関連カテゴリ: サッカー, ブラインドサッカー, ブラインドスポーツ, 国内大会, 夏季競技, 愛知・名古屋, 新着 — 公開: 2023年11月28日 at 3:17 AM — 更新: 2023年11月29日 at 5:58 PM

ブラサカ日本選手権、準決勝ラウンドに進む10チームが確定

知り・知らせるポイントを100文字で

名古屋会場での予選ラウンドで、次のラウンドに進む残り4チームが確定した。グループE 2位の兵庫サムライスターズは、準決勝ラウンド当日選手が揃わないため辞退。3位のAvanzareつくばが繰り上がりで次のラウンドに進むことになった。

参加チームとボランティアでの記念撮影 筆者撮影

 11月25日(土)、26日(日)第21回アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権の予選ラウンドが名古屋経済大学高蔵高等学校(愛知県名古屋市)にて開催された。つくばから北九州までの以下の9チームが参加した。*は前回大会には参加しなかったチームだ。

グループD:埼玉T.Wings、ソイエ葛飾、ツエーゲン金沢BFC*、Mix Sense名古屋*、島根オロチビート浜田*
グループE:Avanzareつくば*、buen cambio yokohama、兵庫サムライスターズ、LEO STYLE北九州*

組み合わせと結果は以下の通りだ。

組み合わせと試合結果

 グループDは第18回優勝の埼玉T.Wingsが菊島宙を中心に得点を重ねて1位通過した。ソイエ葛飾が2位となり初の準決勝ラウンド進出となった。
 グループEは準優勝3回のbuen cambio yokohamaが1位通過。2位の兵庫サムライスターズは、準決勝ラウンド進出の権利を手にしたが、試合当日に選手が揃わないことが確定しているため辞退した。その結果、3位決定戦においてPK戦で勝利を収めたAvanzareつくばが準決勝ラウンドに進むことになった。

埼玉の菊島(背番号9)がキーパーの逆をつくPKを決める 筆者撮影

グループD

 あらためて埼玉の強さが目立った。エースの菊島が2試合で9点を決めたのは実力通り。彼女以外でも高畑翔が合計4点、山中優汰も合計4点と得点をあげたことはチームにとって大いにプラスとなる。葛飾は今回初めて準決勝ラウンドに進出した。葛飾の魚住稿監督は「(準決勝ラウンドは)2位抜けのため1位のチームと当たるだろうが、もう1勝したい」と抱負を語る。チーム結成して3年目、毎週練習し、ナショナルトレセンを卒業した増田周平、ユーストレセンの郷本春翔、女子育成の細谷実花など成長していると語る。

シュートする葛飾 増田(中央)提供:鰐部春雄/日本ブラインドサッカー協会

 3位の金沢は日本選手権2回目の参加で初勝利を記録した。金沢は通常月2回の練習を行っているが9月から毎週練習して大会に備えたそうだ(金沢 池端一軌監督談)。島根は2019年にチーム結成以来、公式戦初勝利(GKの三浦勝吾談)となった。

島根のGK三浦(背番号1)とゴール前で守る岡桐生(背番号7)、拝上誠(背番号2)の連動で得点を許さず 筆者撮影

グループE

 LIGA.iに参加するyokohamaは晴眼選手の和田一文、中村駿介、女子代表のコーチも務める齊藤悠希が得点し、選手層の厚さをみせて貫禄の1位通過。
 2位の兵庫はフィールドプレーヤー4名で交代なしで参加した。うまくポジションチェンジをしながらプレーしていた。「楽しく練習しその後の食事を楽しみに」(桝岡良啓監督談)しているチームだ。残念ながら12月3日は、選手が揃わないということで準決勝ラウンドに進む権利を得た上での辞退となった。

得点を決めた兵庫の今嶋善幸(背番号17)とガイドのグェンピック ゴク提供:鰐部春雄/日本ブラインドサッカー協会

 その代わりに準決勝ラウンドに進むのが3位決定戦をPKで北九州に勝利した古豪つくばだ。視覚障害者、聴覚障害者であることが入学条件の大学、筑波技術大学の教師、生徒が中心のチームで、多くの日本代表を輩出している。もっともチームとしては去年は不参加。「コロナで大学への入場に制限もあり新しい選手の獲得も難しかった。1ヶ月前から練習を開始したところ」とチームのベテランのアブディン モハメドは語った。ベテランとしてゲームの反省を口にしていたが、北九州とのPK戦では2人目のキッカーとして登場。自分で打つコースをキックの瞬間に「9番」と指定(ゴールを9分割した場合の右下)し、そこにキッチリ蹴り込み勝利を引き寄せた。

PKを決め歓喜を表すアブディン モハメド(背番号9) 筆者撮影

予選ラウンドを終えて

 準決勝ラウンドは各グループ1位のfree bird mejirodai、たまハッサーズ、パペレシアル品川、埼玉T.Wings、buen cambio yokohamaと、2位の大阪ダイバンズ、ナマーラ北海道、新潟フェニックスファイヤーズ、ソイエ葛飾、繰り上がりのAvanzareつくばで争われることになった。各グループの決勝戦においてグループDの埼玉対葛飾が7対2であった以外は2位のチームは無得点であったことを考えると1位チームの優位は変わらないだろう。1位となったチームで代表強化指定選手の数を考慮すると、mejirodai、たま、品川が優勝争いの軸となるのではないか。できれば2位チームから下剋上を起こすようなチームが現れることを期待したい。ただ、ヒアリングした限り練習回数も1位のチームを除くとほぼ月2回。チーム間での方向性の違いが明確になりつつあるのかもしれない。
 準決勝ラウンドは、2023年12月3日(日)に浜北平口サッカー場(サーラグリーンフィールド)(静岡県浜松市)にて開催される。大いなる盛り上がりを期待したい。

名古屋会場の結果

*が準決勝ラウンドに進出

<グループD>
1 位 埼玉 T.Wings*
2 位 ソイエ葛飾 *
3 位 ツエーゲン金沢BFC
4 位 島根オロチビート浜田
5 位 Mix Sense 名古屋

<グループE>
1 位 buen cambio yokohama*
2 位 兵庫サムライスターズ
3 位 Avanzare つくば *
4 位 LEO STYLE 北九州

 予選ラウンドにおける得点ランキングは以下の通り。
9点 菊島宙 (埼玉T.Wings)
5点 鳥居健人(free bird mejirodai)
4点 黒田智成(たまハッサーズ)
4点 川村怜 (パペレシアル品川)
4点 高畑翔 (埼玉T.Wings)
4点 山中優汰(埼玉T.Wings)
4点 林健太 (A-pfeile広島BFC)

葛飾戦で先制点を決め祝福をうける埼玉 高畑(背番号5) 筆者撮影

(写真協力・鰐部春雄/日本ブラインドサッカー協会 校正・中村和彦、そうとめよしえ、佐々木延江)

この記事にコメントする

記事の訂正はこちら(メールソフトが開きます)