ロービジョンフットサル日本代表、世界への挑戦は4位 IBSA2023

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ロービジョンフットサル日本代表は3位決定戦でスペインと対戦、0-9で敗れ、「勝ち続ける」ことの難しさを痛感することになる。

IBSA2023ロービジョンフットサル世界選手権、前日(8月21日)イングランドとの激闘から19時間後、3位決定戦でスペインと対戦した。スペインは、準決勝でウクライナに0-3と敗れている。

日本のスタートはこれまでの試合と異なりピヴォに岩田朋之、フィクソに大平英一郎、アラには羽生健太郎と篠瀬翔平、GKゴレイロには細谷篤史が入った。岩田と篠瀬は、より見えにくいB2クラスの選手だ。

最初のシュートはスペイン、コルネージョのチップキックがわずかにクロスバーを越える。日本も中澤朋希のプレスからのこぼれ球を赤崎蛍が前線の岡晃貴へスルーパス、岡はダイレクトでシュートを放つ。

しかし流れはスペインに傾き、第1ピリオド7分、右サイド角度のないところからのマルチネスのシュートが決まり先制される。そのわずか1分後には、自陣でボールを奪ったスペインがカウンター、再びマルチネスがゴールネットを揺らす。

14分にもカウンターから失点、17分にはFKを直接決められ、第1ピリオドだけで4点のリードを許してしまう。

トルコ戦やイングランド戦のように、「盛り上がっていける、いいプレー」が出ずに、ずるずると失点を許してしまった。
「決してモチベーションが低いわけではなかったが、崩れ始めたところの跳ね返しが弱いというのは欠点」だと、キャプテンの岡晃貴はいう。

キャプテンの岡晃貴(背番号8)イングランド戦ではゴールも決めた 提供:鰐部春雄/日本ブラインドサッカー協会

第2ピリオド、日本が前がかりになったところ、スペインの個人技術も相まって、裏を取られてさらに5失点。0-9と、最終戦で完敗を喫してしまい、日本は4位という結果で大会を終えた。

決勝はウクライナとイングランドが対戦、ウクライナが4-3で勝利し優勝した。

角谷佳祐(背番号7)日本代表立ち上げ以来、全ての国際大会に出場してきた 提供:鰐部春雄/日本ブラインドサッカー協会

「悔しさはそれぞれ一人一人がどう感じて持ち帰り、行動できるか」
金川武司監督は試合後のロッカールームで選手たちに語りかけたという。

キャプテンの岡はこれまでの2年近くのトレーニングを振り返り「日本代表の選手・スタッフが、一つ一つしっかり取り組めていたのか。ずっと100%の熱量だったのか、そうではないのではないか」
そのことが最終戦の敗戦につながったのではないかと感じていた。

「トルコに勝って、決勝トーナメントに行けた。歴史を作ることはできた。視覚障害者の子どもたちや保護者の夢や希望になるということは意識していたので、そのことはよかった。だがその後は勝ちきれなかった。勝ち続けることはできなかった。その段階まではいけなかった」

「勝ち続けられる強いチームになること」は、日本代表の宿題として持ち帰ることになる。 

ではその宿題はどうやって解いていけばよいのだろうか?

金川監督は「普及のところ。彼らみたいになりたい。彼らみたいにチャレンジしたいという子どもたちをどれだけ増やせるか。分母を増やす。日本選手のラージリストを増やす。そういう草の根の活動が必要なのではないか」という。

「日本人選手のラージリストは15名から20名。代表選手は、そのなかからの12名」である。
それに比べて強豪国のラージリストはかなりの人数だという。

だがその強豪国相手に「日本、あいつらなかなか手ごわいぞ!」と思わせたことは間違いない。

ロービジョンフットサル日本代表は、IBSA2023ロービジョンフットサル世界選手権で、初戦のウクライナに0-3と敗れたが、トルコに2-1と世界選手権史上初の勝利。準決勝イングランド戦では2-2でPK戦へもつれ込み、あと1人決めれば決勝進出というところまでイングランドを追い詰めた。

その歴史は、未来の日本代表選手たちに受け継がれていく。

IBSA2023ロービジョンフットサル世界選手権日本代表選手・スタッフたち 写真・松本力

<参考>
ロービジョンフットサルの特徴や各選手の見え方等は、以下の記事を参照。
「ボールは見失っても相手のマークは外さない」 世界選手権へ挑むロービジョンフットサル日本代表

(校正・佐々木延江、地主光太郎、そうとめよしえ)

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