関連カテゴリ: IWBF, IWBF世界選手権, 国際大会, 夏季競技, 大阪, 新着, 記者会見, 車いすバスケットボール — 公開: 2024年4月17日 at 2:48 PM — 更新: 2024年4月21日 at 7:20 PM

パリパラリンピックにつなげ!女子車いすバスケットボール最終予選が今日から開幕!

知り・知らせるポイントを100文字で

パリ20204パラリンピックでの女子車いすバスケットボール出場8チームの残り4枠をかけて8カ国が大阪を舞台に激突する。出場枠が10か国から8カ国に減少し開催国枠も消えたため、この最終予選には、パリ2024パラリンピック開催国のフランスチームも出場する。そして、今大会をホストする日本チームの勝利はもたらされるのか?!

4月17日より4日間「2024IWBF女子車いすバスケットボール最終予選」がAsueアリーナ大阪(大阪市)にて開催される。
パリ2024パラリンピックの8つの出場枠の残り4枠をかけて、スペイン、ドイツ、アルジェリア、カナダ、オーストラリア、タイ、そして 、パリパラリンピック開催国のフランスと今大会をホストする日本が出場する。

最終予選の背景

4月16日、最終予選開幕前日のチーム練習を行うタイのチーム 写真・佐々木延江

東京2020パラリンピックまでは、世界を4つのゾーン(ヨーロッパ、アメリカ、アジア・オセアニア、アフリカ)にわけ、それぞれに割り当てられた出場枠と、開催国に出場権が割り当てられていた。しかし、パリパラリンピックでは参加国を男女とも8カ国で統一する決定を2021年11月にIPCが下し、男子は12枠→8枠、女子は10枠→8枠と大幅に減少、開催国枠もなくなった。
これを受けて、IWBFは、まず2022車いすバスケットボール世界選手権で上位4か国(オランダ、中国、アメリカ、ドイツ)の結果をベースに、従来のゾーンに4つの出場権を割り振った(ヨーロッパに2、アジア・オセアニア、アメリカにそれぞれ1)。残りの4カ国は各ゾーン大会の上位チームを中心とする8か国で最終予選を行い選ぶこととした。

最終予選開幕前日のアルジェリアチームの練習時間 写真・佐々木延江

グループリーグの総当たり戦と「クロスオーバー戦」で構成

最終予選では、グループAとBに別れて総当たり戦を実施し、最終日(4月20日)にクロスオーバー戦を実施する。
クロスオーバー戦とは、総当たり戦の順位で、各グループの1位と4位、2位と3位という形で対戦が組まれる形式だ。この試合に勝った4チームがパリパラリンピックの出場権を得る。グループリーグで下位に沈んでも、最終日のクロスオーバー戦に勝てば一発逆転があり得る。
先立って行われた男子の最終予選(4月12日より15日、フランス アンティーブ市で開催)においては、グループA 4位に沈んだカナダがグループB 1位イタリアをこのクロスオーバー戦で破って、パリ行きの切符を手にした。

日本はグループB

グループ分けは以下の通りである。
グループA ドイツ・タイ・アルジェリア・オーストラリア
グループB スペイン・フランス・カナダ・日本 (抽選順)

グループBで日本が戦う国々との2013年以降の対戦成績は、スペインには1勝、カナダに3勝5敗、フランスとは対戦経験なしという状況だ。クロスオーバー戦で対戦するグループAの各チームとはドイツ4敗、タイは10勝、アルジェリアは1勝、オーストラリアは13勝16敗(ただし今年に入ってから4連勝中)。

最終予選開幕前日のドイツチームの練習時間 写真・佐々木延江

クロスオーバー戦で過去に金メダルの経験もあるドイツと当たらない順位にさえつけば、高い確率で勝利が期待できる。2月にこのAsueアリーナ大阪で開催された大阪カップで岩野博ヘッドコーチが「(日本は開催国特権で、グループ分けの際にどちらのグループに入るか一番最後に決めることができることを活用して)オーストラリアと別プールになることを確認、クロスオーバー戦で勝てる可能性が高いプールを選んだ」と語っていたのもうなづける。

女子代表に託されたパリへの希望

最終予選開幕前日の日本チームの練習時間 写真・佐々木延江

1月、男子日本代表が最終予選手前のアジア・オセアニア選手権に敗れ、1976年のトロントパラリンピックより12大会継続していたパラリンピック出場が途切れた。この最終予選で女子が出場権を得られなければ、この夏のパリのパラリンピック車いすバスケットボールコートで日本代表を見ることができないという事態になる。

女子日本代表は、男子より10年後1986年のパラリンピックに初出場し7大会連続出場。ロンドン2012、リオ2016は予選敗退し、東京パラリンピックは出場開催国枠で出場し結果は6位だった。
キャプテンの北田千尋は「女子がロンドンとリオに出れない時に男子が頑張ってくれた、今度は我々が頑張る番だ」と2月の大阪カップのとき語っていた。

大阪カップでの網本麻里 写真・藪功也

開幕に先立って行われた記者会見には、主催のIWBF(国際車いすバスケットボール連盟)会長ウルフ・メーレンス氏、JWBF(日本車いすバスケットボール連盟)会長 田中晃氏、岩野ヘッドコーチ、北田キャプテンが出席した。

冒頭挨拶で、メーレンス会長は、「ご存知のように、パリへの出場国枠がIPCより男女8チームと減数され、最高峰の8チームを選出するため、男子はアンディーブ(フランス)、女子は大阪で最終予選を行うことにしました。日本の大会運営は定評があり、4日間の試合が楽しみだ。日本もぜひパリへ来て欲しい」と話した。

田中会長は、「IWBFの大会が日本で開催されるのは、リオ2016予選を兼ねた2015年のアジア・オセアニア大会以来。残り4枠をかけてどの国にとっても真剣勝負が行われます。東京パラリンピックが無観客だったので、レベルの高い公式の国際試合に直にふれていただく機会。たくさんの方にご来場いただいて日本代表の背中を押してほしい」と、ホスト国としての役割と日本代表への想いを込めた。

最終予選前日に行われた記者会見 左から、岩野博ヘッドコーチ、北田千尋キャプテン、JWBF会長 田中晃氏 写真・佐々木延江

「女子は長い間自力で出場できない期間が続いたが、東京で開催国枠で出場でき、世界と直接当たる経験ができたことは大きい。結果を踏まえて新チームには半分のパラリンピック経験者が残ってくれた。今大会地元開催を招致して、いよいよ自分たちの実力をお見せしたい。発足時からパリへ向けて戦う道筋に大会がある。選手全員が成長し、思い描いている戦略に近づいている。先輩の力で勝負していたのが、若手も活性化している」と、岩野ヘッドコーチはチームの現状について語った。

北田キャプテンは、チームが東京を経験したベテランと若手の二重構造が成熟しているなかでの姿勢や若手に東京パラリンピックの経験をどう伝えたいかと聞かれると、
「私が入りたての頃は、ロンドン、リオ、と負けた経験しかなく、初めて東京パラに出場した。世界一の選手になるために、世界で一番車いすバスケットボールを楽しむ選手になるためにやっていた。パラリンピックは目標に近づくための通過点でしかなく、代表をめざしていたわけでけはないと考えていた。
それが、東京パラリンピックの決勝を見て、自分の価値観がかわった。ここで試合したい!と思った。目標がパラリンピックの決勝で戦うことに変わった。それほどインパクトがあった。行けるなら(若手をパラリンピックへ)連れていきたい」と東京の経験を語った。
そして、「私は、このチームが好きだ。もし負けたら解散だが、それはさせない!」と締め括った。

去る2月、前哨戦となった、2024国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会(大阪カップ)でのキャプテン北田千尋。同じAsueアリーナ大阪で開催された。 写真・薮功也

女子代表の肩にかかるプレッシャーは並大抵のものではないだろう。彼女たちを支えるのは、大会関係者であり、私たちファンの応援である。

現地観戦は入場は無料、難しい方は、公式Youtubeチャネルで是非! 彼女たちに熱い声援を送ろう。

<現地観戦>

4/17(水)
10:00 グループA アルジェリア vs オーストラリア
(11:45 開会式)
12:45 グループA ドイツ vs タイ
15:00 グループB 日本 vs カナダ
17:15 グループB スペイン vs フランス

4/18(木)
10:30 グループA オーストラリア vs タイ
12:45 グループB スペイン vs カナダ
15:00 グループA アルジェリア vs ドイツ
17:15 グループB フランス vs 日本

4/19(金)
10:30 グループA タイ vs アルジェリア
12:45 グループB カナダ vs フランス
15:00 グループA オーストラリア vs ドイツ
17:15 グループB 日本 vs スペイン

4/20(土)
クロスオーバー戦 (1位と4位、2位と3位)
勝者はパリ2024パラリンピック競技大会の出場権を獲得

<オンライン観戦> (IWBF公式YouTube) ※テレビ中継なし
・国際車いすバスケットボール連盟公式YouTubeチャンネル (英語、全試合)
https://www.youtube.com/@iwbforg/streams

・日本車いすバスケットボール連盟公式YouTubeチャンネル (日本語実況、日本戦のみ)
https://www.youtube.com/@jwbf/streams

<参考>
車いすバスケ女子に見た、一筋の光明。3大会ぶり出場は6位で幕を下ろす
https://www.paraphoto.org/?p=30529

(写真・薮功也、編集・佐々木延江、校正・丸山裕理)

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