北京パラリンピックのアルペンスキーは大会最終日の3月13日、男子回転が行われ、座位クラスではイエスペル・ペデシェン(ノルウェー)が1分31秒10で優勝。これでペデシェンは今大会、金4個、銀1個の合計5個のメダルを獲得した。
ペデシェンは22歳。先天性の障害があり、2歳の時に父親に連れられてスキーをはじめた。その父が、2020年に心臓発作で突然の他界。ことし1月に地元のリレハンメルで開催された世界選手権で金メダルを取った際には、「この勝利は、父の功績が大きいと思う。父がいなければ、今の僕はなかった。父のことをいつも想っているし、写真も持っている」と亡き父に言葉を捧げていた。
北京パラリンピック最後のレース、回転ではフィニッシュ地点で倒れこんだ。「この数週間は本当に長かったし、すごく疲れていたんだ。2本目は控えめに言ってもでこぼこなコースだった」と振り返った。
今大会、ペデシェンは父の写真をシットスキーに貼ってレースに臨んだ。「2歳の二分脊椎の子どもにスキーを教える親はあまりいないと思う。僕は本当にラッキーだったし、最高の形で彼に敬意を表したい。ここで4つの金メダルを取ることは、そのための良い方法だ」。
また、4年後のミラノ・コルティナ大会で4つのタイトルを防衛することについて、「コルティナは本当に楽しいところだと思う。4年間は長いけど、そこでもすべてを出し切る準備はできている」と自信をのぞかせた。
まだ22歳と若手のエースの出現に、日本の選手たちもざわめいたというペデシェン。天国の父とともに、スターダムの階段を駆け上がっていく。