関連カテゴリ: Tokyo 2020, 取材者の視点, 夏季競技, 東京, 馬術, 馬術/東京2020 — 公開: 2021年8月26日 at 5:46 AM — 更新: 2021年9月4日 at 8:54 AM

いよいよ始動! パラ馬術、全頭インスペクション通過

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グレードⅢ、稲葉 将とコンビを組むExclusive(12歳/セン/KWPN)。 画像提供・一般社団法人 日本障がい者乗馬協会

事前インスペクションで馬の健康状態をチェック

8月25日(水)、JRA馬事公苑(東京都世田谷区)で東京2020パラリンピック大会、パラ馬術競技の馬のインスペクションが行われた。馬術は唯一動物とともに行う競技。動物愛護の精神にのっとり、馬が競技に出ても差し支えない健康状態にあるかを検査担当が事前にチェックするのだ。インスペクションは「ジョグ」とも呼ばれ、検査員を正面に、一直線に各馬についているスタッフが馬を引き、走らせる。歩様(ほよう。歩き方のこと)に不安がある場合、時折再審査となり、競技直線の二次審査対象となることもある。競技に出られるかどうか、重要なインスペクションに選手およびスタッフは緊張感をもって、正装で臨むのが恒例だ。

この日は各グレードの個人戦と団体戦前のインスペクション。初めて4人馬の団体を組み挑む日本チームの馬4頭は無事通過。ほかの参加予定馬も通過して競技開始の準備が整った。
「無事に通過することが出来てよかったです。日本チーム一同、精一杯頑張ります!」とグレードⅢの稲葉 将。2012年のロンドン・パラリンピックに出場した浅川信正氏に師事し、成長著しい若手選手だ(神奈川県出身。シンプレクス/静岡乗馬クラブ、グレード別世界ランキング32位)。騎乗馬はExclusive(12歳/セン/KWPN)。

競技初日はグレードⅡ、Ⅳ、Ⅴ個人戦

26日(木)は、3つのグレードの個人メダルが競われる。日本の人馬は3人馬が登場する。
トップバッターはグレードⅡ。先頭を切って演技するのは、アメリカ代表のBeatrice De Lavallette (グレード別世界ランキング6位)&Clarc (14歳/セン/KWPN)。このグレードは近年成長を見せる選手と、ベテラン選手の競り合いに注目。
イギリスからは強力な2人馬が出場する。2008年北京パラリンピックより3大会連続メダリスト、Sophie Christiansen(今回は直前の馬の負傷で辞退)の元で学ぶ新星Georgia Wilson (グレード別世界ランキング2位)&Sakura (7歳/牝/オルデンブルグ)。そして五大会目のパラリンピック参加となるベテランメダリスト、Lee Pearson (グレード別世界ランキング3位)は、新馬Breezer (10歳/セン)でメダルに挑む。
また、前回2016年リオ・パラリンピックの個人演技金メダリスト(グレード1b)※で現在グレード別世界ランキング1位、オーストリア代表のPepo Puch は、2018年アメリカで行われたトライオン世界選手権で銀メダルを獲得した際コンビを組んだSailor’s Blue(13歳/セン/ハノーバー)で連覇を狙う。

Lee Pearson (GBR) & Zion – Team Test Grade Ib – Rio 2016 Paralympic Games – Rio de Janeiro, Brazil – 11 September 2016
Photo Jon Stroud/FEI

混戦のグレードⅡに期待の日本人馬が2組登場

グレードⅡの9番手で日本チーム最初に登場するのは、リオ・パラリンピックに出場した宮路満英(鹿児島県出身。セールスフォース・ドットコム/リファイン・エクインアカデミー、グレード別世界ランキング21位)&Charmander (14歳/セン/KWPN) 。そして最終演技者として登場するのは、21歳の新星、吉越奏詞(東京都出身。日本体育大学/アスール乗馬クラブ、グレード別世界ランキング24位)& Hashtag (9歳/セン/KWPN)。
コロナ禍で練習がままならない中、それぞれ試行錯誤してトレーニングし、東京パラリンピックに向けて強化合宿や海外遠征を行い、実力を積み上げてきた。

グレードⅣはリオ以降の成長株が見どころ

グレードⅣも、連続入賞を目指す選手や新星が競合するクラス。グレード別個人世界ランキングトップは、2018年トライオン世界選手権で個人・団体すべてで金メダルを獲得したSanne Voets(オランダ)。今回も相棒Demantur (13歳/セン/KWPN)とともに表彰台のトップを目指す。
ランキング2位は、2016年出身国でのパラリンピック入賞こそ逃したものの、その後トレーニングを重ね、目覚ましい成長を見せてきたRodolpho Riscalla (ブラジル)。今回の相棒は2017年から共に国際競技で経験を積んできたDon Henrico (18歳/牡/ハノーバー)。
世界3位はリオ・パラリンピックフリースタイル金メダリストで、トライオン世界選手権より目覚ましい活躍をみせるアメリカのKate Shoemaker &Solitaire 40 (14歳、セン、ハノーバー) 。
この3人に対して、日本からグレードⅣに参戦するのは高嶋活士(千葉県出身。コカ・コーラ ボトラーズジャパン ベネフィット/ドレッサージュ・ステーブル・テルイ/グレード別世界ランキング49位)&Huzette(9歳/牝/KWPN)。JRA騎手時代に身に着けた馬とのコミュニケーション能力を活かし、初のパラリンピックに挑む。

FEI World Equestrian Gamesª Tryon USA Para Dressage Sanne Voets of the Netherlands on Demantur N.O.P.
Photo FEI/Martin Dokoupil

グレードVのSophie Wells、連続金メダルなるか?

グレードⅤは、圧倒的強さを見せるSophie Wells (イギリス・グレード別世界ランキング1位)の活躍に注目。2016年リオ・パラリンピック、2017年ヨーロッパ選手権、2018年トライオン世界選手権と、近年の大きな国際大会で3連続個人演技金メダルを獲得。今回は直前に予定していた馬が不調となり、急遽2番手としてトレーニングしてきたDon Cara M (12歳/セン/NRPS)に登録変更。吉と出るか凶と出るか?連続メダルの記録更新を狙う。
ライバルはグレード別世界ランキング2位のFrank Hosmar(オランダ)と、ランキング3位のMichele George(ベルギー)。Hosmarはリオパラリンピックの銅メダリスト。トライオン世界選手権では銀メダル。そして2019年ヨーロッパ選手権でSophie Wellsを破り、金メダル獲得へとステップアップを重ねてきた。今回はAlphaville(16歳/セン/KWPN)と組んでメダルに挑む。
Michelle George (ベルギー)は、2012年ロンドン・パラリンピックの個人競技金メダリスト。リオ・パラリンピックでは銀メダルを獲得している。今回は上記2人馬に勝利なるか? 愛馬Best of 8 (11歳/牝/ハノーバー)と組み、メダルに挑む。

Sophie Wells GBR Gold Medalist 2016 Rio
Photo Liz Gregg/FEI

競技初日は暑さ対策も考慮し、16時スタート。いよいよ、1年待った東京パラリンピックの馬術競技が開始される。

※2016年リオ・パラリンピックより、2020年東京パラリンピックまでの5年間のうちにグレードのシステムが変更になった。旧来グレード1aと表記されていたグレードは現在グレードⅠと表記。旧来グレード1bと表記されていたグレードはグレードⅡと表記されるようになった。
※ランキングは2021年7月現在 https://www.fei.org/dressage/rankings

競技日程、結果 https://olympics.com/tokyo-2020/paralympic-games/ja/results/equestrian/paralympic-schedule-and-results.htm
グリーンチャンネル放送予定 https://www.greenchannel.jp/program/tokyo2020_paralympic.html
パラ馬術とは?https://www.parasapo.tokyo/sports/equestrian
一般社団法人 日本障がい者乗馬協会 (JRAD) https://jrad.jp/

(編集・校正 望月芳子)

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