関連カテゴリ: アンプティサッカー, サッカー, 切断者, 国内大会, 夏季競技, 川崎, 日本選手権, 観戦レポート — 公開: 2023年11月10日 at 7:07 PM — 更新: 2023年11月11日 at 8:55 AM

FC ALVORADAが3連覇「第12回日本アンプティサッカー選手権大会2023」

知り・知らせるポイントを100文字で

アンプティーサッカーの日本選手権大会が行われ、全国から5チームが参加。総当たり戦で行われた結果、FC ALVORADAが4戦全勝で優勝した。

2023年11月3〜4日の2日間、「第12回日本アンプティサッカー選手権大会2023」が開かれ、FC ALVORADA/ガネーシャ静岡AFC/ミラン BBee・セッチ/FC TS-ONE 2023/A-pfeile広島AFCの5チームが参加した。
全チーム総当たり戦で行われ、4勝したFC ALVORADAが、3大会連続(5度目)の優勝を手にした。
2日目、富士通スタジアム川崎では川崎市民祭りも開催され、日本代表クラスの選手が松葉杖で巧みにプレーするサッカーの魅力に初めて触れる来場者も多く、熱心に応援する姿がみられた。障害者のスポーツという垣根なくサッカーを楽しむ未来が垣間見えた。

試合模様

初日は、Ankerフロンタウン生田で開催され、5試合が行われた。3連覇を狙う FC ALVORADAが2勝で一歩リード、ガネーシャ静岡AFC、ミラン BBee・セッチ、FC TS-ONE 2023 はともに1勝1敗で続き、A-pfeile広島AFCは2敗で初日を終えた。

2日目は富士通スタジアム川崎に会場を移して行われた。ここからは2日目について詳述する。

M6:FC TS-ONE 2023 4−0 A-pfeile広島AFC

FC TS-ONE 2023は松崎佑亮(5番)のゴールで勢いに乗ると前半で3得点、後半も1得点を奪い4−0で勝利した。これで、FC TS-ONE 2023は2勝1敗、A-pfeile広島AFCは3敗となった。

FC TS-ONE 2023 松崎佑亮(5番) 筆者撮影

M7:FC ALVORADA 1-0 ガネーシャ静岡AFC

前半はお互い一歩も譲らず0−0で折り返す。後半FC ALVORADA秋葉海人(9番)が当たり千金のゴールを奪い、1−0で勝利した。3勝目を挙げたFC ALVORADAが他のチームとのリードを広げる形となった。負けたガネーシャ静岡は1勝2敗となり順位を下げてしまう。

FC ALVORADAエンヒッキ松茂良ジアス(青10番)とガネーシャ静岡AFC後藤大輝(ピンク10番)とのエースの競り合い 筆者撮影

M8:FC TS-ONE 2023 2-3 ミラン BBee・セッチ

前半FC TS-ONE 2023は野口敦史(4番)と松崎佑亮(5番)の得点で2−0とリードした。しかし後半、ミラン BBee・セッチ近藤碧(90番)にデフェンスのわずかな隙をつかれ失点、計3点を奪われ逆転を許してしまった。これで、ミラン BBee・セッチが2勝1敗で、FC TS-ONE 2023が2勝2敗となった。

2得点を決めたミラン BBee・セッチ近藤碧(90番) 筆者撮影

M9:ガネーシャ静岡AFC 8-0 A-pfeile広島AFC

ここまで1勝2敗のガネーシャ静岡AFCが2位になるためには、勝つだけではなく大量得点することが求められる試合。前半から相手ゴールへ果敢に攻め込むガネーシャ静岡AFCは、前半だけで後藤の4得点含む5得点を奪った。後半も攻め続け、後藤は1試合で7得点を挙げた。結果として8−0でガネーシャ静岡AFCが勝ち2勝2敗、得失点差でFC TS-ONE 2023を上回り、次戦ミラン BBee・セッチ対FC ALVORADAの結果を待つこととなった。2018年以来の出場となったA-pfeile広島AFCは4敗で終わった。

7得点を挙げたガネーシャ静岡AFC後藤大輝(奥10番) 筆者撮影

M10:ミラン BBee・セッチ 0-8 FC ALVORADA

ここまでのFC ALVORADAの試合では、後方からゲームコントロールすることが多かったエンヒッキ松茂良ジアス(10番)が試合開始早々にゴールを決め、試合の流れを引き込んだ。闘いの手を緩めることなくチームとして前半4点、後半4点、合計8点を挙げ、試合に勝利した。FC ALVORADAは4戦全勝で優勝、3連覇を手にした。4試合で1失点と守りの固さも際立った。ミラン BBee・セッチ、ガネーシャ静岡AFC、FC TS-ONE 2023の3チームは2勝2敗で並んだが、得失点差でガネーシャ静岡AFCが2位、FC TS-ONE 2023が3位、ミラン BBee・セッチが4位の最終順位となった。

最終試合で2得点を挙げたFC ALVORADA久保満寛(51番) 筆者撮影
優勝を喜ぶFC ALVORADAの選手たち 筆者撮影

試合後インタビュー

FC ALVORADA半澤真一監督からのコメント
ーー3連覇なりましたが?
半澤「チーム全員で勝ったと思っています。チーム全員で家族も含めて。いろんな都合で来られなかった選手スタッフもいるので、その人たちの思いも含めて戦った2日間でした。チーム一丸で戦えたことは大きな収穫になったと思う。家族とか色々な人に支えられているALVORADAだなと改めて感じた。感謝の気持ちを忘れずにこれからもこの活動を続けていきたい」

ーー4勝した大会を振り返っていかがでしたか?
半澤「(もともと失点ゼロを目標にして大会に望んだが)失点については課題で、そこを突き詰めていきたい。みんなでスタメンだけではなくて、いろんな選手を長い時間試合に出すことができたので、そう言った意味で全員で戦った4試合であると思う」

<個人表彰>

MVP:秋葉海人(FC ALVORADA)

MVPを受賞した秋葉海人(9番)のシュートシーン 筆者撮影

ーーMVP受賞、今大会いかがでしたか?
秋葉「2日間通して、いろんなポジションだったり、フォーメーションを試せたという点ではよかった。新しい選手が増えたっていうのも嬉しかったと思っています。試合については、もっと得点を取らないといけなかったが、選手が増えて出場する時間が少なくなった分、決定力を上げないといけないと思った」

ーー若手の選手が増えたのですね
秋葉「2人増えて、背番号30番の堂上選手、元々サッカーをやっていた中学生がいます。今まで若手は自分と石井賢しかいなかったんですけど、年齢が若くなって、チームが明るくなったかな」

ーーチームの優勝については?
秋葉「チームの目標であって、無失点で終わるというのも目標に立てていたんですが、1失点してしまったので、そういうところはチームの課題かなと思っている」

MIP:観客の心に残るプレーをした野口敦史(FC TS-ONE 2023)

MIPを受賞した野口敦史(4番) 筆者撮影

ーーMIPを受賞したことについて
野口「率直に驚いている。いまだに信じられない。先月喉の手術をして練習もできず、体重も落ちてしまい、時間が経っていない中で今回の大会に入ってしまったので、コンディション的には仕上がっていなかった。気持ちだけは負けないようにと思って、試合に出してくれたので、それに応えなきゃという、その思いで一心にやったので、気持ちで今回は頑張った。それが誰かの印象に残ったのであれば、頑張ってよかったと思う」

得点王:8得点 後藤大輝(ガネーシャ静岡AFC)

得点王を受賞した後藤大輝(10番)得点後のガッツポーズ 筆者撮影

ーー得点王を受賞していかがですか?
後藤「計4試合ある中で、3試合までで1点しか得点できていなかったので、結果的に最後の試合で7点取れて、結果8得点取れたのは、取りたい時に取れるという成長の現れだと思っている。逆に課題も見つかったので、次の大会でリベンジをしていきたいと思ってます」

ーーチームは2位でしたが
後藤「優勝を目指していたが、結果的に2位で終わった。とはいえ、(前回以上の)2位の力があると示せたことはチームの向上につながっていると感じている。練習量を増やしたり、練習の質、ギアを上げていくことで、全員、一人一人が上手くなっていく感じです。今回の大会でも、成長できている部分を見せることができたと思う」

ーー今回見つかった課題とかクリアしていきたいところは?
後藤「自分自身、決め切りたいところで決められないとか、試合ごとにムラがあるというか。爆発するとこは爆発して、できない時は影がなくなるくらいなので。平均的に点を取れる選手になりたい。ちょっと疲れたところでの得点ができない。「決め切りたい」というのを次の大会での目標にしたい」

ベストGK賞:菊池大志(FC TS-ONE 2023)

ベストGK賞を受賞し賞状と盾を持つ菊池大志 筆者撮影

総括

今大会の2日目が開催された富士通スタジアム川崎では川崎市民祭りとの同時開催となった。アンプティーサッカーを初めてみる観客が真剣に見ていたり、スタッフにたくさん質問をしていたりする姿が印象に残った。
FC ALVORADA半澤監督は、「競技の魅力は伝わっていると思うので、障害健常関係なく心に残ったのではないか」、秋葉選手は、「本当に多くの観客に応援してもらって、アンプティーサッカーがもっと広まっていけば選手としても嬉しいし、見てもらうことで選手も増えるのではないかと思うので、こういう日にやってもらえるのはとても嬉しかった」、後藤選手は、「知らない人がほとんどだったと思うが、自分たちがアクロバティックなプレーを見せることで、すごい、こういうサッカーがあるんだと思ってくれたと思います。プレーで見せることが全て。これからも自分たちのサッカーが広まっていくように頑張りたい」と語った。
日常生活の中でアンプティサッカーが自然に行われている、そんな将来が垣間見えた大会であった。

試合結果

M1:FC ALVORADA 3-1 FC TS-ONE 2023
M2:ミラン BBee・セッチ 3-0 A-pfeile広島AFC
M3:FC TS-ONE 2023 1-0 ガネーシャ静岡AFC
M4:A-pfeile広島AFC 0-6 FC ALVORADA
M5:ガネーシャ静岡AFC 3-1 ミラン BBee・セッチ
M6:A-pfeile広島AFC 0-4 FC TS-ONE 2023
M7:FC ALVORADA 1-0 ガネーシャ静岡AFC
M8:FC TS-ONE 2023 2-3 ミラン BBee・セッチ
M9:ガネーシャ静岡AFC 8-0 A-pfeile広島AFC
M10:ミラン BBee・セッチ 0-8 FC ALVORADA

最終順位 <勝敗>(勝ち点)[得失点]
優勝:FC ALVORADA <4勝>(12)[+17]
2位:ガネーシャ静岡AFC <2勝2敗>(6)[+8]
3位:FC TS-ONE 2023 <2勝2敗>(6)[+2]
4位:ミラン BBee・セッチ <2勝2敗>(6)[-6]
5位:A-pfeile広島AFC <4敗>(0)[-21]

(校正・中村和彦、地主光太郎、佐々木延江)

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