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視覚障害S11(全盲)クラス注目の木村・富田、100mバタフライを終えて

全盲のクラスはブラックゴーグルで光を遮断、コースロープをガイドに感じながら泳ぐ。パラリンピック3大会連続出場し2019年パラ水泳世界選手権・男子100mバタフライで優勝し東京パラリンピックに内定した木村敬一(東京ガス)と、2017年のクラス分けで彗星のごとく現れ木村のライバルとなった富田宇宙(日体大大学院)、世界ランク1、2位の勝負に注目が集まっている。大会2日目(3月7日)2人は男子100mバタフライに出場した。

スタート前、プールに向き合う木村と寺西コーチ。100mバタフライに挑む。

男子100mバタフライ(S1 1)スタート前の木村敬一(東京ガス)とタッピングの寺西真人コーチ(左) 写真・秋冨哲生



結果は木村がベストタイムより1秒ほど遅いゴールで優勝。「前半はすごく良かったが、ターンの後左に寄ったのが芳しくなかった。そこで(コースロープに)引っかかってしまった。スタートの瞬発力には自信がある、常に後半をどう乗り切るか。フィジカル、技術面、コースロープに触れた時の修正など体の裁き方への不足があった」と課題を口にするとともに、パラリンピックまでの試合数が残り1回(5月・横浜)しかない可能性があり「試合を踏んでいくことが何より重要だ」と木村は考えている。



木村のバタフライ、正面から

男子100mバタフライ(S11)を泳ぐ木村敬一(東京ガス 写真・秋冨哲生

富田は、クラス分け後の17年メキシコシティでの世界選手権へ派遣されたが現地での大地震により日本代表の出場は見送られ翌18年ジャカルタでのアジアパラで国際デビュー、19年ロンドン世界選手権を戦う中で木村を追う有力なライバルとして世界に実力を証明した。
この日の一番として注目された100mバタフライは、前半木村と並ぶ速いペースで泳いだが、ターンのタイミングが合わず2度壁を蹴ることになった段階で勝負は終わっていたという。

富田のバタフライ正面から

男子100mバタフライ(S11)を泳ぐ富田宇宙(日体大大学院) 写真・秋冨哲生

「ターンのところで手が届かず、2回ターンモーションをする形になってしまった。これからどう修正していくか?」富田は泳法や状況により複数のタッピングを駆使している。見えづらい状態で泳いだ経験を経て(全盲での)ブラックゴーグルとタッピングの世界に挑むなかでの壁をどう克服するか課題を抱えて大会を終えた。

50m自由形S11(全盲)で金メダルを目指す、石浦智美



北京・ロンドン・リオとあと一歩で出場を逃してきたベテラン、石浦智美(伊藤忠商事丸紅鉄鋼)は女子50m自由形(S11)で世界ランク4位(19年)。今大会31秒03で派遣標準記録を突破した。
「派遣はこれまでも突破しているので気にしていない。リオ後、アスリートとして転職し人生をかけてやっている。東京で金メダルを目標にしている点で(50m自由形で)30秒台をコンスタントに出せる必要がある。(コロナで)限られたレースの回数しかない、5月の選考会では予選・決勝で(ともに30秒台)を出したい」

息継ぎする石浦

女子50m自由形(S11)を泳ぐ石浦智美(伊藤忠商事丸紅鉄鋼) 写真・秋冨哲生



「50mは緊張すると泳ぎが力んでしまいタイムにズレが生じてしまう種目なので、今回は無観客で自分に集中して泳ぐことができたが、感染対策が取られるようになって、観客が増えていく、本番になればより多くのお客さんが入るかもしれないのでメンタルの強化もしたい。
体調面は疲労の蓄積を持ち越さない練習プランを立ててたことが今日につながった。病気の流行もあるが、ストレスで眼圧が上がったりするのでメンタル面をうまくコントロールして(5月の)選考会、(9月の)本番と調子のよい状態を作っていきたい」

石浦、笑顔のインタビュー

石浦智美(伊藤忠商事丸紅鉄鋼) 写真・秋冨哲生


昨年の大会延期から怪我・故障、不注意による再発があった。目薬の影響で疲労感が取りづらいところがあり、陸上トレーニングのプログラムをいかにコンディショニング良い状態で筋力アップできるかが重要だった。効率良いプログラムを工夫したことが身になったという。

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