車いすバスケットボール日本代表、新体制を発表。「ジャパン・スタイル」磨き、パリへ

東京パラリンピックで銀メダルを獲得した車いすバスケットボール男子日本代表(写真・中村 Manto 真人)

 車いすバスケットボール日本代表の新強化体制発表会見が28日、オンラインで行われ、男子代表の京谷和幸ヘッドコーチ(HC)と女子代表の岩野博ヘッドコーチ(HC)が出席。2024年のパリパラリンピックに向けた強化方針や目標を語った。

 東京パラリンピックで男子は過去最高となる銀メダルを獲得。車いすバスケットボール界にとっても、日本男子がアジア初のパラリンピックメダル獲得を果たした。3大会ぶりの出場となった女子も6位に入賞し、強豪国相手に善戦を繰り広げた。

京谷・岩野体制でパリへ始動

 2024年のパリパラリンピックに向けた新体制で、男子は指揮官に京谷和幸氏を再任。女子は新たに岩野博氏を迎え入れた。新任となる岩野HCは、男子車いすバスケットボールでバルセロナ、アトランタ、シドニーと3大会連続のパラリンピック出場経験を持つ。その後、オーストラリアのチームにプロ移籍し、2008年に現役を引退。2010年からは社会人女子チーム「カクテル」のコーチに就任し、チームを7度優勝に導いた。選任の理由について小林順一技術委員長は「女子の指導はトップクラス。選手としての活躍や国内外での指導歴も踏まえ、パリに向けて最も適任な人。メダル獲得に向け、最大限支援していきたい」と期待を寄せた。

写真左、男子日本代表を初のメダル獲得へ導いた京谷和幸HC(写真・中村 Manto 真人)

「ジャパン・スタイル」の強化

 海外選手に比べて高さの足りない日本代表は、長らく、堅い守備からボールを奪い、速い攻撃を仕掛ける「トランジションバスケ」を戦略の柱としてきた。ゲームの終盤でミスがあったり、集中力が切れたりという課題を克服するため、1.5倍の練習量をこなしてフィジカルを高める一方、練習試合を重ねる中で、ディフェンス、オフェンス両方の質を高めてきた。その結果、東京パラリンピックにおけるファーストブレイク(速攻)ポイントは世界一。世界王者・アメリカの80本を大きく上回る92本で、12カ国中最も多い得点となった。

 今後の強化ポイントとして、京谷HCは「世界一走り、世界一ハードワークできるチーム」、「世界一切替の早いチーム」、「どこからでも得点が取れるチーム」の3つをコンセプトに掲げた。これまでのトランジションバスケや、強いディフェンス、1.5倍の運動量といった3要素は「ジャパン・スタイル」として維持しつつも、フィジカル強化やシュート精度、試合中の判断力などの強化で、更なる磨きをかける。特にフリースローの成功率は、東京パラリンピックで12カ国中、最下位の40.4%。首位のカナダは74.6%だったとし、まずは試合で65%以上、合宿で80%以上を目指すとした。

「ホームアドバンテージのあった自国開催とは違い、これからはアウェイの舞台。常に世界トップ5に入る力を付けていくことが必要」と、覚悟を滲ませた。

東京パラリンピックでは6位入賞の女子日本代表(写真・山下元気)

女子は「得点力」と「次世代育成」

 一方、女子の強化プランは「得点力で勝負していけるチームづくり」。岩野HCは、これまでの強みを維持しながら「セットプレーや個人のシュート距離など、まだまだ改善していける余地がある」と強化のポイントを挙げた。また、女子は東京パラリンピックでの選手引退などもあり、早急な世代交代も喫緊の課題。今後は地域ブロックごとの強化育成や普及部門と連携し、全国的な次世代育成にも力を注ぐ方針を示した。

 来年はパリパラリンピック出場への序章となる、大きな国際大会が2つ控えている。10月に中国・杭州で開かれるアジアパラ競技大会、11月にドバイで開催される世界選手権だ。年が明け3月には世界選手権の予選が始まることから、年内にも強化指定選手の選考合宿を行う見通し。

「いろいろな事にチャレンジする中でも、まずは世界選手権でトップ5をキープしたい。パリでまたファイナルの舞台に立つことが目標」と京谷HC。岩野HCも「世界選手権ではベスト4を狙いたい。パリ大会では、男子と同じようにメダルに絡んで、金メダルを目指せれば」と前を見据えた。「ジャパン・スタイル」の進化へ、パリへの道が始まった。

(校正・佐々木延江)

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