樹(関東身障陸協)も、西同様2009年アジアユースから長距離トラックレースやマラソンでトップを目指していた。2日目の1500Mでは、ピッタリと樋口の後を追い、樋口と同じ3分12秒台で2位でゴールした。
「目標を樋口さんに決め、最後まで追うことができた。途中、樋口さんのスプリントの走りできつくなりましたが、狙い通りに走れました。大会はアジアパラだけじゃないと思っています」

この2日間の天候は1日目は曇り空、気温24度、湿度83%で強い雨や風が一時的にあったが、選手たちには競技のしやすい日となった。2日目は晴天となり、一転して暑い秋の1日だった。
アジアパラまで1ヶ月と少しとなった。大会後すぐ日本代表選手たちは長野県での合宿が控えていた。