関連カテゴリ: World Paratriathlon Series, インタビュー, トライアスロン, パラトラトーク, 地域, 夏季競技, 横浜 — 公開: 2021年5月2日 at 5:40 PM — 更新: 2021年5月31日 at 2:45 AM

パラトライアスロン・アジア選手権優勝の梶 鉄輝、横浜大会に初出場

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オンライン応援インタビュー「わたしの横浜パラトライアスロン」①梶 鉄輝
~横浜パラトライアスロン応援プロジェクト「パラトラトーク2021」~

厳しい感染対策の下、5月15日(土)・16日(日)に開催される「2021 ITU世界トライアスロンシリーズ横浜大会/2021 ITU世界パラトライアスロンシリーズ横浜大会」の応援プロジェクト「パラトラトーク2021」。
その第一弾として、オンライン応援インタビュー「わたしの横浜パラトライアスロン」の収録が、4月30日に横浜市の象の鼻テラスで行われた。象の鼻テラスは、山下公園や赤レンガ倉庫に近い、象の鼻パークの中心にあり、2021ワールドトライアスロンシリーズ横浜大会のコースのど真ん中に位置する。
オンラインインタビューのトップバッターは、梶 鉄輝(日本写真判定)。同大会パラエリートレース出場予定の若手選手に、メインパーソナリティの丸山裕理(パラフォト記者・フリーアナウンサー)が大会への意気込みなどを聞いた。

廿日市アジアトライアスロンパラ選手権でバイクパートを走る梶 選手提供写真
廿日市アジアトライアスロンパラ選手権でのバイクパート 選手提供写真)

 ――梶選手は、横浜パラトライアスロン、今回初めての出場ということですよね。今、実際にどのようなお気持ちで臨んでいらっしゃいますか?

先週、廿日市市(広島県)でアジア選手権があって優勝することができましたが、アジア選手権なので競技人口が少なかったというのもあります。横浜は世界のトップの選手がいっぱい来るので、やっとこう今の力試し、どこまで走れるかな、という点で、(東京)パラリンピックに向けて楽しみな大会ではあります。

 ――横浜に向けて強化していることなど、今あるのですか?

走る梶の横顔
廿日市アジアトライアスロンパラ選手権でのランパート 選手提供写真

去年の冬ぐらいからスイム・バイクをメインにやってきて、広島のアジア選手権でそれを試すことができました。あとは、そこから横浜まで3週間あるんですけど、微調整をして水泳、自転車を高めたうえでランニングをどう走るかっていうペース配分であったりとか、そういうところを意識して調整、練習しています。

 ――では、微調整の期間ということなんですね。

そうです。

 ――今、後ろにちょっと見えるのはバイクですか?

これは、インドアで乗る自転車になってまして、パソコンとかオンライン上で世界の人達と走ることができるようになっています。この自転車を漕ぐパワーをとって、バーチャル上の自分を動かすことができるんですが、それをコロナ禍の中で実践練習を取り入れてやってました。

 ――すごいですね。ではバーチャルレースみたいなのが?

そうですね。レースも可能ですし、何千人っていう規模でのグループライドも可能になってます。

 ――今ライドの話が少し出たのですが、梶選手は元々自転車競技からスタートしたのですよね?

そうですね。小学校2年生の時に自転車競技に出会いまして、そこからマウンテンバイク、ロードレース、シクロクロス、トラックレースとやってきました。

長く親しんだ自転車レース 選手提供写真
関西シクロクロス第12戦堺浜 選手提供写真

 ――本当にたくさんの種目、世界大会にも出場されたと思うのですが、バイクの魅力ってどのようなところですか?

まあ自転車競技、いろいろあると思うんですけど、風を切って誰でも楽しむことができる。あと競技の面では、故障が少ないという点があります。

 ――故障が少ないというのは、ケガなく、ということ?

そうですね。野球とかランニングとかいろんなスポーツがあると思うんですけど、ひじ壊したりとか、ひざ、腰壊したりすると思うんです。でも、自転車競技は自転車の上で動作をする競技なので、無理に力がかからない競技ではあるので、故障が少ないと思います。

 ――小学生の時に(自転車競技に)出会い、そこからトライアスロンに出会ったのは、どのようないきさつで?

トライアスロンに出会ったのは、小学校3年生ぐらいの時。3歳の時からスイミングスクールに通ってまして、小学校2年生の時に始めた自転車と、水泳と自転車ができたら、ランニングぐらい、まあ走れるのは走れるんで、「3種目できるんなら、トライアスロンにチャレンジしてみよう」と、小学校3年生の時に普通のトライアスロン(の大会)に初めて参加しました。

 ――いきなり一種目から、スイム、バイク、ランと3種目増えて、自転車競技の難しさや楽しさとは違いましたか?

そうですね。水泳を上がった後に自転車に乗るんですけど、フレッシュな体で自転車に乗ることができないので、自分の実力を100%発揮するのが難しいと言いますか。あと、水泳から自転車、自転車からランニングに移る時の、トランジッションといわれる軽く着替える、靴を履いたりとか、スイムキャップを取ったりとか(する場所が)、第4の種目と呼ばれているんですけど、そこを細かく練習して(時間を)詰めていくというのはやったことがなかったので、難しいなと思いました。

4月24日に開催された廿日市アジアトライアスロンパラ選手権、スイムからバイクへのトランジッションでの梶 写真・佐々木延江

 ――競技から競技へ移る、しかも1つのレースの中でというのは、トライアスロンならではですね。

はい。特にぼくが今やっているパラトライアスロンでは、全部のレースの時間が約1時間なんですね。1時間の中のシューズ履いたりする時間っていうのは割合的に結構多く取られるので、そこをしっかり早く、いかにレースでミスなくできるかっていう練習をしたりします。

 ――早くするためにミスを防ぐというか、いかにスピードタイムを縮められるかみたいな?

そうですね。あと水泳とかから上がってくると、ちょっとパニックになってたりとか……。

 ――なんか、目がフラフラとかしませんか?

そうですね。先日の広島の廿日市のアジア選手権とかだと水温が低かったので、平衡感覚がちょっと狂ったりとかするところもありました。そこは冷静になってスムーズにできるようにと、レースやりながらでも考えたりします。

 ――結構、バランス感覚とかも必要なスポーツですね。

そうですね、はい。

 ――パラトライアスロンについても、ちょっとお伺いしたいんですが、出会ったのはいつになりますか?

パラトライアスロンに初めて参加したのが、高校3年生の夏、4年前ですね。

 ――その時のことを覚えていますか?

はい。自転車競技をずっとやってたんですけど、初めて出場した時、水泳と自転車は元々やってたので、ランニングの最後の最後まではいい順位で走ることができたんです。その時にナショナルチームのコーチからお話をもらい、「東京パラリンピックのメダル、目指せるかもしれないよ」と聞いて、大きな舞台ですので「じゃあ、パラトライアスロンしてみようかな」という気になりました。それで、その次の年から、パラトライアスロンに取り組みました。

 ――すごいですね。それで今、国際大会もたくさん出ていらっしゃる梶選手なのですが、スイム、バイク、ラン、どれが一番「得意だな」と思われますか? 逆に、「難しいな」と思っていらっしゃるものがありますか?

元々自転車競技をやってたので、自転車のタイムはある程度いいタイムが出るので、そこを生かすレース内容にしたい、と自分の中では思っています。水泳も元々3歳の時から、競技レベルではないんですけどやっていたので上達が早く、今結構いいタイムで泳げます。スイム、バイクでいいところまでいって、あとはランニング。我慢の走りをこれからもしたいな、というところです。

廿日市アジアトライアスロンパラ選手権でのランパート 選手提供写真

 ――我慢の走り、なんですね。具体的にはどんなふうにレースに臨んでいるんですか?

ランニングで、自分が苦手というかタイムが出ないのがわかっているので、あとから選手が追い上げてくるんですね。そのレースの内容で後ろから抜かされる時に、我慢でくっついていくというか。最後ゴール直前までいったら勝負は強いので、まあダッシュはできるのでゴール前まで我慢し、なるべく1つでも前に食い込むレースをしたいな、と思っています。

 ――スイム、バイクで勢いをつけ、あとは我慢で必死についていく。最後にラストスパートみたいな感じですか?

そうですね、はい。

 ――梶選手は、自転車競技で海外留学もされているのですよね?

そうです。高校2年生の時に、「飛び立て、留学ジャパン」っていう文部科学省が行っている留学制度を知って、高校3年生の冬にシクロクロスっていう競技でベルギーに2ヵ月留学しました。シクロクロスは昔からやっているんですけど、小学生の頃から自転車競技で世界を走るっていうのが夢だったので、高校3年生で夢をかなえることができて、世界で走らないと見えないものがあったりとか、感じるものがありました。それ以降毎年、去年で4年目になるんですけど、シクロクロスをベルギーで活動してます。

 ――その留学をきっかけに、ということですね。シクロクロスとは、どのような競技ですか?

レース時間は約1時間なんですけど、ロードバイクみたいな自転車でオフロードを走る競技です。競技自体は冬に行われるスポーツで、雪であったりとか、雨であったりとか、どういう自然環境でも行われる競技で、去年ワールドカップに参戦したんですけど、その時の気温がマイナス5度でした。マイナス5度でも全然、やりますね。

 ――トライアスロンは夏の競技だから、暑さとの戦いもありますが、シクロクロスだと寒さとの闘いになるのですね。

はい。ぼくは寒さの方を得意としています。でも、東京オリンピックは暑いのがわかっているので、サウナでトレーニングしたりとか、暑熱順化というのを自分の中でいろいろ考え、工夫してトレーニングしています。

 ――暑さ対策も重要になってきますね。もう大会まで直前ですが、今、力を入れていること、最後に意気込みをぜひ教えてください。

廿日市アジアパラトライアスロンPTS5表彰式
4月24日(土)廿日市アジアトライアスロンパラ選手権で1位となった、梶鉄輝(PTS5/JPF所属)1時間6分28秒 写真・佐々木延江

パラリンピックまであと3ヵ月、選考期間としては2ヵ月切ってるので、横浜が一番大きなポイントをとれる。ヨーロッパ遠征もあるんですけども、コロナ禍の中でどれだけレースが行われるかまだまだ不透明なところではあるので、一つずつレースでしっかりいい成績を取っていきたいというのがあります。横浜の出場は決まっているので、横浜でしっかり上位に食い込む、というのが今一番目標としているところです。

 ――広島に続き、活躍を期待していますので、ぜひ頑張ってください。

はい、ありがとうございます。

【参考】
◎世界トライアスロンシリーズ横浜大会情報サイト|YOKOHAMA TRIATHLON Website
Website http://yokohamatriathlon.jp/wts/index.html

パソコン画面の梶鉄輝とメインパーソナリティ・丸山裕理記者(右から2番目)ほかパラトラトーク2021スタッフ 写真・山下元気

(PARAPHOTO 2020 Tokyo:企画・メインパーソナリティ 丸山裕理、動画・スチール撮影 山下元気、構成・文 望月芳子)

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