野沢温泉での「2022パラアルペンスキージャパンカップ」3日目(4月6日)は、種目が回転(スラローム)に変わった。昨日までの大回転(ジャイアントスラローム)と同じコースだが、スタート地点が標高1525メートルに下がり、より細かい旗門に沿って滑り降りる。
青木大和が1本目3位から順位を上げて優勝
男子は、スタンディングで北京パラリンピック初出場の育成選手・青木大和(LW3/EXx)が1本目3位から順位を上げ、北京日本代表のベテランらを制して初めて優勝した。
競技が終わった青木は「北京で初めて大きな大会を経験した。この2年間は楽しんでスキーができていたけれど、世界のトップのなかでの体験で、自分もそこに追いついていきたいという悔しさみたいなものも芽生えた。北京後の今大会でいい結果を出したいと思っていたので初めて優勝できて嬉しい。4年後のミラノで表彰台に上がれる選手になりたい」と話していた。
スラローマー鈴木猛史が好タイムで優勝、北京でのリベンジ
北京では金メダルを狙いながらも2本目で失敗し棄権となり、悔しい鈴木はこの大会にリベンジをかけていたが、昨日、肩を痛めてしまったという。しかしそのことで逆に緊張が解け、リラックスできたために好タイムを出すことができたようだ。
「北京のコースはすごかった。すり鉢状だったり、いきなり急斜面だったりとか、もうほんとに全てが混ざったコースだったと思います。難しかったんだろうなと思いますが、もう滑りきっちゃったんで、そんなに難しくなかったのかも?と思ったりしますけども・・行った当初は悩みました。ああいうところで練習ができればもっとレベルが上がったんだろうなと思います。いろいろ練習の制限もありましたし仕方のないことです。その中でもベストができたと思います。明日が今シーズン最後のレースになりますので笑顔で終われるよう頑張りたいと思います」
IDクラスは、男子木村嘉秀(CTCひなり)が今大会2度目の優勝となった。
女子は、チェアスキー村岡桃佳(LW10-2/トヨタ自動車)、スタンディングは本堂杏実(LW6/8-2/コーセー)がそれぞれ優勝した。
元気よく行けばスピード出る、セッティングを楽しんで!
今大会のレース2本目のコースセッティングを担当する伴一彦コーチに今日のセットについて聞くと、「幅広くセットしたから、勢いある滑りをすればスピードが出るだろう」と。伴氏は日本だけでなく海外のナショナルチームの指導経験も豊富で、2017〜19年は中国のチェアスキーチームを担当した。北京パラに向けた選手強化の基礎や人材発掘に携わった。
そんな伴氏は、北京で得た課題と対策について「競技力をもっとコンスタントに、ハイレベルにつけていかなくてはいけない。よりフレキシブルな考え方をもって臨まないといけない。どのようなゲートが立っても対応できる、応用のきく考え方、それには、基本練習もとくに必要で、基本の力を応用していかなる難関にも立ち向かえるような能力を培っていくことが大事。頭でっかちにならず、もう一度しっかり、あと4年かけてやっていきたい」と、話していた。
この日の天候は晴れ、気温4度。風は穏やかで、初日に柔らかすぎると評された雪は、薬剤の散布により念入りに固められた状態を保っていた。
ベテラン森井大輝(LW11/トヨタ自動車)も「いいタイミングでこのレースを開いていただき感謝している。これだけ気温があがったなかで、かなり硬い、いいバーンができています。野沢温泉スキー場のコース整備の技術に感謝します」と話していた。
明日の最終日もスラロームが開催される。この4日間はシーズン最後の公式レースとして、北京を終えた選手たちのさまざまな想いが見られた。
(写真提供 日本障害者スキー連盟/堀切功)