2月14日から北海道旭川市で競技が開催される、アジア初の「国際パラリンピック委員会(IPC)クロスカントリースキー・ワールドカップ」に、9か国・地域から約100名の選手・スタッフが現地入りする。地元・旭川出身の荒井秀樹パラリンピック日本代表監督の願いがかない、開催につながった。
会場の富沢クロスカントリースキーコースでは、現地入りした選手が練習に励んでいる。その中に、日本パラ陸上のトップアスリートらが、雪上でのトレーニングをしていた。
長野県在住の樋口政幸(バリストライドグループ)は、陸上トラック中長距離、マラソンも得意とする選手で、白馬村(長野県)でのジャパンパラリンピック大会に出場し、昨年からシットスキーを楽しんでいる。バンクーバーパラリンピックにクロスカントリースキーで出場した、車いすマラソン選手/久保恒造(日立ソリューションズ)に誘われたのがきっかけだ。久保は昨年のソチパラリンピック・クロスカントリースキーにも出場し銅メダルを獲得している。
今回は、さらに人数が増え、廣道純(プーマジャパン)、松永仁志(グロップサンセリテ)、馬場達也(深川市役所)などの陸上選手が久保に誘われて参加した。
「ホスト国の選手が少ないのは良くないからね!」と、大分出身の廣道純は、平均気温が氷点下という中で、はじめての雪上トレーニングにやる気満々だ。その初の国際レースまでの練習は、昨日からの2日間と、明日の公式練習の3日間のみ。
クロスカントリースキーは、じつは、「キング・オブ・スキー」「世界一過酷なスポーツと」いわれ、スキーの盛んな国々では大人気のスポーツだが、日本での人気は高いとは言えない。荒井監督は、長野パラリンピック(1989年)よりつねに、代表選手の発掘・育成に尽力し、2010年バンクーバーパラリンピックでは新田佳浩(日立ソリューションズ)が金メダルを獲得するなど、大きな成果も上げている。その一方で、選手不足の悩みを逃れることができない。
2020東京を前に冬季パラリンピックをめざす選手たちを指導しながら、荒井監督は、旭川開催のワールドカップにどんな役割を求めているのか。
旭川は、多くのヨーロッパの会場が人口雪を使うなか、自然の雪の中で競技ができると、来日した選手たちの評判もよいようだ。1989年の長野オリンピック・パラリンピック招致で、長野県・岩手県とともに開催地に立候補した歴史もある。会場へのアクセスがよく、何より食べものが美味しく、治安も良く、観光もしやすい。そんな旭川で、IPCとともに大会をホストするのははじめてだが、地元の人々は、いわゆる「おもてなしの心」にあふれている。競技は14日から始まる。このワールドカップで、監督、選手をはじめ、大会をホストする人々の想いにも触れていきたい。