パラトライアスロンもパリに向けての最終コーナーへ。ワールドトライアスロンパラシリーズ(2024/横浜)展望

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パラリンピックをイヤーを迎え、11回目の本大会は過去最大の80名の選手が参加する。多くの有力選手が参加し、パリパラリンピックの前哨戦、パリに向けてのポイント争いが繰り広げられる。

試合前記者会見での秦、エルムリンガー、宇田の各選手 写真・秋富哲生

5月11日から2日間に渡り横浜山下公園を会場に「ワールドトライアスロンパラシリーズ(2024/横浜)」が開催される。2012年から数えて11回目となる世界屈指のパラトライアスロンの大会だ。11日は去年よりも10名増えて80名(5月8日時点)のエリートパラ選手が12クラスでスイム750m、バイク20km、ラン5kmのスプリント競技を競い合う。

パリの出場権を獲得するには

9月1日、2日にパリパラリンピックのトライアスロンがセーヌ川にかかるアレクサンドル3世橋を壮大な舞台として開催される。大会への出場権は、2023年7月1日から2024年7月1日までに開催される19の大会(パラ世界選手権、パラシリーズ、パラカップ)と大陸別選手権のポイントをベースに各クラス9名がまず選ばれる。日本人選手では、3大会連続出場を目指すPTS2 秦由加子(キヤノンマーケティングジャパン・マーズフラッグ・ブリヂストン)と東京パラでは銀メダルのPTS4 宇田秀生(NTT東日本・NTT西日本)が現在、出場可能なランキング圏内にはいっている。秦は5月9日の記者会見で、「東京パラでは脚の痛みもあり100%力を出しきれなかったが、(一昨年に手術をし)今は毎回のレースで強化の成果を実感している」と充実ぶりを語った。

3月のデボンポート(豪)の大会では3位入賞、女子PTS2・秦由加子(PTS2/キヤノンマーケティングジャパン・マーズフラッグ・ブリヂストン/千葉) 写真・山下元気

宇田は「僕がここまでやってきた全てのパワーとパフォーマンスをパリで爆発させるために、やれることを全てやってやるぞっていう強い気持ちが今の心境」と横浜でのレースへの抱負を語った。

22年大会の宇田秀生(PTST4-M・ NTT東日本・NTT西日本)のバイクパート 写真・内田和稔

レースの見どころは

パラリンピックイヤーを反映し、まさにパリの前哨戦となるような有力選手が集まったクラスばかりだ。特に男子のPTS4,PTS5,PTVI、 女子はPTWC,PTS4,PTVIがまさに現在のパリパラリンピック選考ランキング(以下ランキング)上位選手が集中しており、パリの前哨戦というにふさわしいレベルの高い戦いが繰り広げられるだろう。
注目する男子選手は以下の通り。PTS4の公式戦23連勝中のアレクシ・アンカンカン(PTS4/フランス)が開催国フランスを背負い圧倒的な強さを見せるだろう。

23年大会でフィニッシュするアレクシ・アンカンカン(PTS4) 写真・秋冨哲生

横浜には2019年大会以来の参加で現在ランキング1位のステファン・ダニエル(PTS5/カナダ)、2018年大会以来の参加で現在公式戦6連勝中、ランキング1位のデイブ・エリス(PTVI/イギリス)が記録を伸ばすか目が離せない。そのほか横浜2連覇がかかる、オーウェン・クレイベンズ(PTVI/アメリカ)、木村潤平(PTWC/Challenge Active Foundation)にも注目だ。木村はランキング14位だが、今回のレースの順位次第では大きくジャンプアップが期待できる。

23年大会で優勝した木村潤平(Challenge Active Foundation) 写真・秋冨哲生

女子は、現在ランキング1位で横浜連覇のかかるローレン・パーカー(PTWC/オーストラリア)、ヘイリー・ダンズ(PTS2/アメリカ)、ケリー・エルムリンガー(PTS4/アメリカ)、スザナ・ロドリゲス(PTVI/スペイン)がまず挙げられる。

女子PTVI・スペインのスザナ・ロドリゲスとガイドのサラ・ロウェル 写真・秋冨哲生

PTVIのクラスでは去年後半から彗星のように現れ、現在ロドリゲスに2連勝中のフランチェスカ・タランテッロ(PTVI/イタリア)が横浜に初参加するのも見逃せない。さらに21年以来の横浜参加、還暦間近ながらランキング8位のエルケ・ファン エンゲレン(PTS4/ドイツ)がどこまで順位をあげるかも要チェックだ。

質問に答えるエルムリンガー 写真・秋富哲生

エルムリンガーは「パリにむけて高いレベルで一番調整できるレースだから参加した」と大会への期待を記者会見で語っている。

レースは早朝6:50よりクラスごとにスタートし、7:30までに全ての選手がクラスごとのウェーブでスイムをスタートする。速い選手は、スイムを10分とたたないで終え、バイクへとトランジッションし、最後にランで山下公園のフィニッシュエリアへ戻るのに1時間とかからない。8時前ごろからフィニッシュする選手が現れ、9時までには全レースが終了する予定だ。土曜日の朝早い時間ではあるが、お近くの方は会場に足を運び、観光地横浜を疾走する選手に声援を送って欲しい。そして、横浜が誇る中華街でランチなどいかがだろう。レースを終えたパラトライアスリートに会えるかもしれない。

大会サイト:https://yokohamatriathlon.jp/wts/
コース情報:https://yokohamatriathlon.jp/wts/course_para.html

(校正・佐々木延江)

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