取材者の視点, 女子, 水泳, 記者会見 — 2020年11月10日 at 1:00 AM

パラ水泳 in 宮城・コロナ禍で1年ぶりの公式レースが開催(1)山田美幸・背泳ぎ(S2)のプリンセス誕生

宮城県総合運動公園セントラルスポーツ宮城G21プール(宮城県利府町)で、パラ水泳強化合宿とともに、11月7〜8日の2日間、WPS(World Para Swimming)公認の記録会が行われた。

11月8日、100m背泳ぎ(S2)を泳ぐ山田美幸(WS新潟)  写真・秋冨哲生

東京2020パラリンピックの延期にともない大きな調整を強いられた日本代表候補と強化、育成選手のほか、次世代育成選手、日本スポーツ協会のJ-STARプロジェクトで発掘された選手など、障害のある80名(身体49名、知的31名)が、ほぼ1年ぶりのレースに出場した。

レース1日目、東京パラリンピック内定選手・山口尚秀が100m平泳ぎ(SB14・知的障害/四国ガス)で自身の世界新記録を更新(1分4秒13)し、無観客だったが、条件付き取材を許可されたメディアを沸かせた。
ほか、バタフライ100mで強化選手の日向楓(S8/宮前ドルフィン)らがアジア新記録を更新し、2日間で世界新1、アジア新3、日本新12が樹立された。

背泳ぎ(S2)のプリンセス誕生。山田美幸「加藤作子さんのような選手になりたい!」

大きな話題は、新潟県出身の中学2年生(14歳)山田美幸(WS新潟)である。山田は、自粛前の今年2月にメルボルンで開催されたビクトリアンオープンに出場、クラス分けでS3からS2へ転向し大きなチャンスを得た。

山田美幸の笑顔

自己ベストを更新した競技が終わり、インタビューに笑顔をみせる山田美幸(WS新潟) 写真・秋冨哲生

この2日間に50mと100mの背泳ぎの2本を終え、新たなクラスとなって初の国内戦で実力を示した。
初日50m背泳ぎ(S2)で1分11秒25、翌日100m背泳ぎ(S2)で2分33秒65(100mでは)自己ベストをマークし、いずれも昨年の(ロンドンでの)世界選手権2位(銀メダル)、2019年の世界ランク3位に相当するタイムを出した。

「100mで自己ベスト13秒縮め大きな更新で嬉しい。(両種目で)派遣標準も突破しており、実感はわかないが期待に応え、東京パラリンピックに向けて頑張りたい」と。

尊敬するスイマーは?という質問に「誰にでも優しく、速く泳ぎ、人望の厚い加藤作子*選手です。加藤さんのような選手になりたい」と話していた。

山田は両上腕・両足欠損という重度の障害で幼稚園の頃からパラ水泳に取り組んでいる。当初は自由形(クロール)、平泳ぎなども泳ぎ、クラスS3〜4で取り組んできたが(パラリンピック種目の)背泳ぎにこの数年は本格的に取り組んでいた。

クラス分けで不運を掴む選手、幸運を掴む選手がいる。現在の日本代表では、成田真由美(横浜サクラスイミング)が軽いクラスに振り分けられ過去一度引退している。この4年では、弱視から全盲へ障害が進んだ富田宇宙(日体大大学院)が、エース・木村敬一(東京ガス)のライバルとなり日本のブラインドの可能性を高めている。山田美幸により、パラ水泳にまた一つ希望の灯火がうまれた。

<参考>
*加藤作子=兵庫県出身。シドニーパラリンピック4×50m自由形リレー金メダリスト(メンバー;奈良恵里加・加藤作子・藤田多佳子・成田真由美)クラス分けで現役を退き2015年より復帰。日本記録保持者/50m、100m、200mの自由形S3、150m個人メドレーSM3、50m平泳ぎSB2。今年2月メルボルンでのビクトリアオープン遠征。東京パラリンピック日本代表候補として最年長(65歳)。