車いすバスケ、パラ本番会場で特別強化試合。1年半ぶりプレー披露

 車いすバスケットボール男女強化指定選手による「特別強化試合」が9日、東京2020パラリンピックの本番会場である有明アリーナで行われた。国内外の大会延期や中止でパラリンピックまで試合数が限られるなか、選手らにとって貴重な実戦の機会となった。

選手が整列した体育館
東京2020パラリンピック の本番会場である有明アリーナで行われた「有明特別強化試合」(写真・秋冨哲生)

 大会は無観客で開催。選手がイベント以外で同アリーナを使用するのは今回が初めて。今年1月には同様の強化試合が武蔵野の森総合スポーツプラザで予定されていたが、感染拡大を考慮し、中止となった。今回は選手、スタッフ、メディアを含む、入場者全員がPCR検査を実施の上、開催。アリーナに観客の声援はなかったが、試合の模様はライブ配信で伝えられた。

スピードが課題の女子

 第一試合は、女子強化指定選手VS千葉ホークスと男子強化指定選手の混成チーム。千葉ホークスは日本の車いすバスケ会を牽引してきた名門チームとして知られる。女子強化指定選手からは、4月合宿からキャプテンとなった網本麻里のほか、柳本あまね、北間優衣、北田千尋、萩野真世らが出場。混成チームからは、2021 年度男子強化指定選手の宮本涼平、斉藤貴大、大舘秀雄のほか、千葉ホークスからは徳丸熈、村上慶太らが出場した。

 第1ゲームは14対15で混成チームがリード。女子強化指定チームも男子の体格差に負けずリードを縮めたが、続く第2ゲームでは、28対33、第3ゲームでは、32対55とさらに点差を広げられ、第4ゲームは45対64で終了。混成チームの圧勝となった。

 岩佐義明ヘッドコーチは「高さのある相手をいかに抑えるかが課題だった。ディフェンスでは、戻りが遅く、終盤のスピードについていけなかった。オフェンスでは、シュート力が女子チームの課題。ゲームの入りでシュートが決まっていれば、全然違う試合展開になっていたかと思う。日々の練習のレベルアップを再確認できた」と振り返った。

キャプテン2人体制で東京へ

ボールをキープする網本麻里
4月合宿からキャプテン藤井郁美と共同主将となった網本麻里(写真・秋冨哲生)

 4月合宿からキャプテン藤井郁美と共同主将となった網本は「自分がリーダーシップを発揮することが、チームが成長していくために必要なこと。今日はディフェンスのリードの仕方をみんなで合わせることができたのは収穫。でもターンオーバーが多かったので、そこは反省しています」と話した。チームで最も高さを持ち、ディフェンスの要でもある北田は「これまでチームの紅白戦で、あそこまで体格の大きな相手やフィジカルの強い選手にコンタクトされる機会がなかった。紅白戦だけではわからなかったこと」とし、「私は一番背が高いので、ディフェンスは40分やり続けないといけない責任を感じています。練習から精度高くやっていきたい」と話した。

2019年ぶりの日本代表プレー

 第二試合は、男子強化指定選手が2チームに分かれて対戦。チームホワイトには、秋田啓、古澤 拓也、鳥海 連志、宮島徹也、チームブラックには、藤本怜央、豊島英、赤石竜我、岩井孝義らが名を連ねた。男子代表チームとして観客にプレーを見せるのは、2019年11月にタイで行われた「2019 アジアオセアニアチャンピオンシップス」以来、1年半ぶり。

ブラックとホワイトに分かれて行われた男子強化指定選手の試合(写真・秋冨哲生)

 第1ゲームは14対13でホワイトがリード。ホワイトは背の高さを活かした秋田、スピードが持ち味の鳥海、古澤を中心に得点を重ね、対するブラックもエース藤本を中心に得点を決め、互角の戦い。続く第2ゲームも点差をわずかに広げた21対19だった。試合が動いたのは、後半、第3ゲーム。立ち上がりで豊島、藤本、岩井のシュートが決まり、ブラックが逆転すると、勢いに乗って一気に6点差まで引き離す。その後も点差を広げ、34対41でブラックがリード。第4ゲーム、粘るホワイトが徐々に点差を縮め、試合終了残り13秒で古澤が3ポイントを決め、53対54に。ぎりぎりまで点差を縮めたホワイトだったが、最後はブラックのディフェンスに阻まれ、53対54で終了。ブラックの勝利で幕を下ろした。                            

男子の「トランジションバスケ」はラストスパート

 試合後、京谷和幸ヘッドコーチは男子日本代表を総括。男子日本代表が信条としてきた、攻守の切り替えを素早く行う「トランジションバスケ」では手応えを語った。「スピードも上がってきているし、最後のショットまでの選手の選択肢も増えてきたと思う」とした上で、「一番はフリースローの確率。しっかり上げていきたい」と課題も口にした。

藤本
3ポイントの得点も光ったエース藤本怜央(写真・秋冨哲生)

 エース藤本は本番会場での感触を語った。「今日は(バスケット)リングやフロアの固さを確認しつつのゲームだった。序盤はリングの固さに慣れておらずシュートに嫌われたので、もう少し距離をとって3ポイントを狙うシュートに切り替えて、自分のシュートフォームとリングのフィーリングが合うところを見つけていきました」と振り返る。男子日本代表全体としては「ベーシックがある中での応用力が高まっている。パラリンピックへのステージに向けて、ラストスパートに入っていると思う」と話した。

 東京パラリンピックの車いすバスケは、8月25日から9月5日まで。男女とも開催国枠で出場でき、代表はそれぞれ12人。6月にも強化指定選手の中から、代表メンバーが発表される見通し。

「有明特別強化試合」(5月9日、東京・有明アリーナ)試合結果
[女子]
●女子強化指定選手vs混成チーム(千葉ホークス、2021年度男子強化指定選手)○
45-64=14-15、14-18、4-22、13-9

[男子]
●男子強化指定選手チームホワイトvs同チームブラック○
53-54=14-13、7-6、13-22、19-13

(取材・文 丸山裕理 撮影・秋冨哲生 校正・佐々木延江)

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