「永遠のライバル」と銅メダルをかけた戦いへ。車いすラグビー日本、「悪夢であってほしい」涙の準決勝から一夜明ける

東京パラリンピックの車いすラグビーは8月28日、準決勝が行われ、初の決勝進出を狙う日本(世界ランク3位)がイギリス(世界ランク4位)と対戦し、49-55で敗戦。悲願の金メダルの道は断たれた。

Embed from Getty Images

立ち上がりは良かった。開始30秒でイギリスにタイムアウトを取らせ、主将の池透暢(3.0/Freedom)やローポインターの今井友明(1.0/TOKYO SUNS)などのトライでリード。
しかし、相手ハイポインターのスピードに凌駕され、第1ピリオドで逆転を許すと、第3ピリオドでは最大10点差をリードされる展開に。
終始イギリスのペースに飲み込まれ、初戦のフランス戦で見せたような逆転劇を演じることはできずに終わった。

イギリスは、パラリンピックでは初めての決勝進出。
今大会限りで引退を表明している、エースのジム・ロバーツ(3.0)は、「日本はこの6~7年、我々に対して圧倒的な強さを誇ってきたチームなので、彼らに勝ててよかった。自分たちのゲームプランで、相手に振り回されないように臨んだ。日本はいつも長いパスをするので、ボールがあまり上にたくさん行き過ぎないよう、できるだけプッシュしていった」と振り返る。
綿密な日本への研究が、功を奏した形となった。

Embed from Getty Images

エースの池崎大輔(3.0/TOKYO SUNS)は、しばらく考え込むような表情をして、大粒の涙をこぼしつづけた。「リオから5年間、金メダルだけを目指してやってきて、準決勝で負けて、努力が足りなかったのか、ただただ力不足だったのか……情けない気持ち」。

キャプテンの池も「イギリスがコロナ禍の苦しい2年間で、周りのスタッフ含めて素晴らしい準備をしてきたと感じさせられた。悪夢であってほしい」と敗戦を受け止めきれない様子だった。

ケビン・オアーHCは、これまでアメリカやカナダ代表のヘッドコーチを歴任しているが、自身が率いるチームではまだ金メダルを獲得しておらず、本人としても悲願の金メダルへの道が閉ざされてしまった。

ケビンHCは「HCとして銅メダルマッチはもう3回目。準決勝で負けたチーム同士の戦いなので、メンタルを立て直すのはお互いに難しい。だけど私たちはコートに戻ってきて戦うしかない。日本の選手は誇りに思っているけど、応援してくれている日本のみなさんに金メダルをお届けしたかった」と涙で声を詰まらせた。

Embed from Getty Images

今日行われる3位決定戦は、「永遠のライバル」オーストラリア(世界ランク1位)との対戦。
東京パラリンピックでは、日本は「決勝でオーストラリアと戦って金メダルを取りたい」と公言していたが、その舞台は銅メダルをかけた戦いへと変わってしまった。

2018年の世界選手権(シドニー)決勝では、日本がオーストラリアに1点差で勝って金メダルを獲得。2019年の「車いすラグビーワールドチャレンジ」(東京)準決勝では、オーストラリアが日本に1点差で勝っている。

絶対的エースのライリー・バット(3.5)は、「2004年のアテネ以来、オーストラリアが決勝を逃すことはなかったから、期待に応えられず残念だ。それに、まさか日本が準決勝で負けるとは思っていなかったよ。3位決定戦では勝ちに行く。大会中で一番体調もいいし、他の選手たちも準備はできている」と意気込み十分。

オーストラリアのブラッド・ダバリーHCは「選手の中にケガ人がいて、最大の力を出し切れなかった。日本については熟知している。何度も対戦してきた素晴らしいチームなので、何とかやってみるよ。まあ見ていてください」と話した。

3位決定戦はこのあと午後2時から。お互いの意地と意地が、衝突する。

(写真提供=Megumi Masuda/World Wheelchair Rugby、校正 望月芳子)

 

この記事にコメントする